小澤開作と満洲事変・日中戦争
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「万宝山事件」朝鮮人を迫害から救うべく決起し、満洲事変へ
小澤開作と満洲事変・日中戦争(2)朝鮮人への迫害と闘う
小澤俊夫(小澤昔ばなし研究所所長/筑波大学名誉教授)
満洲事変の直前、満洲では日本人排斥が猛威を振るっていた。張学良政権は「盗売国土懲罰令」を制定するが、これは日本人や朝鮮人に土地を貸したり売ったりした者を処罰するもので、まったく国際法を無視したものであった。これにより、とりわけ立場の弱い朝鮮系の人々は土地を奪われるなど厳しい迫害にさらされる。そして起きたのが「万宝山事件」だった。迫害された朝鮮系の人々から話を聞き、義憤に燃えて彼らを救うべく立ち上がった小澤開作は、満洲事変へと至る大きな機運を巻き起こしていく。(全10話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分12秒
収録日:2019年10月9日
追加日:2020年9月21日
≪全文≫

●満洲にわたり、長春で歯科医を開業


―― ざっと振り返ると、(小澤開作さんは)山梨県の高田村で成育されて。そして東京に。

小澤 そう。しばらく東京へ出て、海軍省の下働きをやっていたみたいですね。嘱託(しょくたく)っていうんだけど、そんなかっこいいものではなくて、それは下働きだと思います。まだ20歳前後ですからね。それで結核になって、一度、山梨へ帰ってきて、3、4年療養したのかな。それでまた治って、勤めて、今度は歯医者の資格を取ったんですよね。

 医者になりたいと思った。医者になるには、歯医者は検定試験でなれるというわけでね。大学へ行かないで、国家検定で歯医者になっちゃったんですよね。

―― 当時のことですから、先ほどの氾濫の話もありましたが、なかなか大学へ行くというのは、(経済的にも)大変な話ですからね。

小澤 とてもとても大変なことですからね、行ける身ではなかったので。

―― 開作さんも、さっき海軍の話もありましたが、「働きながら勉強して」ということも当然おありだったんでしょうね。

小澤 そうですね。それで23歳のときに、志を立てて、医学ですからドイツで勉強すると考えて、神戸から船に乗って、ひとりで出かけたというんですよね。だけど大連まで行って、そこでしばらく稼いでいたんでしょうね。日下歯科医院という歯科医院で働かせてもらっていた間に、だんだん長居をして。そして、大津(隆:たかし)というおじさん(※開作の妻となる、さくらの叔父)と出会って、その人の姪を嫁さんとして押しつけられて、それで結婚して、結局、ドイツには行かずにずっと満洲にいたという話で(笑)。

―― そもそも行こうと思ったら、重い中耳炎になってしまって、入院していたら、それで費用を全部使ってしまって……。

小澤 そうそう。そうでしたね。中耳炎になったんだ。

―― 当時ですから、入院にも相当なお金がかかったでしょうから。それで働いてという。

小澤 そういうことでした。

―― そういうご縁で満洲の、長春ですね。

小澤 そう。日下先生にね、長春には歯医者がいないから行けと言われて、それで行ったみたいですね。長春というのは、その頃、日本人なんてほんのわずかしかいないところでした。

―― そこには歯医者さんがいなかったということもあるんでしょうけど、皆さんからも信頼されて、とても繁盛した歯医者さんだ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
概説・縄文時代~その最新常識(2)縄文時代の開始時期に関する三つの説
縄文時代の始まりはいつから?…三つの説の特徴とは
山田康弘