テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.10.30

結局「自転車」はどこを走ればいいのか?

 自宅から駅までちょっとあるけれどバスに乗るまでではない、あるいは節約のため、健康のためと、自転車を利用する人はたくさんいます。

 長らく愛され続けている自転車ですが、実は道路で肩身がせまい思いをしていることをご存じでしょうか。道路には車道と歩道がありますが、自転車が通る場所があったりなかったり、決められていたりそうではなかったりと、実にあいまいなのです。なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。

車道を走ればいいのか?

 道路交通法では、「自転車は車道を走るのが原則」と定められています。自転車は「軽車両」と位置づけられ、歩行者ではないので、基本的に歩道を走ってはいけません。

 ただ例外として、歩道を走っても良い場合もあります。歩道に「普通自転車歩道通行可」(人のマークと自転車のマーク)の標識がある場合、13歳未満のこども、70歳以上の高齢者など、また工事などで車道がふさがれていたり道幅が狭く車道に出ると危険であると判断される場合は歩道を走ることが認められます。ということで、自転車は、車道では左側を、歩道に行く場合は歩行者優先で車道寄りを走行することになります。

 しかし、インターネット上では、「車道を走っているのに怒られた」という意見もあり、これでは決まりを守っているのに理不尽ではないかと思っている人も多いようです。つまり、自転車は自動車からも歩行者からも邪魔者扱いされているというのが現状です。とはいえ、法律で決められているので、怖いと思う人もいるかもしれませんが、自転車に乗ったら基本的には車道を走りましょう。

 もちろん道路に自転車専用通行帯(自転車レーン)があればよいのですが、新たに作るにもそれ相応のコストがかかります。整備が行き届くにはまだまだ時間がかかりそうです。

二段階右折の謎

 また、自転車で悩むのが右折の問題です。自転車は車道の左側を走行していますから、右折するときに「二段階右折」をしなければなりません。「二段階右折」とは、交差点の向こうまでまっすぐ進み、向こうの歩道近くまで渡りきってから、右に方向転換して進むことを指します。つまり、常に左、左という走行意識を持っていなければなりません。走るときは車道なのに、右折の際は自動車と同じように曲がれないということですね。こうした点も、自転車のややこしいところです。

どの信号機を見ればいいのか?

 また、自転車の場合、信号は何を守れば良いのか。これも迷う人が多いようです。これは「対面する信号機に従う」とされています。つまり、走る場所が車道である以上、走行中、基本的に車道の信号を守るということですね。

 ただ、これも例外があります。例えば、車道にいても自転車から降りた場合には歩行者扱いとなり、あるいは例外的に歩道を走っている場合も歩行者扱いとなるため、歩行者用の信号を守ることになります。また、「歩行者・自動車専用」と書かれている歩行者用信号機がある場合は、車道を通行していてもこれに従います。ということで、両方の信号を時と場合によって使い分けないといけないのです。

ルールを知って安全な走行を

 とにかくルールが多く、そのルールもややこしい自転車走行。裏をかえせば、それだけトラブルが多いからと考えることもできます。そのため、状況などに応じた例外措置が設けられているのかもしれません。

 自転車に乗るとき、こんなときはどんなルールなのかと疑問に思ったら、国土交通省や警察のサイトなどで調べることができます。ルールを知った上で安全な走行を心がけましょう。

<参考サイト>
・国土交通省:自転車 質問 自転車は、道路のどこを走ればよいのですか?
http://www.mlit.go.jp/road/soudan/soudan_05b_01.html
・国土交通省:自転車交通(PDF)
http://www.mlit.go.jp/common/001085121.pdf
・警視庁 自転車安全利用五則 自転車は、車道が原則、歩道は例外
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/menu/five_rule/five_rule01.html
・自転車道路交通法研究会:自転車の道路交通法 従うべき信号機とその意味
http://law.jablaw.org/br_signal
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運と歴史~人は運で決まるか(2)運に恵まれるにはどうすればいいか

普通の人間の「運」については、どう考えればいいのだろうか。例えば、日本において消費文化が花開いた江戸時代、11代将軍・徳川家斉の治世には、庶民が「運がめぐってこない」ことを皮肉った狂詩があった。運には「めぐりあわ...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/25
山内昌之
東京大学名誉教授
2

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
3

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

編集部ラジオ2024:4月24日(水)

ChatGPTを開発したことで一躍有名となったOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの発展によって社会は大きく、急速に変化しており、その中心的な人物こそが彼であるといっても過言ではありません。

そんなアルトマンが...
収録日:2024/04/15
追加日:2024/04/24
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために

ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
橋爪大三郎
社会学者
5

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か

ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や...
収録日:2019/09/06
追加日:2019/10/31
池上英洋
東京造形大学教授