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DATE/ 2024.05.05

接客業の男女に聞く「客の腹立つ行動」は?

 物品の生産・販売ではなく、人に奉仕する業種、という考え方が一般的な定義であるサービス業。一口にサービス業といっても多種多様な職業がありますが、いずれもお客さんと直接関わり接客する仕事のため、クレームやトラブルなども多い業種だと言われています。

 今回は、そんな人と関わることをメインに仕事をしているサービス業の皆さんに、「こんな客は嫌だ」という、お客さんの最も腹立つ行動、その特徴をお聞きしました。

こんな客は嫌だ! サービス業を困らせる客たち

1.過剰サービスを求める客

 ホテルの受付をしていますが、「常連なんだから部屋をアップグレードしてくれ」とか「連泊するから割引して」など、過剰なサービスや特別扱いを要求してくるお客さんが嫌です。(ホテル・38歳女性)

 ジムのインストラクターです。毎回自分を捕まえて長時間アドバイスを求めてくるお客さんが困ります。そこまで求めるなら、別料金でパーソナルトレーニングを申し込んでほしい。(スポーツ施設・29歳男性)

 カット料を安くして、セットが必要な人だけ別料金という設定にしたら、「髪乾かすだけでセットしなくていいから料金内でやって」と無料サービスをねだったり、「他はマッサージもしてくれた」とサービスが悪いと言ってくる客。そんな、払った以上のサービスを得ようって客が嫌です。(美容師・37歳女性)

 手に取れる商品があるわけではない接客業だからこそ、サービスの質やコスパを求められがちなのが辛いところ。サービスされて当たり前、というお客さんには皆さんうんざりのようです。

2.セクハラ、色恋を持ち込む客

 客と一緒に目標を立て、達成のための助けをする個人トレーナーのようなコーチングという仕事をしています。悩みを聞く事も多いので、そこを勘違いしてプライベートで親密になろうと恋愛関係を匂わしてくるお客さんが嫌。こっちは仕事です。(コーチング・40歳女性)

 毎週ガソリンを入れに来る主婦のお客さんが、色目を使ってきて、弁当の差し入れまで持って来ます。1度断ったら「毎回来てやってるのになによ!」とキレられました。(ガソリンスタンドアルバイト・25歳男性)

 ベビーシッターで遅くまでお客さんの家にいることもあり、奥さんより先に帰った旦那さんがお酒を薦めてきたり、今度御礼がしたいから食事に行こうなどと誘ってきます。奥さんにバレて、私がクビにされたらどうしてくれるんだと思います。(ベビーシッター・31歳女性)

 お客さんと言っても、人と人。コミュニケーションがあれば好意やその反対も生まれやすいのは当然ですが、その距離感の近さから、恋愛関係を迫られたりセクハラを受けたりすることも多そうです。

3.悪評を流し営業妨害する客

 スナックには常連さんも大勢いますが、他のお客さんと仲良くすると嫉妬する客が。「ママは誰々とデキている」とか「客によって態度を変える」とか、悪い噂を流すのは営業妨害です。(スナック経営・44歳女性)

 居酒屋で働いていますが、料理に髪や虫が入っていると、他のお客さんにも聞こえるように大きい声で言う客が嫌。本当なら取り替えたり料金をサービスしたり謝罪はきちんとしますが、まず騒ぐというスタンスの客は疫病神です。(飲食業・41歳男性)

 食べログやSNSなどに、悪口を書く客。不満があれば直接言ってほしいけれど、それも出来ない小心者で暇な人が書くのだなとは思っていますが、たった1度の来店で「これが不味い」「常連ばかり贔屓する」などと書かれたらたまったもんじゃないです。(飲食業・47歳男性)

 どこで何を言われるか、書かれるか、インターネットやSNSの普及でお店も背筋が伸びる一方、訴えてやろうかと思う程に悪意のある噂を流す客も。行き過ぎたデマレベルの書き込みなどをして、裁判沙汰になった事件もあるそうです。

4.男女、外国人差別をする客

 男性キャビンアテンダントをしていると、「ちっ、男かよ」みたいな対応をされるお客様が。「女のキャビンアテンダントと変わってよ」と言ってくる男性客も時々いて、イラっとしますね。(航空接客業・37歳男性)

 メーカーのコールセンターで働いています。クレームも多い業種なので厄介なお客さんは当然多いですが、「女じゃなくて男を出せ」と怒る客には腹が立ちます。いまだにいるんですよね、女じゃ話にならない的な考え方のお年寄りが。(電話受付・35歳女性)

 大学の近くに店があるので、外国人留学生支援になるようバイトに雇っています。中には「日本語もわからないのを雇うな」とか「この店も外国人だらけになっちゃって」とか不機嫌になる客がいて、悲しくなりますね。(飲食業・50歳女性)

 性別や人種でサービスにケチをつける、それはれっきとした差別。特に年輩の男性客にその傾向が強く、「自分は客だ」と偉そうな人ほど誰にサービスされるかを重要視しているそうで、アルバイトというだけでバカにしてくるという客も。

 たとえマニュアルがあっても、正解がないともいえるのがサービス業の特徴。だからこそ求められるサービスにはお客によって幅があるのかもしれません。しかし、サービスは決して無料奉仕のことではなく、そのサービス自体に支払われるべき適性料金があるということを理解していたいものですね。
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垂秀夫
元日本国駐中華人民共和国特命全権大使