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DATE/ 2017.05.06

犯罪データでみる東京23区…最も安全な地域とは?

 進学や就職で4月から東京に住むことになった人も、生活に慣れてきた頃ではないでしょうか。満員電車や雑踏、複雑な駅構内など、最初のうちは「東京って怖い」と思われることの連続だったかもしれません。でも本当に怖さをコントロールするのは、やっぱり治安。警視庁のデータから、東京23区の「怖い」伝説は本当なのかウソなのか。住んで安心な街はどこなのかを検証してみました!

2016年に最も犯罪が多かったのは、世田谷区!?

 東京23区の犯罪発生状況については、毎年警視庁が統計をとり、現在では「東京都オープンデータ」からもアクセスできるようになっています。ただ、この数字は「区市町村の町丁別」に数字が並べられているので、読み方には注意が必要です。順に見ていきましょう。

[23区犯罪件数ワースト3(2016年)]

 1. 世田谷区 7,107件
 2. 新宿区  6,973件
 3. 江戸川区 6,887件

 えっ、そうなの? と思いませんか。歌舞伎町で悪名高い新宿区よりも、高級な住宅地というイメージの世田谷区で犯罪が多発しているなんて! これは人口との関連を忘れているからです。23区の人口は日々変化しますが、2017年1月1日現在では930万人。多い順に世田谷区(89.2万人)、練馬区(72.3万人)、大田区(71.7万人)が並び、飛び抜けて少ないのは千代田区(6.0万人)です。

人口あたり犯罪件数のワーストは千代田区!?

 また、「多い・少ない」の基準として、全国平均はどうなっているかもチェックする必要があります。全国の年間犯罪発生件数は、人口10万人あたりの数字として、864.6件(2015年)と公表されています。では、人口10万人あたりで計算し直した東京都の犯罪件数と比較してみましょう。

[人口10万人あたり犯罪件数べスト3](2016年)

 1. 杉並区 729.8件
 2. 文京区 735.2件
 3. 練馬区 739.0件

[人口10万人あたり犯罪件数ワースト3](2016年)

 1. 千代田区 5,594.8件
 2. 渋谷区  2,448件
 3. 新宿区  2,060件

 人口10万人あたりの発生率を見ると、杉並区、文京区、練馬区を始め品川区、目黒区、世田谷区などの住宅地は全国平均よりも低い数値。東京が一概に「怖い」場所ではないことを示します。人口の少ない千代田区での犯罪件数が多いのはなぜかというと、丸の内や神田など、昼間人口の多い地域を抱えているからです。

犯罪件数を決めるのは昼間人口? 面積の狭さ?

 昼間人口との関係を見ると、犯罪発生率の傾向はよりよくわかるでしょうか。

[昼間人口10万人あたり犯罪件数べスト3](2016年)

 1. 千代田区 411.8件
 2. 中央区  430.7件
 3. 文京区  451.0件

[昼間人口10万人あたり犯罪件数ワースト3](2016年)

 1. 台東区  1,388.5件
 2. 江戸川区 1,181.1件
 3. 豊島区  1,144.2件

 千代田区の犯罪発生率は、昼間人口で見ると、全国平均の半分近くまで下がります。かわって浮上したのが、台東区、江戸川区、豊島区です。

 台東区と豊島区は、いずれも昼間人口の方が登録された人口より多くなるオフィス街・商店街を抱えていますが、その傾向は千代田区や中央区の方がよほど顕著です。また、住宅地イメージの強い文京区にしても、学校が多いことから、昼間人口のほうが登録人口を上回る傾向は同じです。では面積はどうでしょうか。面積が狭く、人が少なければ少ないほど犯罪件数も少なくなるのは明らかです。

[23区面積の小ささべスト3]

 1. 台東区 10.11平方キロ
 2. 荒川区 10.16平方キロ
 3. 中央区 10.21平方キロ

[23区面積の大きさベスト3]

 1. 大田区  60.75平方キロ
 2. 世田谷区 58.05平方キロ
 3. 足立区  53.25平方キロ

 上の犯罪発生件数と照らし合わせても、明らかな関係は見られません。となると、犯罪の種類のほうに原因があるのかもしれません。

江戸川区の事例をウォッチ

 「犯罪件数ワースト3」「昼間人口10万人あたり犯罪件数ワースト3」に顔を出す江戸川区は、区のHPを見る限り、23区の中で最も危機意識の高い取り組みを行なっているように感じられます。

 区が独自に製作した平成12年から28年までの「刑法犯認知件数の推移」(14年連続減少を記録)、23区内でのワースト順位の推移など、一目でわかるグラフやデータをオープンにして、注意を呼びかけているからです。

 警察の統計では犯罪件数を「凶悪犯(殺人、強盗、放火など)」「粗暴犯(傷害、暴行、脅迫、恐喝など)」「侵入窃盗(空き巣、忍び込み、金庫破りなど)」「非侵入窃盗(ひったくり、スリ、万引き、自動車・自転車盗など」「その他」の5つに分類していますが、江戸川区が突出して多いのは「侵入窃盗」特に空き巣です。昼間は夜よりも10万人ほども人口が減るので人目が少なく、侵入しやすい一戸建て比率も比較的高い。また荒川と旧江戸川に挟まれていて、すぐに境を越えられるという環境も、犯罪を誘発するのかもしれません。

 統計上は「自転車泥棒」も「コンビニ強盗」も同じ1件としてカウントされるため、江戸川区ではいま犯罪件数の約4割を占める自転車盗難の削減に向けて、対策を強化しています。

「犯罪発生年間1件」の町は具体的にどんな場所?

 警視庁のデータを見ていると、2016年中犯罪発生がゼロという場所はないものの、同じ区でも明らかに差が見て取れ、時折「1」という数字が現れます。年間に1件しか犯罪のない土地は、一体どんな場所なのでしょうか。

 例えば台東区では、谷中4丁目と6丁目。これは各宗派の集まる寺町であることが原因です。葛飾区では東水元6丁目。区の最北東にあたり、最寄りの金町駅から徒歩40分かかります。足立区では西綾瀬1丁目。東京拘置所のすぐ裏手です。

 新宿区には意外にも犯罪1件地域が多いのですが、例えば市谷砂土原町1丁目・2丁目から市ヶ谷長延寺町にかけては、防衛省と陸海空自衛隊の裏手、赤城町は牛込の鎮守・赤城神社の出世稲荷が鎮座するところ、袋町は牛込氏の居城跡とされていたりします。

 現役の住宅地として機能していながら、「犯罪件数1」を達成している安全な町は、世田谷区の北烏山5丁目、瀬田1丁目、文京区の小日向2丁目ぐらいしか見つかりませんでした。

 ちなみに東京23区内で最も犯罪が頻発するのは新宿3丁目。年間1165件の内465件が「万引き」ですが、「暴行」も71件に上ります。ファッショナブルな商品の陳列とお酒に酔った勢いこそ、東京の「怖さ」の正体ということでしょうか?

<参考サイト>
・警視庁 区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/jokyo_tokei/jokyo/ninchikensu.html
・東京都昼間人口の予測 -統計データ- 平成27年3月
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/tyosoku/ty-data.htm
(10MTV編集部)

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