新型コロナウイルス対策~和歌山モデルの教訓
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「緊急事態宣言」の問題点はどこにあったのか
新型コロナウイルス対策~和歌山モデルの教訓(5)「保健医療行政」と「国民の協力」
仁坂吉伸(元和歌山県知事)
2020年4月7日に出された「緊急事態宣言」は少し遅かったが、16日に対象を全都道府県にしたのは時宜を得ていたという和歌山県・仁坂知事。緊急事態宣言の問題点は、「即行動あるいは営業の自粛」としたことにある。保健所がある日本では、保健所をもっと機能させるべきで、そうすれば行動や営業の自粛も、もっと緩やかなものにできるだろう。(全10話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分51秒
収録日:2020年7月30日
追加日:2020年9月3日
≪全文≫

●2020年4月に出た「緊急事態宣言」の問題点


―― 今(前回)のお話は、ご自分の所管部分でのお話でしたが、では現場を預かっている立場として、この国の政策をどうご覧になっているでしょう。

 例えば2月末に発令された、学校の休校措置です。これにより全県の学校が、休校しました。あるいは緊急事態宣言が4月の7日にずれ込み、当時はやや遅いのではないかといわれました。他にもマスクを配るなど、今もいろいろいわれている政策が展開されました。そうした国の対応をどのようにご覧でしたか。

仁坂 これらについては、私も共犯者です。「国が」といって一方的に非難するのは、フェアではないと思います。

 「共犯者」というのは、例えば「緊急事態宣言」を出すのは国ですが、「緊急事態措置」の発出者は多くの場合、知事です。一緒になって行動したわけで、逆らったわけでもない私が一方的に非難あるいは批判するのは、フェアじゃないと思います。

 そのうえで自分の反省も込めて、あるいは自分の経験として申し上げると、2月終わりの小中高校の一斉休業要請は、私はポジティブに捉えました。なぜなら、コロナがそのうち収まると思っていたからです。

 したがって皆さん、子どものことをいろいろ心配しているから、この際、学校は休みにする。もうじき春休みだから、ちょっと冷却期間を設けたほうがいい。政府もそう思われたと思いますし、私もそう思い、これには全然反対しませんでした。今から考えると、それは甘かったと思います。

 2つ目の緊急事態宣言を4月7日に出したことについては、もっと早くやればいいのにと思っていました。少し遅かったかなと思います。その後、その宣言の対象を全都道府県に拡大したのが4月16日でした。これは時宜を得たことだと、その時は思いました。

 当時、大いに流行っているのは大都市でしたが、大都市の影響は大きいですから地方に感染が広がる危険があります。ゴールデンウィークが間近に来ていたので、その時期に大いに広がるのではないかと政府が考え、実行した。私たちも、それはそうだろうと思っていました。

 ただ、今から考えますと、緊急事態宣言即行動あるいは営業の完璧な自粛と、政府は考え、宣言されました。われわれもそのように受け取り、マスコミもそうだったと思います。学者さんは一番、そう言っておられた。その結果、自粛一点張りになってし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
ロボットの「カンブリア爆発」時代へ電動化がもたらすもの
岡本浩
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ