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お宝の海を守れ――領土・領海の維持管理は国家経営の基本

総理として実感した国家経営の要諦(5)領土・領海の維持と皇室への想い

野田佳彦
衆議院議員/第95代内閣総理大臣
概要・テキスト
国家経営の基本として野田氏がさらに挙げたのは、「領土・領海の維持管理」である。日本は決して大きな国ではないが、日本の管理できる排他的経済水域の面積は国土面積の12倍になる。そして、日本の領海はお宝の海だとして、その維持管理の重要性を強調する。最後に、「皇室を大切にする」ことの重要性を挙げる野田氏。総理在任中の体験も交えながら語る。(全7話中第5話)
時間:16:05
収録日:2024/04/18
追加日:2024/11/27
キーワード:
≪全文≫



●日本の領土・領海はしっかり維持管理、守り抜く


 もう1つは、外交安保に関わることかもしれませんが、「領土・領海はしっかり維持管理、守り抜く」ということを国家経営の基本に置きました。

 日本の領土、あるいは領海の起点になるものには1つ、島があります。日本には島が6852あると、当時はいわれていたのです。昨年(2023年)、変わったのですが、知っていますか。1万台あるのです。私の在職していた頃は約6850だった。それでもすごい島国だなと思ったのです。ところが、35年ぶりに調査をしたら1万4000台だった。何をボーッとしていたのかと思います。それほど島の維持管理ができていない。

 大事なのは、1万4000あまりの島の中でも、「国境離島」といって、それこそ領海や排他的経済水域の起点となる島です。端っこのほうにある離島。そこから自分たちの管理できる海の面積などが決まってくるのです。この数が、私の在職していた頃は484といっていた。この484の国境離島に、実は名前も付けてなかったのです。ひどい話です。このような大事な島、まさに領海や排他的経済水域の起点になる島が名無しの権兵衛ではいけないということで、名前を付ける運動をした。

 尖閣諸島の小島にも名前が付いてなかった。北小島、中小島などがあるのです。それを2012年3月に名前を付けた。名前を付けた直後の4月に、今度は石原慎太郎東京都知事(当時)が急に「尖閣を都が買う」と言い出したので、国有化への流れになっていきます。名前を付けるのも当たり前ですが、しっかりと維持管理をしていかなければいけません。

 これも、その後ボーッとしていたのです。484だったのが、今473に減っているのです。消滅してしまったものがある。これは国益を損ねると思います。

 なぜその473の島が大事か。日本の国土面積は世界で61番目です。決して大きな国ではありません。けれど、離れた島を起点として日本の管理できる排他的経済水域の面積は、国土面積の12倍になる。世界で6番目に躍り出...
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