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専門家が教える熊と遭遇した時の正しい対処法とは?
もし、熊に襲われたらどうすればいいのか。助かる方法はあるのか。明治時代から現代まで、事故総数1,993件、被害者総数2,255人を調査し尽くしたクマ研究家・米田一彦氏の著書『熊が人を襲うとき』(つり人社)を参考に探っていきます。
米田氏は秋田県庁生活環境自然保護課に勤務後、1986年からフリーのクマ研究家として国内外でクマに係わる研究を行っており、NPO法人日本ツキノワグマ研究所理事長を務めています。主な著書に『山でクマに会う方法』(山と渓谷社)、『クマを追う』(丸善出版)などがあります。
9~10月についで、事故が多くなるのは5~6月です。この時期、「初夏の山は山菜採りとタケノコ採りの人で山は賑わい」ます。他方、熊も同じものを食べます。さらに熊は「繁殖期(交尾期)にあたり、雄熊は興奮状態にある」ため、事故が多発するのです。
ちなみに、被害者を年齢別で見ると、60代が圧倒的に多くなります。その理由について、米田氏は60代が「それだけ山間地集落で活動を担っている層だからだ」と述べています。
その理由は解明されていませんが、米田氏は「04、06、10、12年と日本は以上な猛暑、高温に晒されて、同期するようにクマの出没年(=全国で大量に出没し、大量に駆除された年)に当たっている。十和利山のクマ襲撃事件と全国で大出没が起こった16年も顕著な猛暑だった。山中では黒いクマが暑さを嫌う様子が見られ、特に標高が低い里山に生息している若いクマには影響が大きかっただろう」と温暖化の影響の可能性を示唆しています。
福島県会津若松市、天栄村、下郷町、会津高田町や、秋田県の八幡平、鳥海山、また、新潟県妙高高原町(現・妙高市)、妙高村(現・同上)、隣接する長野県信濃町のエリアも「危険地域」だということです。
『熊が人を襲うとき』では、まず、防御用鈍器として「ピッケル」「ストック」「ステッキ」をなるべく所持することをすすめています。可能であれば、「ヘルメット」も装着すること。それから、安価で使い道があるのは「爆竹」で、「熊撃退スプレー」は最強の武器であるということです。
ではもし本当に熊に遭遇してしまったら、どうすればいいのでしょうか。同書によると、もし熊との距離が遠い時は動かないこと、「不動する」ことです。熊は素早い動きに反応するので、逃げるときは「動作は緩慢に」。それでも襲われたらば、「大声を出す」。「何でも振り回して自分を大きく見せる」ように動作する。また、「持参した器物でクマの鼻先を打撃、口の中を刺す」。それか、「熊撃退スプレーを正しく使えば効果は確実です」などだそうです。
また、同書ではイラスト付きで「うつぶせ首ガード法」についても説明しています。いわば、「死んだふり」の正しいポーズで、「地面にうつぶせになって腹部を守り、両手で首(頸動脈)と顔面をカバーする」姿勢です。米田氏は「クマの攻撃性が低い状態で襲われたときは、首をガードして「死んだふり」をした方が重傷化を防ぐ。山に慣れていない人には適した方法だ」と述べています。
そして、あとがきには次のように書かれています。「どんな対策も概略10%の不確実性があることを忘れてはならない」。逆にいえば、90%は防ぐことができるということです。完全な熊対策はありませんが、やはり何事も備えあれば憂いなし。山に入いれば熊に出会う可能性があることを忘れないようにしましょう。
米田氏は秋田県庁生活環境自然保護課に勤務後、1986年からフリーのクマ研究家として国内外でクマに係わる研究を行っており、NPO法人日本ツキノワグマ研究所理事長を務めています。主な著書に『山でクマに会う方法』(山と渓谷社)、『クマを追う』(丸善出版)などがあります。
1年でも最も事故が多いのは9月、10月
『熊が人を襲うとき』によると、1年のあいだで、最も事故が多いのは9~10月です。この時期、熊は「越冬、出産に備えて」、ドングリ類やブドウ類などを多食し、「食本能が覚醒しているので、遭遇すると事故が発生しやすく」なります。9~10月についで、事故が多くなるのは5~6月です。この時期、「初夏の山は山菜採りとタケノコ採りの人で山は賑わい」ます。他方、熊も同じものを食べます。さらに熊は「繁殖期(交尾期)にあたり、雄熊は興奮状態にある」ため、事故が多発するのです。
ちなみに、被害者を年齢別で見ると、60代が圧倒的に多くなります。その理由について、米田氏は60代が「それだけ山間地集落で活動を担っている層だからだ」と述べています。
昨今の大量出没は温暖化が原因か
年別で事故発生件数をみてみると、1999年以降に一気に増加し、とくに2004年、2006年、2010年は100件を超え、圧倒的に事故が多かったことがわかっています。その理由は解明されていませんが、米田氏は「04、06、10、12年と日本は以上な猛暑、高温に晒されて、同期するようにクマの出没年(=全国で大量に出没し、大量に駆除された年)に当たっている。十和利山のクマ襲撃事件と全国で大出没が起こった16年も顕著な猛暑だった。山中では黒いクマが暑さを嫌う様子が見られ、特に標高が低い里山に生息している若いクマには影響が大きかっただろう」と温暖化の影響の可能性を示唆しています。
事故が継続する地域がある
県別事故件数は、1位岩手県が341件、2位秋田県284件、3位長野県174件、4位福島県150件という順になっています。事故が継続して発生する地域もあり、たとえば、岩手県釜石市の甲子、野田、定内、唐丹地区では、94年から99年にかけて11件の事故が連続し、重傷事故が多かったのだそうです。「同一家族系のクマが事故を起こし続けた」のではないかと米田さんは見ています。福島県会津若松市、天栄村、下郷町、会津高田町や、秋田県の八幡平、鳥海山、また、新潟県妙高高原町(現・妙高市)、妙高村(現・同上)、隣接する長野県信濃町のエリアも「危険地域」だということです。
「熊撃退スプレー」と「うつぶせ首ガード法」
さて、以上のようなデータを学びましたが、熊と遭遇してしまった場合、どうすればいいのでしょうか。『熊が人を襲うとき』では、まず、防御用鈍器として「ピッケル」「ストック」「ステッキ」をなるべく所持することをすすめています。可能であれば、「ヘルメット」も装着すること。それから、安価で使い道があるのは「爆竹」で、「熊撃退スプレー」は最強の武器であるということです。
ではもし本当に熊に遭遇してしまったら、どうすればいいのでしょうか。同書によると、もし熊との距離が遠い時は動かないこと、「不動する」ことです。熊は素早い動きに反応するので、逃げるときは「動作は緩慢に」。それでも襲われたらば、「大声を出す」。「何でも振り回して自分を大きく見せる」ように動作する。また、「持参した器物でクマの鼻先を打撃、口の中を刺す」。それか、「熊撃退スプレーを正しく使えば効果は確実です」などだそうです。
また、同書ではイラスト付きで「うつぶせ首ガード法」についても説明しています。いわば、「死んだふり」の正しいポーズで、「地面にうつぶせになって腹部を守り、両手で首(頸動脈)と顔面をカバーする」姿勢です。米田氏は「クマの攻撃性が低い状態で襲われたときは、首をガードして「死んだふり」をした方が重傷化を防ぐ。山に慣れていない人には適した方法だ」と述べています。
そして、あとがきには次のように書かれています。「どんな対策も概略10%の不確実性があることを忘れてはならない」。逆にいえば、90%は防ぐことができるということです。完全な熊対策はありませんが、やはり何事も備えあれば憂いなし。山に入いれば熊に出会う可能性があることを忘れないようにしましょう。
<参考文献>
『熊が人を襲うとき』(米田一彦著、つり人社)
http://tsuribito.co.jp/cover/archive/detail?id=4589&kind=1
<関連サイト>
日本ツキノワグマ研究所
http://ha3.seikyou.ne.jp/home/kmaita/
『熊が人を襲うとき』(米田一彦著、つり人社)
http://tsuribito.co.jp/cover/archive/detail?id=4589&kind=1
<関連サイト>
日本ツキノワグマ研究所
http://ha3.seikyou.ne.jp/home/kmaita/
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