近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質
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特命担当大臣は果たして機能しているのか
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(8)平成の政治改革と特命担当大臣の評価
歴史と社会
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
かつての無任所大臣の設置や省庁再編は失敗に終わったが、その思想は脈々と受け継がれ、平成の政治改革にも生きていた。では、平成の政治改革ではどのようなことが目指され、何ができたのか。そして、それは果たしてちゃんと機能しているのか。(全9話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分34秒
収録日:2021年5月31日
追加日:2021年9月22日
≪全文≫

●無任所大臣は戦後、日本国憲法になっても生きていた


―― 客観的に数十年前の話として見ると、なぜ非常時に省庁再編などということをやったのか、実際に機能するのか、と思うわけです。翻って現代で考えた場合、日本の組織では政府に限らず、企業などにも当てはまると思います。

 例えば企業の場合であれば事業部制が敷かれていることも多く、よくある例を挙げると、どこかの事業部の調子が悪いので統廃合すべきではないかと言っても、その部にしがみつく人がいる。あるいは各事業部長が取締役であり実質事業部を代表していて、その人がいるために取締役会がまとまらず、そのため取締役会を増やす。あるいは、調子が悪くなったから新しく企画部門を強化しよう、など日本企業も決して笑えないことを行っている。厳しいからこそ変えようと思って、一生懸命にさまざまなことをやって、結果としては東條内閣以降の失敗の轍を踏んでいるといったこともあると思います。

片山 そうですね。

―― 無任所大臣の設置や省庁再編は、確かに頭で考えれば機能するだろうと思うわけです。例えば無任所大臣であれば、自分の省庁を持っていないので、できることが限られます。自分の手足(と言っては悪いですが)となって動いてくれる人たちがいないわけです。では、何ができるかというと、限界がある。

 省庁再編も、働いている立場になると分かりますが、急に隣の省庁だった人と席を並べることになって「よろしくお願いします」と言っても、やり方は全く違うし、それまでの慣習も違う。しかも、どこにどのような決定権があるのかも分からない。そのような中では、「私たちは何を決めるのでしょうか」となるでしょう。また、例えば他の省庁が「やはりこれは俺たちの仕事だ」と言ってくることもあるでしょう。よって運用上、どこまでが誰の仕事配分なのか分からなくなるだろうということは、目に見えています。

 これを実際に機能させるためにはどうするべきだと思いますか。非常に難しい問題ですが。

片山 そのときそのときの政治改革を行おうとした人たちが、どこまで歴史的なことを考えていたかは疑問ですが、1945年までうまくいかなかった、あるいは構想はあったけれども実現しなかった。これらを戦後ハイブリッドさせて、なんとかならないかということで行ったのが、平成の政治改革だったと思います。

 無任所大臣は戦後...

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