独裁の世界史~ファシズム編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ムッソリーニの独裁…ファシズムとローマ帝国の栄光
独裁の世界史~ファシズム編(2)ファッショとローマの栄光
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ファシズムの語源は、古代ローマの「ファスケス」という権力の象徴である斧の周りに木の棒を束ねたものだという。ムッソリーニの手法にはこの古代ローマを意識したものが多く、第一次大戦の敗戦による多額の賠償で意気沮喪していたイタリア国民を奮い立たせるものがあった。(全7話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分27秒
収録日:2020年1月30日
追加日:2021年3月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●「機会主義的」政治手法とイタリア社会を引っ張る力


―― ムッソリーニには、共産主義なり社会主義の理想を思想的ベースとして持ちながらも、政治的には「機会主義的」と呼べそうな、いろいろな機会を捉えて上がっていくようなところがありました。前回お聞きした反戦から参戦に転じる動きもそうでした。

 また、彼が権力をつかむきっかけになっていくのが、第一次世界大戦で参戦運動を行い、自分自身も第一次世界大戦に従軍したこと、また、戻ってきてから、かつての兵士だった人たちを糾合して、「イタリア戦闘ファッシ」という団体を作っていくあたりになります。ここから先の動きについて、どのように見ていらっしゃいますか。

本村 ファシズムの動きは、やはり前回言いましたように、帝国主義諸国が相争っている中で、「遅れてきた帝国主義」の国として切り込んでいくということです。それにはやはり一種の強力な権力でイタリア社会を引っ張っていくことが必要だった。

 そのあたりは、彼自身がもともとアナーキストだったからうまく切り替えていけたのではないかと思います。彼にとっては、指導者になって引っ張っていくことができなければ国家なんてどうしようもないわけだから、強力なファシズムというか、古代ローマに通じるようなファシズムに走っていったということです。

 ローマ的な伝統からいきますと、古代ローマの場合は非常事態になると「独裁官」というものが置かれます。平時はコンスルが2名いて交代で行う「同僚制」を取っているのが、非常事態のときには半年だけ、唯一の最高権力として独裁官が許されます。それは、ある意味で非常にうまいシステムではないかなと思うのです。


 結果的にどうなるか分からないけれども、非常事態に一時的に独裁政や独裁官を認めるのは古代ローマのやり方ですが、イタリア人たちはそういうものをローマ史として本当によく知っています。これはもう子どもの頃からいろいろなことを聞かされて育ってきているからです。そういう中で、「独裁も非常事態には悪くない」という考え方がイタリア人の中にはあって、ムッソリーニを許す社会になったのではないかと思います。


●「ローマ進軍」する黒シャツ隊と「ローマの栄光」


―― イタリア自体は、第一次世界大戦ではドイツとは違って戦勝国になります。ドイツの場合は第一次世界大戦で敗戦国になって多額の賠...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(4)ダーウィンの進化論と自然淘汰の理論
『種の起源』…ダーウィンとウォレスの自然淘汰の理論
長谷川眞理子
逆境に対峙する哲学(9)先人の知恵という友
本居宣長も白隠もハイデガーも友となる――大切なのは?
津崎良典
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(6)秀吉との信頼関係と秀長の軍事能力
文武両道の名将…大大名たちを魅了した秀長の器量とは?
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文