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総理大臣の一番大事な仕事は危機管理、不在時はどうなる?

総理として実感した国家経営の要諦(2)危機管理体制を作る

野田佳彦
衆議院議員/第95代内閣総理大臣
概要・テキスト
国家経営の基本として、国のリーダーの最も大切な仕事の一番目に「危機管理(クライシス・マネジメント)」を挙げる野田氏。危機管理を的確・適切に行うために重要なことは、公邸に住むことだという。現在、公邸は総理官邸の近くにあるため、大事な情報が集まる官邸までいち早く行くことができるからだ。では総理が外遊などで不在の場合はどうすればいいのか。その際のキーマンとなる官房長官や危機管理監の役割とともに、危機管理について語る。(全7話中第2話)
時間:16:05
収録日:2024/04/18
追加日:2024/11/27
キーワード:
≪全文≫



●国家経営の基本として国のトップがまずやるべき仕事は「危機管理」


 今日は内閣総理大臣を短い期間、経験させていただいて心がけたこと、念頭に置いていたことを中心に、国家の経営について自分なりにご説明したいと思います。

 1つは、まず国家経営の基本は、国のトップの場合、やはりクライシス・マネジメント(危機管理)です。感染症が発生する、テロが起こる、あるいは大きな地震が発生する、北朝鮮からミサイルが飛んでくるかもしれない。このようなときに、国民の命と財産を守るために的確に情報を収集し、的確な指示を速やかに出すことが、国のトップの仕事ではないでしょうか。これが一番大事です。それはまさに24時間365日、どのようなことが起こるか分からないので、緊張感を持って行うことが仕事の中の仕事だと思っています。

 そのためには、「公邸」に住むことだったのです。官邸と公邸は違うのです。総理大臣が仕事をする場所が内閣総理大臣官邸。自身や家族が住むところが公邸です。

 1929年に総理官邸はできたのですが、官邸の中に総理が住む場所もあったのです。そして、小泉(純一郎)政権になり、つまり今世紀の初め頃に新しい官邸を造ろうとなった。旧官邸は造られてから70年がたったので、新しい官邸を造ろうと。

 総理の住む場所を近くに置こうということで、新たに建物を造るのではなく、1929年に造った官邸を引っ張っていったのです。50メートル南下させて、官邸の近くに公邸があるようにした。旧官邸(今の公邸)は地上4階建てです。総重量はおそらく何トンという大きいものです。それを、3年かけて少しずつ引っ張りながら、倒れないように移動させていくという。相当難しい技術だったのですが、50メートル南下させた。そうして今の公邸があるのです。

 なぜ近くに総理が住むようにしなければいけないのか。一番情報が集まるところに早く行くためです。官邸の地下1階に危機管理センターがあります。ここに、まず入ることなのです。ここは核シ...
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