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DATE/ 2023.07.25

タクシー運転手に聞いた「イヤな客」とは?

 初乗り料金も改定され、短距離なら以前よりかなり安く利用できるようになったタクシー。これまで近い距離だとタクシーに乗るのを躊躇していた人も気軽に乗車できるようになり、タクシー利用客の増加も見込まれています。

しかし、利用者が増えるのは嬉しい一方、困ったお客さんも多いと嘆くタクシー運転手さんたち。今回は、現役の運転手さんと元運転手さんに、「こんなタクシー利用客は嫌われる」というお客さんたちの特徴をお伺いしました。

吐く、起きない、 酔っぱらい客で大迷惑

・吐かれるのが一番困る! 車内の匂いや汚れのクリーニングもありますし、その間他のお客さんを乗せられない。営業妨害です。

・ビニール袋を用意していますし、吐きたくなったら車も止めます。いくらでも対処はできるのに車内で吐くお客さんがいるんです。弁償金をもらうこともありますが、ごまかして吐き逃げする人もいますね。

・たとえば「三鷹」と行き先を告げた後酔ったまま爆睡し、近くなって声を掛けて起こそうとしても起きない客がいます。どうしても起きない時は警察に行ったり、業務外の仕事が増えてしまうので、乗車時にかなり酔っているなと思ったら先に住所を細かく聞き出しておくことにしています。

車内であんなことやこんなこと…非常識な客たち

・車内で飲食されるお客さんが嫌です。飲物や飴くらいならいいですが、こぼしてシートを汚したり、匂いがキツいものなんかを食べられると本当に困る。外国人観光客にキムチを食べられたときは、さすがにやめてくれと頼みました。

・車内でいちゃつくカップル客もよくいますが、バレていないつもりでも全部こちらには見えています。車は密室ですから二人の世界に入り込んでしまうのでしょうが、他人がいることを忘れず節度を持ってもらいたい。

高い、遠い、道を知らない、とケンカ腰のクレーム客。

・「いつもより100円も高い」などと、支払いでキレるお客さんが嫌です。同じ道でも、信号や混み具合によって多少変わりますし、わざと遠回りしなくても誤差はあるものなんです。

・初めて行く土地なのでナビを入れようとすると「急いでるんだから、わからないなら乗せるな」「タクシー運転手のくせに〇〇駅も知らないのか」と、怒り出すお客さんが結構います。こちらは迷ったり間違えたりしないために善処しているつもりですが、ナビひとつで「プロ意識が足らない」と説教してくる客は嫌ですね。

・目的地に到着してから、「時間内に着かなかった」とか「遠回りした」「道を何度も間違えた」と支払いを拒否したり、値切ってくる客が嫌です。本当にこちらが迷惑をかけたなら値引きサービスをさせてもらいますが、しっかり乗ってから「払わない」は通用しません。

もしかしたら困った客かも?その見分け方とは。

 毎日色々なお客さんと接するタクシー運転手さんたちは、「このお客さんは要注意」だと乗車時にわかるようになってくると言います。その見分け方のポイントを教えていただきました。

・乗車された時に、わたしが挨拶をしても挨拶されないお客さんは要注意です。タクシー運転手を見下しているようなタイプは挨拶なんてしませんから、ちょっとのことで怒り出します。

・タクシーに乗車して「表参道」と地名だけ行き先を言うお客さん。普通は「表参道の交差点までお願いします」とか、もう少し丁寧に言いますよね。名詞だけでしか会話しない客は、話しかけても無視なんてこともあるのでトラブルがないように敏感になります。

・「真っすぐ行って」と目的地を言わない客は問題を起こすタイプ。その後も直前で「左に曲がって」とか「車線変更して」と細かく指示を出して来て、自分の思い通りにいかないと文句を言ってくることが多いんです。

実はトラブルが起きやすい「意外な」客とは。

 そしてほとんどの運転手さんが口を揃えて、乗せる時に緊張感があると言うのが、なんと「女性客」。後からタクシー会社に連絡を取るような女性クレーマーが多いそう。「遠回りじゃないですか?」とか「急いでいるからタクシーに乗ったんですよ」と車内でお説教を始めるとしつこいのも女性客だという話もありました。またお金がないのに乗車し、お金を取ってくると言って戻らない客にも女性客は少なくないそうです。もちろん女性客みんながみんなそんなお客さんではないそうですが、乱暴で高圧的な男性客よりも「女性客には注意」というのがこの業界ではよく聞く話なのだそう。

 ある運転手さんは「女性はタクシーに乗り慣れてない方が多いというのもありますし、もし揉めても自分は女だから運転手は強くは出られないだろう、という意識があるのかも。だから、お金がないからまけて、なんて甘えてくるのも圧倒的に女性客なんですよ。」と分析してくれました。

 いかがでしたか?乗る側の客の「こんなタクシーは嫌だ」という話題はよく聞くものの、日々さまざまなお客さんを乗せる側のタクシー運転手さんたちの苦労や裏話はなかなか聞けないもの。運転に加え、接客業としての一面も持つタクシーの運転手さんたちの業務も楽ではありませんね。
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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授