新型コロナウイルス対策~和歌山モデルの教訓
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「和歌山モデル」は大都市でも可能性はあるのか
新型コロナウイルス対策~和歌山モデルの教訓(7)経済活動と感染拡大防止の両立に向けて
仁坂吉伸(元和歌山県知事)
保健所の機能を活用して感染拡大を防ぐ「和歌山モデル」は、大都市でも十分可能だと仁坂知事は言う。保健所や公務員の数が多いのだから、彼らを一つの統合ネットワークのもとに駆使すればいい。今後、新型コロナの状況がどう推移するか不明だが、再び全面的な自粛など国民の協力を求める事態になれば、行政のトップとして大きな責任を感じなければならない。(全10話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分13秒
収録日:2020年7月30日
追加日:2020年9月4日
≪全文≫

●「和歌山モデル」は人口が多い都道府県でも可能なのか


―― 前回、和歌山県と大阪府の比較の話が出ました。東京都も含めて、仁坂知事にお話しいただいた保健所のネットワークを中心とした総合的な対策、つまり「和歌山モデル」は、大阪や東京など人口が多い都道府県ではうまく回せないのではないか。そういう指摘なり批判も考えられると思います。ここはどのようにお感じになりますか。

仁坂 確かに少し難しくなる可能性はありますが、十分可能だと思います。例えば、一番初めに済生会有田病院の話をしましたが、あの時は和歌山県の地元の保健所が中心になり大活躍しました。だけど地元の保健所の規模は大都市よりも小さいですから、そこだけに頼ればパンクした可能性があります。そこに何でもやらせたら、パンクするに決まっています。だから、他の部署からもどんどん応援を出して、全体が機能するようにする。これを考えるのが、司令官の仕事です。

 大都市は人口が多く、保健所もたくさんある。たくさんあるということは、たくさんの人間もいる。その他の公務員の数を考えたら、人口に比例しないまでも、それに応じてたくさんいます。そういう方々を一つの統合ネットワークのもとに駆使できたら、できるのではないか。そこはトップの腕だと思います。

 2020年6月から7月の感染については、大阪も当初は完璧に押さえ込んでいたと思います。だけどとうとう大きく増え出した。だから押さえ込んでいる時を含めて、私はアドバイスした手前、「どうですか」といろいろ聞きました。きちんとやっておられたと私は信じていますが、それでもこんなに増えるのですから、やはりコロナとの闘いは容易ではないと痛感しています。


●大阪府と東京都の進め方をどう見たか


―― 今回、大阪府と東京都のあり方は、都道府県の対応の中で、特に注目されたと思います。両知事の政治スタイル、あるいは進め方は、知事からはどのように見えたでしょう。

仁坂 両方とも人気のある知事ですから、それぞれの都民、府民の方とうまくコミュニケーションを取りながら、やっていけばいいと思います。ただ、それぞれのトップが、わりとマスコミに取り上げられ、テレビなどによく出てこられます。そういう方の発言は、それが全部ではなく切り取られた一部の発言にせよ、「こういうことをやっている」ということが、すぐに分かります。

 そ...

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