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東京大学とパスツール研究所…進む海外との共同研究

東京大学の新たな挑戦(2)グローバルネットワークの構築へ

概要・テキスト
東京大学の新たなカレッジのコンセプトの1つは、いかにグローバルに開かれたものにするかという点だ。過去のフランスでの経験などから、グローバルに開かれた環境で研究することの重要性を語る藤井氏。今回は人材育成において、いかにグローバルネットワークが大切であるかを解説する。(全5話中2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11:49
収録日:2023/11/20
追加日:2024/03/06
カテゴリー:
≪全文≫

●グローバルなネットワークをつくる大切さ


―― Zoomにしてもネット上でつながることは簡単ですけれど、リアルな場所として東京大学が新しいカレッジをつくられるのは面白いですね。しかも標準が英語であると。

藤井 入学も秋に行います。

―― なるほど。すごく楽しみですね。1つ拠点ができたら面白いですよね。

藤井 だいぶ変わってくると思います。ですから、そこだけというよりは全学に向けて行う。いろいろと新しいことを行っていき、全学の学生たちがそこにアクセスできるという形を整えていくことも同時に大事だろうと思います。

―― 若いときに、どういう形であれ、海外の大学に行き、そこで仲間をつくる。ドミトリーで仲間をつくるのは、やはり何よりも得難いことですよね。

藤井 ディグリー(学位)を得なくても、ひと月でもふた月でも、あるいは夏の期間だけ滞在するということでもいいと思います。世界のいろいろなところから来ている仲間と一緒に学び、寮などで一緒に暮らすなどといった環境に没入するということが重要ですね。

―― その仕組みだけつくってあげて、海外に行ったり海外から来てもらったりする人が増えてくると、グローバル化はものすごく速いですよね。友達ができていったら全然違いますよね。

藤井 違いますね。後々そのネットワークは残ります。それが未来に向けて、日本にとっても非常に大事なことだろうし、学生にとっても重要なことだと思います。

―― 日本の場合はおそらく、一番強かった1980年代、1990年代にもっとそれをやっておけばよかった。2000年代の、少なくともリーマン・ショックが起こるまでの強かった時期、お金があった時期にそこに投入しておけば、今の「友達がいない、グローバルに手づるがない」といった状態はずいぶん違っていたわけですよね。

藤井 その通りですね。考え方として、例えば研究でも、「ものすごくいい研究を行っていると誰かが見てくれるはずだ」と思っても、実際はそう簡単ではありません。ものすごくいい研究をやっていても、ネットワークの中で「自分はこういった研究をやっていて、こういう結果が出たのだけれど、どう思う?」「ああ、それはすごいね」などと言って共有していくというプロセスがなければ、研究者同士の、例えば論文の引用にはつながっていかない。この間の(日本の)研究力が弱くなっている、ランキングが上がら...
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