小澤開作と満洲事変・日中戦争
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日中友好のために中国人農民の生活向上をめざす「新民会」
小澤開作と満洲事変・日中戦争(4)北京での「新民会」活動
歴史と社会
小澤俊夫(小澤昔ばなし研究所所長/筑波大学名誉教授)
満洲を去った小澤開作は、北京で新たな活動を始める。再び北支(華北)の地で「民族協和」「日中友好提携」の夢を実現しようとしたのだ。だが盧溝橋事件が勃発し、日中戦争が始まる。そんななかで小澤開作が立ち上げたのが「新民会」であった。中国共産党や国民党に対抗すべく、小澤開作は、中国人の主体性と自主性を重んじ、中国古来の思想に立脚して教化工作をしていく組織づくりをめざした。そして何より、中国の農民の生活を向上させることが重要と考えて、北支の農村に合作社(一種の協同組合)をつくる活動を進めていく。そんな活動に携わった日本人のなかには、共産主義から転向した若者たちも多かった……。(全10話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分33秒
収録日:2019年10月9日
追加日:2020年10月5日
≪全文≫

●満洲、奉天での楽しい思い出、怖い思い出


―― そしてその後、(小澤開作さんが)満洲を離れて、北京に移られるのは何年のことでしたか。

小澤 あれは僕が小学校に入る前の年だからね、僕が5歳のときですから、昭和10年ですね。それで(昭和)12年に盧溝橋事件だから、ちょうど、そうです、10年の終わりですね。

―― その頃、満洲から北京に移られる前後のことで、俊夫先生が覚えておられることというと。

小澤 僕は、すごい寂しい思いがありました。奉天(現:瀋陽市)というところにいたんですけどね、とても満足して暮らしていたし、僕ら家族はね。近くにグラウンドがあって、ラグビー場があったり、冬はスケート場があったりなんかしていたし。それから叔父がいたんですよ。親父の一番下の弟なんだけど、それが医者になったんですが、その頃はまだ医学生。その叔父が一緒に家にいたしね。その人は、大学があるから奉天に残ったわけです。それで、僕らだけ(北京に)行ったわけでしょ。だから、すごい寂しい思いがありますね。

―― その離れることがということですね。

小澤 離れるときの。

―― 当時の奉天というのは、まだ4歳くらいですと記憶も断片的かもしれませんが、どんな印象がありましたか。

小澤 いやあ、小さい街でしたよ。あんまり大きな街じゃない。いまも当時の満洲医科大学の建物があるそうですけどね(現:中国医科大学)。大きな建物とはそれと、ヤマトホテルというのがありましてね。その2つしか大きなビルはなかったんじゃないかなあ。本当に小さな街でしたよね。

―― 奉天ですから、当時は日本人の方もけっこう多かったでしょうし。

小澤 そう。いたでしょうね。でも怖かったですよ。だってね、ある晩、僕の家に小澤静(しずか)という医学生が、親父の弟が同居していたんだけど、雨戸をドンドン、ドンドンと叩かれて、それでドアを開けてやったら、日本人の女の人が飛び込んできて、娘がさらわれたと言うんですね。それで、僕の家は大騒ぎですよ。すぐ警察に電話して。そうしたら幸いに救助できたんですけどね。そういうことがありました。それから、ピストルで撃たれたという話が2回ぐらいありましたよね。夜、歩いていて撃たれたと。だから、とっても怖かったですよ、奉天は。やっぱり中国側からの反撃があったんでしょうね。

―― 色々、ゲリラ的な攻撃ですね。

小澤 ...

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