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DATE/ 2018.03.04

ブランド力にコスパ…顧客満足度1位の飲食店は?

 公益財団法人日本生産性本部のサービス産業生産性協議会が、2017年度の「JCSI(日本版顧客満足度指数:Japanese Customer Satisfaction Index)」第1回調査として、6業種におけるのべ69の企業・ブランドの「顧客満足度等」を発表しました。

 6業種の内訳は、1.コンビニエンスストア、2.シティホテル、3.ビジネスホテル、4.飲食、5.カフェ、6.事務機器、です。今回はその中から「飲食」を取り上げ、顧客満足度の高い飲食店についてまとめてみました。

そもそも「JCSI(日本版顧客満足度指数)」って?

 JCSIは、統計的な手法による総計12万人以上の利用者からの回答をもとに実施される、公的機関による日本最大級の顧客満足度調査です。集められた回答は、サービスを多面的に評価するために6つの項目について調査のうえ、指数化されます。

 そして指数化されたデータを、6つの指標の評価とともに項目間の因果関係を比較・分析することで、満足度構造とポジショニングのチェックをすることを可能としています。また、指数化してから評価するため業種を超えての比較や分析もでき、具体的な経営改善や経営目標の活用にも期待されています。

どんな飲食店が調査対象になっているの?

 69の企業・ブランドのうち、飲食の指数化対象企業・ブランド数は24です。対象の企業・ブランド名は、以下になります。

 レストランチェーンでは、かっぱ寿司、ガスト、木曽路、くら寿司、ココス、サイゼリヤ、ジョイフル、スシロー、デニーズ、はま寿司、バーミヤン、びっくりドンキー、ロイヤルホストの計13。ついで丼・麺・カレーを含むファストフード店では、餃子の王将、ケンタッキーフライドチキン、幸楽苑、CoCo壱番屋、すき家、マクドナルド、松屋、丸亀製麺、モスバーガー、吉野家、リンガーハットの計11です。

 以上の企業・ブランドを対象に、回答者の条件を「半年以内に2 回以上の会計を伴う利用をしていること」として、データを集計しています。

6つの指標からみる「ベスト3」の飲食店

 ではいよいよ顧客満足度の高い飲食店を、具体的な6つの指標を、各指標上位3位のランキングとともに発表いたします。

 最初の指標は「顧客期待」です。この指標は、サービスを利用する際に、利用者が事前に持っている企業・ブランドの印象や、期待・予想を示します。ベスト3は、1.モスバーガー、2.木曽路、3.ケンタッキーフライドチキンでした。

 次は「知覚品質」です。この指標は、実際にサービスを利用した際に感じる、品質への評価を示します。ベスト3は、1.モスバーガー、2.丸亀製麺/リンガーハット(同点2位) でした。

 さらに「知覚価値」があります。この指標は、受けたサービスの品質と価格とを対比して、利用者が感じる納得感、コストパフォーマンスを示します。ベスト3は、1.サイゼリヤ、2.丸亀製麺、3.リンガーハットでした。

 ここでいよいよ、「顧客満足」が登場します。この指標は、利用して感じた満足の度合いを示します。ベスト3は、1.リンガーハット、2.丸亀製麺 、3.モスバーガーでした。

 そして「推奨意向」が続きます。この指標は、利用したサービスの内容について、肯定的に人に伝えるかどうかを示します。ベスト3は、1.木曽路、2.モスバーガー、3.丸亀製麺でした。

 最後は「ロイヤルティ」です。この指標は、今後もそのサービスを使い続けたいか、もっと頻繁に使いたいかなどの再利用意向を示します。ベスト3は、1.モスバーガー、2.丸亀製麺、3.くら寿司/スシロー(同点3位) でした。

顧客満足1位の飲食店は「リンガーハット」

 長崎ちゃんぽんでおなじみの「リンガーハット」が、顧客満足1位でした。健康志向の高まる社会ニーズを的確に捉え、野菜と麺・ぎょうざの小麦をすべて100%国産に切り替えたり、野菜のたっぷりとれるメニューを季節にあわせて複数用意したり、また、麺の量を食べる人の好みにあわせてチョイスできるなど、おいしさだけでなく安心・安全かつヘルシーでリーズナブル。そんなところが顧客の満足度を高めているのかもしれません。ちなみに初の顧客満足1位という快挙です。

 顧客期待・知覚品質・ロイヤルティの三冠達成は「モスバーガー」でした。注文を受けてから調理するスタイルや、野菜の産地や生産者を明記するといった一貫した安心・安全への取り組みに、顧客からの高い信頼感が寄せられています。

 知覚価値1位には、「コスパ最強!」との呼び声も高い、イタリアンファミリーレストランチェーンの「サイゼリヤ」が選ばれました。

 推奨意向は、しゃぶしゃぶと日本料理の「木曽路」が1位となりました。お得な「しゃぶしゃぶ祭り」の定期な開催、多様な価格帯のコースの用意やランチの展開など、高級なイメージを保ちつつ、顧客の裾野を広げる企業姿勢が評価されたのかもしれません。

 いかがでしたでしょうか。気になったお店がありましたら、ぜひ一度足を運んでみて下さい。また逆に、試しに一度、自分のよく行くお店を「6つの指標」でチェックしてみるのもいかでしょうか。いつもと違ったお得な一面が、見えてくるかもしれません。

<参考サイト>
・2017年度JCSI(日本版顧客満足度指数)第1回調査結果発表
http://www.service-js.jp/modules/contents/?ACTION=content&content_id=1113
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