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不幸は私のせい?大臣と総理とでは見える風景が全然違う

総理として実感した国家経営の要諦(6)総理になって見えてきた風景

野田佳彦
衆議院議員/第95代内閣総理大臣
概要・テキスト
早稲田大学政治経済学部での講義を終え、講義を聴いた学生たちからの質問に答えていく「質疑応答」編。その前編では、「今後、日本が国際平和のために果たすべき役割」「総理になって見えてきた風景と中国の印象」「若者の政治参加と世襲問題と被選挙権の改革」などについて、野田元総理が率直に答えていく。総理になると、国会議員だったときや大臣を務めていたときと比べても、見えてくる風景がまったく変わるという。果たして、どのようなことか。また、中国の指導者の姿にどのような感想を抱いたのか……。(全7話中第6話)
時間:16:05
収録日:2024/04/18
追加日:2024/11/27
キーワード:
≪全文≫



●今後、日本が国際平和のために果たすべき役割


【質問その1】
現在、ロシアやイラン、イスラエルなど、多くの国際的な課題を抱えています。従来、日本は「間に立ってつないでいく」というスタンスでやってきたと思うのですが、昨今「アメリカのそばに立つ」ことを強調することも多いように思います。今後、日本が国際平和のために邁進していくにはどうすべきでしょうか。

野田 これも今日的なテーマで、岸田(文雄)さんをどうのと言いたくはないのですが、先日の米国での上院下院の合同演説(2024年4月11日)のときに、「グローバルパートナー」という表現をされました。「アメリカだけではない、日本も分かち合います、シェアします」ということを言いましたよね。グローバルでそこまで日本は覚悟しているのか。「グローバルパートナー」の考え方について具体的な話を国会で言ったことはないし、国民に説明していないのに、前のめりで言い過ぎているのではないか。

 アメリカという国はずっと、1945年に第二次大戦が終わった後も、いろいろなところで自分たちの国の若者たちが血を流し、そしてそれを送り出した家族たちがたくさんいるわけです。私は自衛官の倅ですが、訓練中に亡くなる人はいましたけれど、戦死者はいません。「グローバルパートナー」とは、そこまで覚悟する気があるのか。覚悟もないのに迂闊に言ってしまって相手に幻想を抱かせるのは罪だと思います。これはいかがなものかと思うのです。

 そう言わないとアメリカが引っ込んでしまうから言ったのだと思います。引っ込まないようにするためには、東シナ海や南シナ海の問題にもコミットしてもらうようにするためには、自分たちもパンチ力のある対応をして、アメリカにも関与してもらう。そのために、他の同志国にも入ってもらうような多層的な試みは必要だと思うのだけれど、「グローバル(パートナー)」と言うとやや違うと思うのですよ。

 中東について、例えば日本がやるべきことがあるとするならば、ア...
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