近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本人は「ルサンチマンの政治」を止めて歴史の教訓に学べ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(9)亡国の危機と政治の見直し
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
このままでは日本も滅びかねない。ルサンチマンの政治は終わりにしなければいけない。そう強く語る片山杜秀氏。日本の行政を立て直すため、かつて近衛内閣と東條内閣時代に構想されたもの、その失敗の歴史を踏まえ、平成の政治改革を今こそ見直す時期に来ているという。(全9話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分18秒
収録日:2021年5月31日
追加日:2021年9月29日
≪全文≫

●平成の政治改革を見直す時期に来ている


片山 そう考えると、内閣府を強化しているつもりが、参謀本部的に強力になっていないともいえる。ありとあらゆることで内閣府は、官邸、官房を助け、下位の全官庁にいろいろなアイデアを出させると言うけれど、東條内閣時代の行政の参謀本部構想もそうですが、これは下位の官庁より優秀な人間が多くいなければ無理なのです。

 ところが実際、人事の異動でも、アメリカ大統領が非常に才能のある人間を多く集めてくるようなことが、日本ではできていない。非常に半端な形でしかできていないし、規模も小さい。内閣府は大きな役所ですが、行っている業務を考えると、全ての官庁ににらみを利かせようと思えばそれができるだけのスタッフがいるとは思えない。言葉は悪いのですが、出向している人が「溜まっている」ようにしか見えない。各特命担当大臣も、強力な専任スタッフを持っているわけではない。そういったことを考えると、やはりアイデア倒れに終わっている。

 それが、近衛内閣時代の構想と東條内閣時代の構想のハイブリッドとして、1990年代以降の政治改革の結果の安倍政権や菅政権の有りようであり、(実際に)特命担当大臣というものを止めるなどと言い出す人はいないでしょう。「内閣府解体」と言っている人も、有力な政治家では聞いたことがありません。

 私は、特命担当大臣や無任所大臣、また東條内閣時代に期待されたものが内閣府的に今うまく機能しているのかなど、一回全てを見直す時期に来ていると思います。政治改革がうまくいっていないことが、今の日本の政治の混乱で示されていると思うのです。


●日本の政治において「制度を変えれば何とかなる」は間違い


片山 そうすると、どうしたらプラスになるのか。これは難しい問題です。各官庁のやる気を出させるために上層部が人事権を濫用できるかのようにする、といったことは無理でしょう。現在の地球環境問題にしても、疫病問題にしても、科学技術が次々と発達している時代には、技官、テクノクラートといった専門家が必要だと思います。ただ専門家にトータルで見る認識が不足しているのなら、やはり政治家が大事になります。

 官邸、官房、内閣府、規制官庁など何段構えみたいに行政を複雑にするのはやめて、昔のように総理大臣が仮に調整役でもいいかもしれない。そして、各官庁にやる気を持たせ、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓