独裁の世界史~ファシズム編
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非常事態のときには独裁政を認めるべきなのか
独裁の世界史~ファシズム編(6)「デジタル独裁政」とどう向き合うか
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
独裁について考える上では、ヒトラーもそうだが、なぜそれが必然として起こったのかという問いから目を背けないことが重要である。かつてローマのシステムには独裁官と護民官があったが、現代の民主政下にそれに代わるものはない。今後「デジタル独裁政」が出現したとき、人類はどう向き合っていくのか。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分00秒
収録日:2020年1月30日
追加日:2021年4月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●護民官と独裁官のバランスが守ったローマの共和政


―― スターリンの政権下でも、5カ年計画が事実以上に成功したと喧伝されていました。ちょうど1929年の大恐慌以降、「資本主義はもうダメだ」といった雰囲気があり、「これからはやはり計画経済がいいのではないか」という流れにもなっています。

 ヒトラーの場合も、ナチスが政権を取って以降の大成功を見た日本が、「ああいう政策運営がよいのではないか」と影響を受けて、国家統制色を強めていったようなところもあります。あの時代の、スターリンの経済政策やヒトラーの経済政策の成功について、どのようにお考えでしょうか。

本村 それはマクロ経済学的な立場でいえば、まったく経済を自由にさせておいた段階があり、それによる資本主義国での行き詰まりがありました。それが1929年の世界恐慌になったりした。そういう例が周りに転がっていると、当然ながら計画経済や、中央権力を高くして行うという考え方が出てくる。それは、経済学の中でもマクロ経済学では、そういうものをある程度導入しているわけですよ。

 これはその後、繰り返し起こってくることであって、自由にし過ぎるとどうしようもないし、それが行き詰まってくると管理力を強めることも、時には必要になってきます。そのバランスを常にどこかで考え、非常事態になればある種の独裁政も仕方がない、そのほうがうまく運用できるのだ、というシステムを、われわれがなかなかつくってこられなかったことがあります。

 ローマの共和政500年の歴史で、非常事態のときには独裁政を認めていたのは、一方でローマが「護民官」をつくっていたからです。護民官というのは「民を護(まも)る」のが役目で、この制度もやはり非常にうまくできていると思います。

 一方で非常事態のときだけ期限付きで独裁官を設けながら、権力者が民にひどいことをしてくると、それを護民官の手でやめさせることができる。護民官には、何ぴとも手を触れてはいけないとされました。それくらい彼(護民官)の動きは絶大なものであったわけです。

 だから、政治のシステムとして、ローマは500年共和政を続けていきつつ、大国になっていった。そこには今さらながら、片や独裁官があり、片方で護民官があったということの意味を考えさせられます。ところが、今の日本ではそういうものをなかなかつくれません。

 私など、...

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