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少子化は「静かなる有事」…異次元対策だけでは足りない

総理として実感した国家経営の要諦(7)難しい増税判断…未来をどうする

野田佳彦
衆議院議員/第95代内閣総理大臣
概要・テキスト
早稲田大学政治経済学部での講義の後、学生たちの質問に野田元総理が答えていく「質疑応答編」の後編。「立憲民主党が次の選挙で政権を取ったとして、日本経済の長期的目標としてどこを目指していくのか」といったことから、アベノミクスの反省、成長戦略と規制改革、増税についての判断、少子化対策、外交のあり方など、氏ならではの持論を展開する。(全7話中第7話)
時間:16:05
収録日:2024/04/18
追加日:2024/11/27
≪全文≫



●アベノミクスの反省…金融政策だけでなく「成長戦略」と「規制改革」を


【質問その4】
経済の質問をさせていただきます。今の政治家や経営者の方にはバブル崩壊後の悪夢・トラウマが残っていると思いますが、私たち18歳、19歳、20代はそういう悪いイメージではなく、これから上がっていく日本経済の姿のほうがイメージしやすいのではと思います。もし野田元総理がおられる立憲民主党が次の選挙で政権を取ったとして、日本経済の長期的目標としてどこを目指していくのでしょうか。

野田 アベノミクスが11年続いたでしょう。この判断、評価はいろいろあると思います。初動は良かったと思います。私の総理在職中は円高で苦しんでいた。でもアベノミクスによって輸出産業を含めて元気になって、株も上がった。(なので)初動は良かった。けれど、狙いは物価を上げることだったではないですか。デフレを克服しようとしたけれど、物価は動かなかった。ということは、要はデフレとは貨幣的な現象ではなく、金融政策だけでは動かないということを学習しなければいけなかったのです。

 では何が足りなかったのかというと、金融政策一辺倒ではなくて、三本の矢のうちの成長戦略の箇所が弱すぎたのです。財政出動は、ばらまきも含めてずいぶん行いました。でも賢い支出とはいえなかった。

 やはり成長戦略をつくる。例えば、環境の問題やDXなどを含めて、成長分野はどこなのかを見つけ、そこに財政を思い切って注ぎ込むことによって潜在成長率を上げていかないといけない。潜在成長率がほぼ0パーセント近傍では、これから少しでも今日より明日が良くなると思えるような国をつくれないじゃないですか。無理して財政出動して、上げ底の何かをつくるというやり方は限界だと思う。それは、将来世代に禍根を残すことばかりだと思います。

 今「規制改革」とはいわないのですね。ほとんど死語と化しているのですが、放っておくと妙な規制がたくさん溜まる。それをもう1回、整理していくことが大...
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