社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
結婚はコスパ悪?独身で生きていくために必要なこと
2015年の生涯未婚率(50歳までに一度も結婚したことがない人の割合)は、男性23.37%、女性で14.06%(国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2017年)」)となっています。つまり男性の約5人に1人は結婚しません。20年以上遡って、1990年のデータを見ると、男性の未婚率は5.57%、女性は4.33%なので、非婚化が進んでいる現状がよくわかります。ではなぜ結婚しなくなったのでしょうか。
結婚のコスパは悪い?!
独身研究家の荒川和久氏によると、結婚を望まない独身男性に理由を聞くと「結婚はコスパが悪い」という返答が返ってくるとのことです。男性は自分のためにお金を使いたいという意識が強くなっているとのこと。確かに、以前であれば、結婚して家族を持つことが当然とされていたり、またステータスとなったりしていた時代がありました。しかし現代では多様な生き方が許容されるようになっています。そうなると一生自分の好きなことにお金をつかって生きていたい、と思うのも当然ではないでしょうか。こう考えると、結婚すると男性は、なぜ、お金を家庭にいれなければならないのか、という発想になります。つまり、これが「コスパが悪い」ということの意味です。
女性の側から考えるとどうなのでしょうか。社会が個人のさまざまなあり方を許容し、多様化した一方、女性の賃金は平均して低いままです。2016年の記事によると、日本における男女間の給与格差は、OECD加盟国(35カ国)中、なんとワースト3位。この状況では、女性が結婚の条件として男性に経済力を求めることは当然といえるでしょう。
実は結婚は独身よりも2割のコスパ
では、結婚は本当にコスパが悪いのでしょうか。具体的に考えてみましょう。20代後半、都内で暮らす正社員の夫婦がいたとします。男性は年収600万円で女性は年収400万円だったとして、60代半ばを迎えた際の資産を比較すると、それぞれ独身で暮らした場合よりも、結婚して同居した場合の方がおよそ6000万円多くなるという試算があります(子供にかかる費用は計算には入っていません)。都内で暮らすとどうしても家賃が大きなウェイトを占めますが、後は食費や日用品といったところも勘案するとおよそ2割の節約効果があるとのことです。この考え方でいけば、結婚は決してコスパが悪いとは言えないでしょう。独身で生きていくために必要なこと
そうは言ってもやはり「お金よりも自由を手放したくない」と思う人もいるでしょう。この意見を否定することもできません。社会から多様性が失われれば、少数派の人間が生きづらくなります。少し引いて考えてみれば、より多様な人間の多様な生き方が認められてこそ、社会は健全性を保つともいえます。では、どうすれば独身でうまく生きていけるのでしょうか。まずは「働き続けられる身体と環境」であることは言うまでもありません。独身で生きていく場合、基本的に頼れるのは自分だけです。しかし、人は完全に一人では生きていけないのも事実。だからこそ「日常的に協力し合うことのできる仲間、コミュニティ」も大事になるでしょう。独身で生きていくためにはそういったある種の「社交性」も必要なのかもしれません。
<参考サイト>
・公益財団法人生命保険文化センター:生涯未婚率とは何のこと?
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/mariage/12.html
・東洋経済ONLINE:独身男が「結婚コスパ悪い説」を信奉する理由
http://toyokeizai.net/articles/-/156392
・MAG2NEWS:男女間の給料格差、日本は世界でワースト3位にランクイン
http://www.mag2.com/p/news/162990
・生涯で6000万円もの差がつく 実は高い結婚のコスパ
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO12825060T10C17A2000000?channel=DF080720160379
・公益財団法人生命保険文化センター:生涯未婚率とは何のこと?
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/mariage/12.html
・東洋経済ONLINE:独身男が「結婚コスパ悪い説」を信奉する理由
http://toyokeizai.net/articles/-/156392
・MAG2NEWS:男女間の給料格差、日本は世界でワースト3位にランクイン
http://www.mag2.com/p/news/162990
・生涯で6000万円もの差がつく 実は高い結婚のコスパ
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO12825060T10C17A2000000?channel=DF080720160379
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
お酒やコーヒーなど世の中には睡眠に良くないのではないかといわれるものがある。また、現代においては特に、スマホの「ブルーライト」が睡眠には大敵だといわれているが、それらは本当に悪者なのか。一般に良い睡眠を妨げると...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/30
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
史料読解法…江戸時代の「全国の藩校ランキング」を探る
歴史の探り方、活かし方(6)江戸時代の藩校レベルを分析
江戸時代の藩校に関する研究は多いが、当時は藩ごとに小国家を形成していたため、学力水準を全国で比較したものは見当たらない。では、あえて「全国藩校ランキング」を考えるとすると、どの藩の藩校が「トップ校」になるのだろ...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/29


