小澤開作と満洲事変・日中戦争
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「後世に誰かが……」検閲されてばかりの雑誌を発行する覚悟
小澤開作と満洲事変・日中戦争(6)『華北評論』に懸けた思い
小澤俊夫(小澤昔ばなし研究所所長/筑波大学名誉教授)
前話で見たように「この戦争には勝てない」と平気で言い放つ小澤開作の家には、憲兵が監視に来ていた。しかし、その憲兵さんは、小澤家の女中とやがて結婚する。それほど、小澤家は明るい家庭だったのだ。だが、一方で小澤開作は『華北評論』という雑誌の発行に懸けていた。出すたびに検閲で引っかかり墨塗りを余儀なくされながらも、小澤開作は誰の援助も受けずに自分の財産を投じて発刊しつづけた。「後世の誰かが見つけてくれる。まともなことを言う人間がいたことを後世の誰かが認めてくれればいい」。それが小澤開作の覚悟だった。(全10話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分08秒
収録日:2019年10月9日
追加日:2020年10月19日
≪全文≫

●わが家を見張りに来て、女中さんと結婚してしまった憲兵さん


小澤 ところが不思議なことに、家に毎日来ていた小山さんという憲兵がね、毎日来ていて話を聞いているはずなんだけど、いつまでも親父は捕まらないのです。それで、そのうちにその小山さんが、家に女中さんが2人いたのですが、その若いほうの人と仲良くなって、結婚しちゃったんだよね(笑)。

―― 小山さんは憲兵さん?

小澤 憲兵です。

―― 小山さんはそもそも、いつぐらいから、どうやって来るようになったんですか、経緯で言うと。

小澤 僕が覚えてるのは、僕が小学校3年のとき……。

―― 昭和14年(1939年)ですね。

小澤 そうです。昭和14年ぐらいから来ている。だから丸2年は来ていたんですよ。

―― それは先ほど話があったように、「アカの巣窟=小澤公館」を見張りにくるわけですね。

小澤 そうそう。見張りにきたわけです。その見張りのしかたというのが、とにかくもう家の居間にいるんですから。それで、親父はその前で、平気で仲間と、軍の批判なんかをやるわけです。だから僕は、ひやひやしてましたよ、初めのうちは。

 そのうち、小山さんは面白い人だったのね。僕なんかに剣道を教えてくれたりして、だんだん親しくなっちゃって。お袋はお袋で、ご飯のときは、「小山さん、一緒にご飯食べましょ」なんて呼んじゃうものですから、家族みたいになってしまったわけ、しまいに。それで家の女中さんと仲良くなって、結婚しちゃった。しかも、親父の仲人でね(笑)。ひどい話、すごいよ(笑)。

―― それは小山さんという憲兵の方も、腹が据わってるといえば腹が据わっていますね。

小澤 そう、腹が据わっていると思うよ。それでも、その後しばらく経ったら、蒙古の田舎に転勤になったんですよ。いまから考えると、あれは左遷だったんじゃないかと。

―― さすがに、監視対象のお手伝いさんと結婚してしまうというのは、まあ(笑)。

小澤 まあ、よくない(笑)。ミイラ取りがミイラになったという話だもん、これは典型的に。だから、あれは左遷だったんじゃないかなあと思うな、僕は。

―― それだけ憲兵政治というものがあって、東條英機さんというと憲兵政治みたいな話になるんですが、そういう実態がありながら、片や、小澤開作さんはそういう人さえ、ある意味では魅了してしまうということですね。そういう明...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(3)戦争終結シナリオと大統領選挙の行方
MAGA連合に亀裂!?イラン戦争が及ぼす大統領選への影響
東秀敏
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大