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なぜリベラルアーツが、ビジネスの成功に必要不可欠なのか

営業から考える企業戦略(6)「大義」と「野性の精神」

田村潤
元キリンビール株式会社代表取締役副社長/100年プランニング代表
概要・テキスト
激動の現代にあって、日本企業はどのように乗り切っていくべきか。それにはやはり、「自分たちの会社は、こんなものではない、もっと高みに行くのだ」と挑戦する「勇気」が必要だと田村氏は言う。そして、そのような「大義」を実現するために必要なのは、「リベラルアーツ」であり、「あまり理解しようとせずに突き進む精神」だという。考えていてもわからない。自らの人間性を高めて、挑戦し、行動してくるうちに「わかってくる」。そうすることで、人間が本来持っている「すごい力」が生み出されていくのだ。(全6話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16:06
収録日:2020/09/25
追加日:2021/08/16
キーワード:
≪全文≫

●「もっと高みに行くのだ」と挑戦する勇気


―― 会社の経営戦略についてですが、時代状況の変化や動きに、どう合わせていくか。ここは当然、時代も動いているので、それをどう見ていくかでしょう。これからの時代をどうやって生き抜くかを考えたときに、大事なポイントとしてどのような点をお考えでしょうか。

田村 今、大変化の時代です。やはり現在、自分たちの企業が、何のために存在しているのかということを問われていると思います。

―― はい。

田村 昨日と同じことをやっても、うまくいきません。そうすると、やはり「企業の存在意義を果たすこと」。「今だって果たしている」と言う方もいるでしょうが、でも「自分たちの会社は、こんなものではない、もっと高みに行くのだ」と思ってもらいたい。それには「勇気」が必要だと思いますが、ここをなんとか乗り越えてもらいたいと思います。なぜなら、そのほうが本人も従業員も幸せになるからです。

 そうすると、やはり理念が大事だと思うのです。もちろん、命もお金も大事です。しかし、高知支店のメンバーも言っていたのですが、「命はもちろん大事です。でも、お客様との関係の中で、命より大事なものが出てきた」という感じがあるのです。

 キリンビールを飲んで喜んでくれる。このビールを飲んで、いい1日を送ってもらえる。明日頑張ってもらえる。キリンの利益も大事だけど、それ以上に大事なのは自分たちの使命を果たすことなのだ、と。これを確立することだと思います。

 これは精神的なものですよね。これを持つのが人間なのだ、と私は思います。命と金で右往左往するのではない。命も金も大事だけども、それより大事なものがあるというのが人間なのだ、と。これはやはり精神であり、世の中のために尽くすという大義です。現在の大変化の時代を乗り越えるエネルギーは、ここから出てくるのだと思います。

 これに当たるものが企業理念なのです。企業は利益を出し続けなければいけませんから、お客さんからの支持や信頼を獲得し続けなければいけません。そのために、相手の立場に立って考えて、喜んでもらう。そこへ向かって活動していく。そうすると、お客様が喜んでくれる。すると、口で言わなくても、次第に「利他の精神」になってきます。日々の活動の中で、誰かのために役に立つ。これが、人間なのだと思います。

 それを上位の概念に...
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