小澤開作と満洲事変・日中戦争
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「涙を忘れてきた日本人が、敗戦で涙を知るのはいいことだ」
小澤開作と満洲事変・日中戦争(8)最後の和平工作は成らず
小澤俊夫(小澤昔ばなし研究所所長/筑波大学名誉教授)
終戦の数カ月前、「新民会」で共に活動していた繆斌(みょうひん)が、日本を訪れる。彼は自分は蒋介石の特使だと語り、日本に和平を打診する。小磯國昭(首相・陸軍大将)や緒方竹虎(大臣・情報局総裁)、東久邇宮稔彦王はこの動きを支持するが、重光葵(外務大臣)や杉山元(陸軍大臣)などは「本当に信頼できるか怪しい」として猛反対。小澤開作は実現に向け奔走するが、結局、繆斌は日本から追い返されることになってしまう。だが小澤開作の必死の動きは、彼を監視していた特高警察の胸をも打つものだった。そして迎えた敗戦。このとき小澤開作は、子どもたちが決して忘れることのできない言葉を語った。(全10話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分56秒
収録日:2019年10月9日
追加日:2020年11月2日
≪全文≫

●最後のチャンス「繆斌工作」に真剣に奔走する


―― そのとき(終戦直前)のエピソードとしては、中国の新民会で一緒だった中国人の繆斌(みょうひん)さんが蒋介石の(和平の)特使としてやってきて。これは歴史でもよく「繆斌工作」として出てくる話ですね。それにはずいぶんと……。

小澤 ええ、あれは真剣だったよ、親父は。本当に真剣。だって、日本はもう勝つ見込みはないわけですよね。

―― そのぐらいなるとだいぶもう……。

小澤 もう、やられてる。ミッドウェー海戦からやられてるでしょ。だから、あそこで蒋介石の特使として繆斌さんがいらして。蒋介石は「日本から、石原莞爾を出せ」と言ったんですってね。ところが、それが認められなかったんだそうですね。それで、もたもた、もたもたして。あの頃、本当に繆斌さんは始終、日本に来ていたし、親父は始終会ってたし。それで親父は、親父がとくに親しくしていた本庄繁さん。自殺なさったんですよ。その自殺する前ですけれども、親父は本庄さんのところへは始終行っていましたね、その頃は。それで、あれ(繆斌工作)を受けてくれと。それを天皇に進言してくれってね。本庄さんはもちろん、そのつもりだったんですよ。だけど、それが行かなかったのね。

 そのうちに原爆が落ちちゃったわけですよ。だから、本当は広島と長崎の被害者は死ななくて済んだんですよ。早く決断してくださればね。

―― この繆斌工作も、きちんと経緯を残しておかないといけないですね。

小澤 そうですよ。

―― 重光(葵)さんなどが、外務省として、かなり反対だったようですね。陸軍のほうは、たぶん推したんでしょうけれども。

小澤 ああ、そうなの。

―― 全部ではないにしても、推す人もいたとは思うんですけども。

小澤 重光さん。そうですか。

―― ええ。重光さんは確か、繆斌さんが本当に信頼できるのかどうか、蒋介石と握っているのかどうかというところで反対された。

小澤 それが重光さんなんですか、その意見は。繆斌さんを信じ切れなかったんだね、あそこでね。

―― そうでしょうね。政府の中でも信じるべきか、信じざるべきかということで、両論出てしまったんですね。ただ、繆斌さんはそのあとで、(蔣介石に)銃殺されることになるわけですからね。

小澤 そうです。銃殺ですよ。で、一族、本当に苦しんでね。かわいそうでね。決断でき...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)『イリアス』の世界ーその1
叙事詩イリアス…トロイア戦争最後の50日間を描いた傑作
納富信留
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(1)悩みの99%は他者との関係性
「使命観=パーパス」に立脚できないのは自分のエゴのせい
田村潤
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸