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キリンビール高知支店はいかに大企業病から這い上がったか

真のやる気とは何か(3)大企業病脱却のための処方箋

対談 | 執行草舟田村潤
概要・テキスト
あらゆる組織が罹患する可能性のある大企業病。その例外ではなかったキリンビール高知支店は、いかにそこから這い上がり、V字回復したのか。そこには、自分たちの土台に立脚し、運命を感じて、主体的に動いていったプロセスがあった。1人ひとりが自分の宿命を受け入れたからこそ、自分の運命を主体的に動かすことができたのである。(全14話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14:58
収録日:2020/04/10
追加日:2020/07/17
カテゴリー:
≪全文≫

●「自分は悪くない。あいつのせいだ」という大企業病


―― 田村先生が高知支店に赴任されたとき、武士道的な気風をなくしていたキリンはどういう状態だったのですか。

田村 大企業病ですね。「自分のできる範囲内でいわれたことをやっておけばいい」「会社の業績が悪いのは自分のせいではない」という、必ず人の責任にするような風土でした。

―― それまでは売れて売れてしようがなかったわけですから、逆に、いかに売らないでおくかというくらいのことまで考えていた。

田村 そうです。だから、「いわれたことさえやっていればいい」ということですよね。それだけなのです。それで良かったのが、今度は売れなくなってしまった。売れなくなったら、お手上げですよね。現場は「どうするんだ」「本社が悪い」といって、本社は「現場が悪いんだ」というような感じでしたね。

執行 要は一般にいう大企業病ですね。これはでも、どんな会社でも陥ることです。

―― それを田村先生は、どう乗り越えていったのか、というところですが。

執行 そこが田村さんの「やる気」の一番おもしろいところなのです。僕は創業実業家だから、最初から自分の武士道精神に基づいた「やる気」でやってきたタイプですが、田村さんは、武士道でやってきた会社が1回大企業病に陥って、それをまた立て直したのが「キリンビール高知支店」ですから。そういう意味では非常におもしろい。

田村 現場にいたのが良かったですね。

執行 そうですよ。

田村 現場に本質が、やはりありました。

―― 具体的にはどういうプロセスだったのですか。赴任したときの高知支店はどういう状況だったのですか。

田村 とにかく、みんな人のせいなのです。

執行 根本のところがですね。

田村 ですから、危機感がない。

執行 先ほどお話した「自己信頼」の反対ですね。

田村 そうなのです。

執行 これはみんな、なるのです。今の日本の姿がそうです。何でもかんでも人のせい。

田村 ほとんど人のせいなんですよ。キリンビールがそうだったんですよ。

執行 これが大企業病ですね。

田村 そうなのです。自分の問題として捉えられなくなってしまうのです。もし、自分の問題として捉えれば、「自分が大事だったら、共同体が大事」そして「日本が大事」ですよね。そちらに行かないのです。必ず「誰かが悪い」という。...
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