近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
岩倉具視の明治維新は第2の徳川幕府を作り出さないこと
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(3)天皇を中心とした近代国家へ
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
明治政府、特に岩倉具視が目指したのは、天皇中心の近代的な中央集権国家だった。そして、二度と天皇以外に実権を握られないように、権力が集中しないシステムをつくり上げたのだが、それが結果的に国を動かす際には矛盾をかかえることになってしまった。(全9話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分08秒
収録日:2021年5月31日
追加日:2021年8月18日
≪全文≫

●明治政府が目指した近代的な中央集権国家は天皇が中心


片山 明治政府、特に岩倉具視は、今までの日本の歴史の轍を踏まないことを強く主張していました。現代人が考えると不思議に思うかもしれませんが、明治維新は日本を近代国家として欧米に対抗、あるいは対等になることを目指していた。別に戦争をするのではなく、とにかく対等の文明国だということを欧米に認めさせて、列強と肩を並べていく近代的な国家にしようとしたのです。

 それと同時に、天皇中心の王政復古の国を目指したということにポイントがあります。王政復古だからこそ、幕藩体制や摂関政治を超えた中央集権が日本の歴史では可能だということです。日本では歴史的に、公地公民制、律令体制でしか中央集権の実を上げた時代がなく、その時は天皇の親政という体裁を取っていました。そのため、日本の歴史の中で近代的な中央集権国家をつくろうと思えば天皇が中心になるという理屈があったのです。

 歴史を踏まえて考えて、そしてやはり今度こそ王政復古だ、と。当然、明治維新の時の公家の考え方として、武家(武士階級がいなくなれば武家はいなくなるのですが)的なものを警戒していました。

 天皇がいたのに、なぜか平清盛、足利尊氏や義満、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といったものが出てきて、実質的な政権をみな持っていってしまう。もちろん古くは藤原氏も持っていってしまったし、同じ皇族の中でも上皇が持っていってしまっていた時代も長くありました。とにかく天皇中心に、中央集権的な朝廷で政治がまとまることは日本の歴史の中ではとても少なくて、隙があるとすぐ持っていかれてしまう。今度こそ持っていかれたくないというのが、岩倉具視の明治維新です。つまり、第2の徳川幕府を決して作り出さないようにするということです。

―― 確かに幕府を倒して明治維新をしたわけですから、再び権力の主になってしまうような存在が国家の中にできてはいけないという思想ですね。

片山 そうです。それをものすごく強く意識した。もちろん三権が分立し、特定の箇所に権力が集中しないことが、民主的なチェックの効く近代国家の有りようだという思想も入っています。それ以上に、天皇の下で征夷大将軍や鎌倉幕府の執権といった、いかにも全権を握れそうなポジションが出てこないように、下の縦を割って、みなが天皇の下に来るようにした。天皇の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
武士は「お手本がない時代」だからこそ生まれた…武士誕生の真実と大唐帝国の解体
関幸彦
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
平安時代の歴史~「貴族道」と現代(1)日本の歴史における平安時代の意味
平安時代の意外な真実…貴族社会の華やかさの裏の激動と転換
関幸彦

人気の講義ランキングTOP10
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男