テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.06.01

職場のPCも狙われる!「マルウェア」の脅威

 近年急速に被害を拡大させているコンピュータウィルスをご存知ですか? 2017年5月には、世界中の企業や組織を狙ったサイバー攻撃でランサムウェアの「ワナクライ」が話題になりました。日本では休日だったこともあり被害は少なかったようですが、世界規模で起こったサイバーセキュリティに関する重大事件としてさかんに報道が行われました。

「ランサムウェア」とは?

 ランサムウェアとは、身代金を意味する「ランサム」と「ソフトウェア」をかけた言葉で、パソコンのデータを暗号化し、解除の代わりにお金を要求するというウィルスソフトです。一台のパソコンが感染すると、それと繋がっていたパソコンまでアクセス不能になってしまうという二次被害もあります。

 中でも一番気をつけなくてはいけないのがメールです。人の気を引くような件名や文面で、本文中のURLをクリックさせて、ウイルスに感染させるという手が多く報告されています。一度感染してしまったら、泣く泣くデータ復旧を諦めるしかないということも。パソコンだけでなく、スマートフォンにまで影響を及ぼすため、パソコンを使わないという人も他人事ではありません。

しかし気をつけるべきはこれだけではありません。ランサムウェア以外にも、悪質なものが存在しています。いざというときに困らないよう、最低限の知識を身につけておきましょう。

悪意のあるソフトウェア「マルウェア」とその種類

 まずは「マルウェア」という言葉。これには「悪意のあるソフトウェア」という意味があり、その総称です。その中で「コンピュータウイルス」、「ワーム」、「トロイの木馬」、「スパイウェア」、「アドウェア」など、それぞれ異なる性質を持つソフトに分類されます。「ランサムウェア」も、マルウェアの一種なのです。

 「コンピュータウィルス」は、経済産業省の「コンピュータウイルス対策基準」によれば、他のプログラムに自らをコピーする「自己伝染機能」、発病に気づかせないため症状を出さない「潜伏機能」、プログラムやデータ等の破壊を行う、誤作動を起こさせるなどの「発病機能」、いずれかを持っているものと定義されています。

 次に「ワーム」。ユーザーが操作しなくても単独で行動して自己増殖するたちの悪いマルウェアです。コンピュータとネットワークのパフォーマンスと安定性を下げる原因になります。

 「スパイウェア」はデータを破壊することはありませんが、感染したコンピュータの内部情報を外部に送信する能力があります。IDやパスワード、口座番号から金銭的被害につながる危険性があります。

 「トロイの木馬」は、その名の通り、一見すると安全に見えるプログラムやファイルに偽装したマルウェアです。ユーザーがトロイの木馬をインストールしたことに気づかないことも多いため、知らないうちに、個人情報を盗まれるという危険があります。

 「アドウェア」は、広告を見せるためのソフトで、ただ宣伝のためだけのものなら害はありませんが、中にはパソコンの動作を不安定にさせたり、URLを勝手に書き換えてしまうものも存在します。

意識を高めるタイミング

 このようなマルウェアによって、クレジットカード情報の流出による金銭的な被害やSNSのアカウントが乗っ取られるという被害も増えています。

 これを防ぐためには、マルウェアがどんなものかを少しでも知っておき、その対策として常にパソコンやPCのOSやソフトウェアのバージョン、ウイルス対策ソフトを最新の状態にしておくことが重要です。

 今回のような騒ぎがあったときには、普段、目にふれない情報がさかんに報道されるようになります。そんなときにこそ、一体どんな脅威なのか、意識的に調べて、改めて対策しておくとよいでしょう。

<参考サイト>
・経済産業省 コンピュータウイルス対策基準
http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/CvirusCMG.htm
・サイバーセキュリティ.com マルウェアとは?その種類・感染原因と対策を徹底解説
https://cybersecurity-jp.com/security-measures/14198
・TERILOGY マルウェアとは
http://www.terilogy.com/solution/apt/001c.html
・富士通 FMVサポート スパイウェア・アドウェア・マルウェアについて教えてください。
https://www.fmworld.net/cs/azbyclub/qanavi/jsp/qacontents.jsp?PID=1404-9926
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯

ピアニスト江崎昌子氏が、ピアノ演奏を交えつつ「ショパンの音楽とポーランド」を紹介する連続シリーズ。第1話では、すべてのピアニストにとって「特別な作曲家」と言われる39年のショパンの生涯を駆け足で紹介する。1810年に生...
収録日:2022/10/13
追加日:2023/03/16
江崎昌子
洗足学園音楽大学・大学院教授 日本ショパン協会理事
2

中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う

中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う

クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か

近年、アフリカで起こったクーデターは、イスラム過激派の台頭だけではその要因を説明できない。ではクーデターはなぜ起こるのか。また、台湾よりも中国のほうがクーデターが起こる可能性はないのか。クーデターは本当に「ラス...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/18
上杉勇司
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授 沖縄平和協力センター副理事長
3

不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?

不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?

習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実

改革開放当時の中国には技術も資本もなく、工場を建てる土地があるだけだった。経済成長とともに市民が不動産を複数所有する時代となり、地価は高騰し続けた。だが、習近平政権による総量規制は不動産価格を低下させ、消費低迷...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/16
垂秀夫
元日本国駐中華人民共和国特命全権大使
4

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?

今井むつみ先生が2024年秋に発刊された岩波新書『学力喪失――認知科学による回復への道筋』は、とても話題になった一冊です。今回、テンミニッツ・アカデミーでは、本書の内容について著者の今井先生にわかりやすくお話しいただ...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/10/16