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人生前半の支援を手厚く!社会保障と税の一体改革の真髄とは

総理として実感した国家経営の要諦(3)財源の話を先送りしない

野田佳彦
衆議院議員/第95代内閣総理大臣
概要・テキスト
「財源なくして政策なし」という方針のもと、国家経営の基本として2番目に重きを置いたのは、財源の話を先送りしないことだったという野田氏。超高齢社会に突入し財政難を抱える日本だが、歳入の減少と歳出の増加という、いわゆる「ワニの口」状態の日本財政とどう向き合ったのか。先送りをしない政治を基本とした野田氏が「税と社会保障の一体改革」を掲げた背景、その想いについて語る。(全7話中第3話)
時間:16:05
収録日:2024/04/18
追加日:2024/11/27
キーワード:
≪全文≫



●財源の話を先送りしない


 次に、政策論としてものすごく意識したことは、財源の話を先送りしないことです。「財源なくして政策なし」という路線で行こうというのが私の方針でした。これには理由があります。

 2011年の夏に、ロンドンで発行している『エコノミスト』という雑誌があるのですが、その『エコノミスト』に「日本化(Japanification)する欧米」とあった。何だろうと思って見たら、イラストがあるのです。当時のドイツ首相アンゲラ・メルケルとアメリカ大統領バラク・オバマの2人が並んで立っている。メルケルはかんざしを挿して着物を着ている。オバマも和服姿です。背景に富士山がある。なぜメルケルとオバマが着物を着て富士山の前に立っているのだろうというイラストです。

 中を見ると、当時、欧州ではいわゆる信用不安がギリシャに端を発して次々と広がっている。そのときに欧州のEUの中心国であるドイツ首相メルケルが、やるべきことがたくさんあるのに決断しないで先送りをしている。一方、アメリカは債務上限危機(に面している)。こうなることは明らかに分かっていたのだけれど、オバマはずっと何もせずに傍観して手をこまねいている。先送りをしている。

 先送りをすることを「日本化」という表現で書いている特集記事を見て、「これはいけない。国際社会はこのような目で日本を見ているのか」と思いました。だから、もし自分が国のトップになることがあるならば、先送りをしない政治を基本にしようと思ったのです。


●「社会保障と税の一体改革」の真髄――人生前半の社会保障を手厚く


 そのときに一番先送りにしてきたことは、やはり「財源論」だったのです。財源が一番必要な分野は社会保障です。あらゆる政策経費があります。防衛費、教育予算、科学技術振興や農業振興などあらゆる政策経費(合わせて「一般歳出」といいます)の半分が社会保障費なのです。

 半分もお金を使っているのだけれども、老後の不安、子育ての不安がある。不安の源...
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