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ポストコロナで経済を盛り上げるため和歌山県が考える3つのこと

新型コロナウイルス対策~和歌山モデルの教訓(9)今後の経済をいかに盛り上げるか

仁坂吉伸
和歌山県知事
情報・テキスト
ポストコロナにおいて、経済を盛り上げるために和歌山県が考えていることは3つある。1つ目は「耐える」ことだ。そこで大事な事業継続のために、助成金や支援策によって事業者を励ます。2つ目は新しい芽を生かすこと。特に現在進めている小型ロケット打ち上げ基地建設とIRは、多くの経済効果が期待できる。3つ目はサプライチェーンが日本に回帰したとき、和歌山もその中に入ること。テレワークの普及で地方に暮らす人が増える。和歌山県を選ぶ人を増やすための努力をしたい。(全10話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:08
収録日:2020/07/30
追加日:2020/09/06
キーワード:
≪全文≫

●県内向け「リフレッシュプラン」で観光業を支援


―― もう一つお聞きしたいのが、今後どのようにして経済を盛り上げていくかです。もちろん各都道府県によっても、いろいろ考え方が違ってくると思いますが、和歌山県ではどのようにお考えでしょう。

仁坂 3つあると思っています。1つ目は「耐える」ことです。先ほど対策のところで「事業継続が大事」と申しました。この3月から5月にかけての大変な自粛の中で、ほとんど営業のできなかった部門があります。もしコロナがなければ好調で、大いに和歌山を引っ張ってくれた業種です。コロナが消えたら、必ず復活する業種で、これを耐えさせなければいけない。そのためには事業継続のための助成金や前向きの工夫への支援などを動員して、さらに事業者の方々を励まし、耐えてもらう。

 例えば、和歌山県では観光用に、県独自で「リフレッシュプラン」をつくりました。県民の人は、まだそれほどうつっていません。県民の方が観光に行くのはいいだろうということで、県民の方々が県内の観光地に行くときに、かなり手厚い助成をする。これは結構なヒット商品になりました。この機会に県民の方に、和歌山県を再発見してもらう。ともすると和歌山の良さを理解せず、暮らしている可能性がありますから。そういう点では長期的にも役に立つと思っています。このように、あの手この手で耐えることが大事です。


●小型ロケットの打ち上げ基地建設とIRに期待


 2つ目は新しい芽をできるだけ生かす、あるいはつくることです。このコロナ禍でも和歌山県では、小型ロケットの打ち上げ基地の建設が着々と進んでいます。完成のあかつきにコロナが消えていれば、たくさんのお客さんが見に来てくださるでしょう。さらにロケットビジネスの集積が和歌山にだんだんできていけば、新しい和歌山の力になっていくと思います。

 この小型ロケットの打ち上げは、世界的にも大変な世の中を変える出来事になっていくのではないか。ロケットというよりも衛星で、衛星の小型化によって世界が変わる。その一翼を和歌山が担っている、ということです。

 さらに大きな刺激になりそうなのが、IR(統合型リゾート)です。これも他の地域が少しもたついているので、政府が決めたスケジュールどおり進んでいるのは和歌山だけです。IRは雇用効果や所得効果が非常に大きいですから、コロナで弱った和歌山県の経済を、新しい刺激によって建て直してくれるかもしれない。そんな期待をしています。


●サプライチェーンの停滞とテレワークの普及をチャンスに


仁坂 3つ目は、新世界です。和歌山だけではありませんが、コロナ後の世界は、たぶんものすごく変わると思います。例えば、今まで世界では、中国や途上国に製造設備がどんどん建てられ、先進国は製造拠点がなくなるということが多かったと思います。それが、コロナが大流行してサプライチェーンがズタズタになり、本来ならばつくれる産業が止まってしまうということが、世界中で起こりました。

 そこから日本でも、プロセスの一部を内製できるようにする、あるいはネットワークを複線化しておくといったことを、必ず企業の方は考え始めるでしょう。その中で和歌山にも、チャンスはあるのではないかと考えます。

 加えてもう一つ、より和歌山にとって大きい話と思うのが東京一極集中です。もう少し小さい、地域的にいうと、大阪都心一極集中かもしれません。「東京一極集中は良くない」という話は強くありましたが、なかなか止まらなかった。どんどん東京都心部が人を集め、肥大化してビルもどんどん建つ。これが、これまでの現状だったと思います。

 ところが、コロナが怖いから、テレワークに切り替えて、もうオフィスビルには人はほとんどいないということが都心で結構起こりました。その結果、コロナが終わって皆さんはどう考えるか。まず企業にとっては、「テレワークでもできるのだから、東京都心の家賃の高いところに大きなオフィスを構えておく必要はない」ということではないかと思います。その結果、都心部を中心に、不動産不況が起こるということが一つの現象になるのではないか。

 その人たちが住んでいるのは、東京のオフィスに通えるようなところです。毎日通わなければならないので、地価が高く、狭いけれど、通勤可能圏の中に集中して住んでいるのが、今までの姿だと思います。

 それがテレワークでもいい、週1回だけ打ち合わせする、となればもう少し環境のいい、安い、広いところに住んだほうがいいと人々は考え始めるのではないか。そうすると、東京で言うと「グレーター東京(大東京圏)」というか、「グレーター関東(大関東圏)」といったところに皆さんが居を移し始めるのではないか。するとその発展の形や、その地域の構造が変わってくると思います。
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