社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.11.09

自分の死後、見られたくない情報はどうする?

 あらゆる情報がデジタイズされ、PCやクラウドに保存されている時代。親族のみならず、ご自身が亡くなった時の準備は大丈夫でしょうか?

 まだ自分が死ぬなんて考えられない年代の人にとっても、病気や事故や過労など、突然人生が終わることを想定しておくことが賢明です。まだ早いと思いつつも、デジタル世代にとって、SNSやメールアドレス、課金サービスなど、いつ死んでも恥ずかしくないような、終活としての対策を施しておきたいところ。

死後のアクセス方法を残す

 まず、一番に考えたいのは、残された家族に迷惑をかけないことです。

 預貯金、保険、財産の相続、お墓や葬式の問題は、死後、家族でもなんとかなるものの、なかなか手がつけられないのが、PCやインターネットを介したサービス利用にまつわるお金の流れ、SNSなどを通じた人間関係についてです。

 実際、本人でないとアクセスできないパスワードで保護された領域になるので、残された家族にとってはどうすることもできない事案となります。

 サービスプロバイダ、有料メールアドレス、スマートフォン、タブレットなどのデバイス機器、クラウドなどの月額課金サービスにかかる費用は、たいていの場合は、クレジットカードや、銀行から引き落とされているので、カードや銀行で処理をすれば済むのですが、そうしたサービスの解約にたどり着くのはとてつもない困難を強いられます。

 これらの情報をあらかじめエンディングノートにまとめておけば、残された家族にかかる負担を軽くすることができます。各種、登録情報を一カ所にまとめた上で、解約に必要なID・パスワードをわかりやすく記述しておきましょう。

 SNSでつながっている友人に自分の死を知らせてほしい場合は、ログインしてもいいアカウントのIDとパスワードも記述もお忘れなく。

死後、封印したい情報は?

 つぎに、対処したいのは、封印したい情報です。

 家族や親族に見られたくない秘密や情報も少なからず、PCやクラウド、USBメモリーなどの記憶媒体に保存されているのではないでしょうか。若かりし頃のラブメール、不倫の痕跡、エッチな動画、ポエムなど赤面ものの創作などなど。死後の恥は本人の身からでた錆びとはいえ、大切な家族や友人・知人を傷つけてしまう可能性があります。

 これらの扱いがもっとも頭を悩ませる問題かもしれません。

 PCやアプリの設定によっては、これらIDやパスワードが記憶されているので、終活を考え始めたなら、すぐに対処しておきたいところです。

 いつまで使えるのか不安が残りますが、「利用者自身に万が一不測の事態が起こった際に、あらかじめ指定した”家族に見られたくないファイル”を、利用者のPC(ハードディスク上)から削除するツールです」と説明のある「僕が死んだら…」で管理することも一考に値します。こうしたツールやアプリも今後リリースされる可能性があるので、一度検索して、自分の好みにあったツールを選択するのがよいでしょう

 もし、Googleのサービスを多用しているのであれば、「アカウント無効化管理ツール」にアクセスしてみてください。GmailやGoogleドライブなど、一定期間利用がなかった場合のデータの取り扱いを設定することができます。

 より安心を望むのであれば、最も信頼できる友人に委託するか、専門家となる行政書士や弁護士に相談して死後事務委任契約を交わすことをオススメします。守秘義務のもと、しかるべき処理を期待することができるでしょう。

 とはいっても、そうした瑕疵はないように慎むのが肝要となります。

<参考サイト>
・僕が死んだら…
https://www.c-lis.co.jp/our_services/when_i_die
・Google:アカウント無効化管理ツールについて
https://support.google.com/accounts/answer/3036546?hl=ja
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?

日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?

内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か

アメリカは一体どうなってしまったのか。今後どうなるのか。重要な同盟国として緊密な関係を結んできた日本にとって、避けては通れない問題である。このシリーズ講義では、ほぼ1世紀にわたるアメリカ近現代史の中で大きな結節点...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/10
2

知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」

知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方

人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
3

近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ

近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性

ますます進む高齢化社会において医療を根本的に転換する必要があると言う長谷川氏。高齢者を支援する医療はもちろん、悪い箇所を見つけて除去・修理する近代医学から統合医療への転換が求められる中、今後世界の医学をリードす...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/19
4

AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意

AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意

AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力

一橋大学大学院国際企業戦略研究科研究科長・教授の一條和生氏によれば、AIが不得手なのは、暗黙知・常識に基づく高度な判断である。人間の役割はこうした暗黙知を捨てず、個々の状況での判断力を磨いていくことだ。暗黙知を支...
収録日:2017/07/24
追加日:2017/10/30
一條和生
一橋大学名誉教授
5

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造

宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13
岡朋治
慶應義塾大学理工学部物理学科教授