小澤開作と満洲事変・日中戦争
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
小林秀雄、根本博、土肥原賢二、清水安三、遠藤三郎との交友
小澤開作と満洲事変・日中戦争(7)親しく交流した人々
小澤俊夫(小澤昔ばなし研究所所長/筑波大学名誉教授)
北京の小澤公館には、中国の大きな壷が置いてあった。従軍記者として来ていた小林秀雄は、酒を酌み交わしながらその壷を見て、「これは偽物だ、駄作だ」と評した。小澤開作は「偽物であっても、これを作った人にとってはかけがえのない作品だ」と答えたが、小林秀雄は一歩も引かない。すると小澤開作は小林秀雄をぶん殴った……。また、「新民会」を共に立ち上げた根本博とは、戦後も交友を続けていた……。小澤開作をめぐる人間模様や交友関係はどのようなものであったのかに迫る。(全10話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分13秒
収録日:2019年10月9日
追加日:2020年10月26日
≪全文≫

●小林秀雄をいきなりぶん殴った話


―― 先生の『ときを紡ぐ』(小澤昔ばなし研究所)という本でも書かれていますけれども、あれは『華北評論』をやられてからですか、たとえば小林秀雄さんとか、色々な交流がおありだったようですね。

小澤 そうそう。それは小林さんたちが家へ来たのは、僕らが日本に帰ってから。だから昭和16年から18年の間ですね。小林秀雄と林房雄が従軍記者として派遣されてきたんですね。それで家へ来たらしいんですよ。家に相当長くいたんじゃないかな。それで、みんな酒が好きだから気が合ったみたいですけどね。

―― これも有名な、以前にお聞きした話ですけれど、壺を割って、けんかになった話というのが……。

小澤 あれね、割ってはいないと思うよ、たぶん。うちの応接間に壺があったの、よく覚えてるんです、僕も。大きな壺。それを小林さんが、「これは偽物だ」と言ったらしいんだな。そしたら親父は怒ってね、「偽物であっても、これを作った人にとってはかけがえのない作品だ。そういう意味で価値があるんだ」と言ったらね。小林さんは、彼は芸術家だから、「そういう問題じゃない。芸術品としての価値を考えれば、こんなものは偽物だ、駄作だ」と言った。それでぶん殴っちゃったらしい(笑)。本当にぶん殴ったんだって。

 僕らがいないから、僕のいとこが親父の世話をしていたんだよね。高橋司典というんだけど、目の前で給仕してたからね、目の前で見たって。いきなりぶん殴ったって(笑)。

―― すごい直情径行の。

小澤 そうそう。林房雄もそばにいたんですけどね。でもね、小林さんとは、そういう意味では、気は合ったみたいね。その芸術品の話はダメだったけど(笑)。

 日本へ帰ってきて本当に貧しくなって、親父はミシン会社をつくったんですよ。それも倒産するんですけどね。で、ますます貧しくなったんだけど。そのとき、ミシンを買ってくれましたよ、作品を。僕、届けた覚えがあるの。僕が2度行きましたよ、ミシン担いでね。1度はご本人に会えたし、1度は娘さんが出てきてくれたので、よく覚えてる。だから、そういう意味では、応援はしてくれたのね。

―― ずっと交流はあって。本当に気が合ったんですね。

小澤 合ったみたいね。それで、その後、どこかで征爾が声をかけられたんだよね、小林秀雄さんにね。そんな話があったな。

―― それから、当時の交...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
デカルトの感情論に学ぶ(2)感情をコントロールするには
恐怖をなくす方法と感情のコントロール…デカルトの考え方
津崎良典
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(2)「ほめる」技術
男性は「ほめる」のが苦手?傾聴から始まる「ほめる」技術
三谷宏治
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ