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投資原則の中でバフェットが最もこだわったのは「能力の輪」

ウォーレン・バフェットの成功哲学(5)バフェットの投資原則〈下〉

桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
概要・テキスト
ウォーレン・バフェットは、師匠であるベンジャミン・グレアムのやり方を継承しながらも、自身の経験や判断に基づいて、独自の原則をつくり上げてきた。自分の能力の範囲を見極めることや、他人の意見に左右されずに、自分で考えて判断することなど、その原則は投資においてだけではなく、生き方にも通ずるところがある。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:08:53
収録日:2021/09/15
追加日:2021/12/14
カテゴリー:
≪全文≫

●投資原則その5:自分の「能力の輪」を守る


―― 次に5番目です。「自分の『能力の輪』を守る」ですが、「能力の輪」とはどういうことでしょうか。

桑原 これはたぶんバフェットが時に非難の対象になったり、賞賛されたりする一番の原因の一つです。能力の輪は、自分が非常によく理解できていて、その価値を見極めることができる業界や企業のことです。例えば、石油関係の会社であれば、バフェットにとってはその企業の業績を本当に少し見るだけで、その会社の評価と成長性が分かります。そのように、自分にはよく分かる分野の業界がバフェットにはいくつかあるのです。それがバフェットにとっては「能力の輪」になります。その外にあるものに関しては、自分がまず関心を示しません。

 インテルという会社が創業するときに、バフェットはインテルの創業者とも知り合いで、投資をしてくれと言われて、大学の理事としては投資を決めるのですが、個人としての投資はしませんでした。インテルに投資していればどれだけの利益を得られたことでしょう。しかしそのときにバフェットは、「自分にはこの業界のことは理解できない」と言います。

 またマイクロソフトのビル・ゲイツとも友人ですが、そのビジネスは自分には分からないから投資をしないという頑なさが非常にあります。その代わり、自分の能力の輪の中にあるものに関しては本当に5分で決断できるぐらいの自信を持っています。

 そこから出てきた原則の1つは、「投資の世界には見送りの三振がありません」ということです。「こんなにおいしい株があるよ」、「儲かりそうな株があるよ」と言われて人はすぐ飛びついてしまいますが、それが自分の能力の外にあるのであれば無視すればいいということです。それは別に三振にはなりません。いくら見逃したっていいのです。

 ところが人間は、自分には訳の分からない企業、それこそ何をやっている会社か分からないのに飛びついてしまう癖があり、それをまず戒めています。

 2つ目に、「最も重要なのは、自分の「能力の輪」をどれだけ大きくするかではなく、その輪の境界をどこまで厳密に決められるかです」と言っています。これが非常に難しいのは、やはり誘惑はあるからです。証券会社や、金融機関などからおいしいことを言われると、ついやってしまいます。しかし、...
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