小澤開作と満洲事変・日中戦争
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小林秀雄、根本博、土肥原賢二、清水安三、遠藤三郎との交友
小澤開作と満洲事変・日中戦争(7)親しく交流した人々
小澤俊夫(小澤昔ばなし研究所所長/筑波大学名誉教授)
北京の小澤公館には、中国の大きな壷が置いてあった。従軍記者として来ていた小林秀雄は、酒を酌み交わしながらその壷を見て、「これは偽物だ、駄作だ」と評した。小澤開作は「偽物であっても、これを作った人にとってはかけがえのない作品だ」と答えたが、小林秀雄は一歩も引かない。すると小澤開作は小林秀雄をぶん殴った……。また、「新民会」を共に立ち上げた根本博とは、戦後も交友を続けていた……。小澤開作をめぐる人間模様や交友関係はどのようなものであったのかに迫る。(全10話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分13秒
収録日:2019年10月9日
追加日:2020年10月26日
≪全文≫

●小林秀雄をいきなりぶん殴った話


―― 先生の『ときを紡ぐ』(小澤昔ばなし研究所)という本でも書かれていますけれども、あれは『華北評論』をやられてからですか、たとえば小林秀雄さんとか、色々な交流がおありだったようですね。

小澤 そうそう。それは小林さんたちが家へ来たのは、僕らが日本に帰ってから。だから昭和16年から18年の間ですね。小林秀雄と林房雄が従軍記者として派遣されてきたんですね。それで家へ来たらしいんですよ。家に相当長くいたんじゃないかな。それで、みんな酒が好きだから気が合ったみたいですけどね。

―― これも有名な、以前にお聞きした話ですけれど、壺を割って、けんかになった話というのが……。

小澤 あれね、割ってはいないと思うよ、たぶん。うちの応接間に壺があったの、よく覚えてるんです、僕も。大きな壺。それを小林さんが、「これは偽物だ」と言ったらしいんだな。そしたら親父は怒ってね、「偽物であっても、これを作った人にとってはかけがえのない作品だ。そういう意味で価値があるんだ」と言ったらね。小林さんは、彼は芸術家だから、「そういう問題じゃない。芸術品としての価値を考えれば、こんなものは偽物だ、駄作だ」と言った。それでぶん殴っちゃったらしい(笑)。本当にぶん殴ったんだって。

 僕らがいないから、僕のいとこが親父の世話をしていたんだよね。高橋司典というんだけど、目の前で給仕してたからね、目の前で見たって。いきなりぶん殴ったって(笑)。

―― すごい直情径行の。

小澤 そうそう。林房雄もそばにいたんですけどね。でもね、小林さんとは、そういう意味では、気は合ったみたいね。その芸術品の話はダメだったけど(笑)。

 日本へ帰ってきて本当に貧しくなって、親父はミシン会社をつくったんですよ。それも倒産するんですけどね。で、ますます貧しくなったんだけど。そのとき、ミシンを買ってくれましたよ、作品を。僕、届けた覚えがあるの。僕が2度行きましたよ、ミシン担いでね。1度はご本人に会えたし、1度は娘さんが出てきてくれたので、よく覚えてる。だから、そういう意味では、応援はしてくれたのね。

―― ずっと交流はあって。本当に気が合ったんですね。

小澤 合ったみたいね。それで、その後、どこかで征爾が声をかけられたんだよね、小林秀雄さんにね。そんな話があったな。

―― それから、当時の交...

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