新型コロナウイルス対策~和歌山モデルの教訓
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「クリニックに行って大丈夫」というシステムができた理由
新型コロナウイルス対策~和歌山モデルの教訓(4)現場から学ぶことの大切さ
政治と経済
仁坂吉伸(元和歌山県知事)
和歌山県が陽性者発見にクリニックの協力を求めたのは、まず病院で仕分けしたほうが現場に混乱が生じないからだ。欧米には日本のような保健所が存在しない。日本の病院で欧米のような混乱が起こらなかったのは、保健所の果たした役割が大きい。外からの情報と現場からの情報をうまく組み合わせて考えれば、よりよい方針を打ち出すことは可能になる。(全10話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分26秒
収録日:2020年7月30日
追加日:2020年9月3日
≪全文≫

●「クリニックに行くな」の真相


仁坂 なぜこのように(前回お話しした町のクリニックとの連携を)したのかというと、もともと風邪を引いたら、普通クリニックに行くのが人情です。それを「行くな」と言うのは、おかしいというのが第一です。またコロナであった場合、4日間も放っておくと、悪化する場合があります。だから、それは重症者をつくるようなものとも思いました。

 発熱して4日たって、やはり熱があるというとき、皆さんが行くのは「感染症指定病院」といわれるところになるでしょう。そうすると、その窓口で大混乱が生じます。実は来られた方のほとんどは風邪の重い人、あるいは別の意味での肺炎の方です。コロナにかかっている方は全体の一部で、さらに一部は大重症になっている。そうした中で現場は大混乱になりますから、やはり仕分けをしたほうがいいのです。

 しかも今はコロナの時代ですから、「クリニックへ行くと、うつるかもしれない」と皆さん、クリニックへ行かない傾向が強い。クリニックのほうは忙しいわけではないので、「クリニックに行っていただいて大丈夫です」というシステムをつくり上げました。

 その時、クリニックのほうでも、少し懸念を持たれるところも1つ2つありました。一つは「自分たちは感染症の専門家ではないし、呼吸器の専門家でもないのでコロナを治せと言われても無理です」というご意見です。これに対しては丁寧に、「治せとは言っていません」とご説明しました。「発見してくれと言っているだけで、おかしいと思ったら保健所に連絡していただければ、あとは全部、保健所と感染症専門の病院でやります」と。こう言ってご納得いただきました。

 もう一つですが、当時ですからマスクもなく診察をしているクリニックが圧倒的に多かったのです。クリニックが入手すべきマスクや消毒薬などが、入手困難になっていた。「自分自身が感染リスクに晒されながら、診てくれというのはひどい」というご意見があり、それはごもっともなので、不足しているクリニックや病院には県庁でどんどんと機材などを調達して、運ぶことでご納得いただきました。

 今は違いますが、国が当時なぜこんなことを言っていたのかというと、欧米の状況をご覧になったからだと思います。欧米では重症者が多すぎて、あるいは「われもわれも」と病院に押し寄せ、大混乱していました。その結果、重症者に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也

人気の講義ランキングTOP10
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
人間はどうやって「理解する」のか?『学力喪失』から考える
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
未来を知るための宇宙開発の歴史(12)宇宙推進技術はどこまで進化したか
水平離着陸で宇宙へ、近未来のロケット像と進む技術開発
川口淳一郎
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤