社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
働きすぎで罰金?日本と違う「世界の働き方」とは
24時間365日営業の店があるのが当たり前の日本ですが、7日間休まずに営業したパン屋が「働きすぎ」という理由で罰金を命じられるという出来事がフランスで起こったのをご存知ですか?フランス北部のオーブ県では、県の法律でパン屋は一週間に1日は休まなければいけないと決められているため、この法律に違反してしまったというのです。
日本では考えられないような出来事ですが、それぞれの国によって働くことに対する考え方は違うもの。日本と世界でどんな違いがあるのか、調べてみました。
「上司が帰らないから自分も帰れない」「同僚の仕事を手伝わなくてはいけないと思って」といった、組織の中で和を重視する考え方も日本独特といえるでしょう。こうした理由から仕事がなくてもだらだら残業している人もいるため、日本は長時間労働者が多い割に生産性はあまり高くありません。
一方、短い労働時間で高い生産性を誇るドイツでは、仕事は超効率主義。自分のやるべきことを終わらせたら仕事を切り上げるのは珍しいことではありません。また、アメリカでは「明日やれることは明日やる」という考え方が強く、定時になるとみんなが一斉に席を立つという光景もよく見られるといいます。こうして仕事を切り上げた後は家族と時間を過ごすなどプライベートの時間を充実させているのです。
よくフランスはバカンスのために働くといわれますが、年間の有休は大体30日。多くの人が長い休暇をきちんと取得して家族との時間を過ごすなどのプライベートを充実させているのです。ドイツも年間30~40日の有休があり、きっちり有休を消化させています。
日本では考えられないような出来事ですが、それぞれの国によって働くことに対する考え方は違うもの。日本と世界でどんな違いがあるのか、調べてみました。
日本人の労働時間はやっぱり長い?
「日本人は働きすぎ」とよくいわれますが、労働政策研究・研修機構が調査している長時間労働者(週49時間以上働いている人)の割合を見てみると、2015年時点で日本は20.8%と、およそ5人に1人が当てはまることが分かっています。ヨーロッパはドイツが9.6%、フランスが10.1%と全体的に10%前後ですので、比較してみるとやはり日本は長時間労働の傾向が強いといえるでしょう。ただし、韓国は32.0%、台湾で30.1%となっているので、日本だけが極端な結果というわけではなくヨーロッパに比べてアジアは長時間労働者が多いことが分かります。残業するのはえらい?それとも仕事ができない?
日本の長時間労働が多いのは残業が多いことも大きく関係しています。勤勉な性格の日本人は「仕事が終わらなければ残業してでもやる」という風潮がいまだ根強く残っていますが、ヨーロッパでは残業することは時間内に仕事が終わらせられないこと、すなわち仕事ができないと判断されるのです。「上司が帰らないから自分も帰れない」「同僚の仕事を手伝わなくてはいけないと思って」といった、組織の中で和を重視する考え方も日本独特といえるでしょう。こうした理由から仕事がなくてもだらだら残業している人もいるため、日本は長時間労働者が多い割に生産性はあまり高くありません。
一方、短い労働時間で高い生産性を誇るドイツでは、仕事は超効率主義。自分のやるべきことを終わらせたら仕事を切り上げるのは珍しいことではありません。また、アメリカでは「明日やれることは明日やる」という考え方が強く、定時になるとみんなが一斉に席を立つという光景もよく見られるといいます。こうして仕事を切り上げた後は家族と時間を過ごすなどプライベートの時間を充実させているのです。
日本はワースト1位…有休消化率の違い
旅行サイトのエクスペディアが30か国を対象に有休消化率を調べたところ、日本は2016年、2017年の2年間は50%にとどまっていて、2年連続ワースト1位となっています。一方でブラジル、スペイン、フランス、香港といった国は2017年の有休消化率は100%、アメリカで80%、イタリアで75%となっていますから、日本がどれだけ有休の取りにくい国であるかが分かるでしょう。よくフランスはバカンスのために働くといわれますが、年間の有休は大体30日。多くの人が長い休暇をきちんと取得して家族との時間を過ごすなどのプライベートを充実させているのです。ドイツも年間30~40日の有休があり、きっちり有休を消化させています。
「ワークライフバランス」が重視される傾向に
こうしたオンオフをきっちりと分ける「ワークライフバランス」を徹底しているところが、欧米と日本の大きな違いといえます。最近の日本では、特に若い人の間でこれまでの組織の和を重視する日本的な労働観ではなく、成果主義的な欧米の労働観にシフトしつつあります。売り手市場で働き手が会社を選べるいま、より自分らしく働けることが重視されるようになってきています。これに合わせて日本企業も考え方を欧米化していくことが求められているのかもしれません。
<参考サイト>
・JILPT:データブック国際労働比較2017、長時間労働の割合(就業者)
http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2017/06/p206_t6-3.pdf
・OECD Data:Hours worked
https://data.oecd.org/emp/hours-worked.htm#indicator-chart
・Expedia:【世界30ヶ国 有給休暇・国際比較調査2017】日本の有休消化率、2年連続 世界最下位
https://welove.expedia.co.jp/press/31575/
・JILPT:データブック国際労働比較2017、長時間労働の割合(就業者)
http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2017/06/p206_t6-3.pdf
・OECD Data:Hours worked
https://data.oecd.org/emp/hours-worked.htm#indicator-chart
・Expedia:【世界30ヶ国 有給休暇・国際比較調査2017】日本の有休消化率、2年連続 世界最下位
https://welove.expedia.co.jp/press/31575/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
田沼意次とは?再評価で注目の人物像と時代背景に迫る
田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(1)田沼意次の生い立ちとその時代
田沼意次の人物像と政策を通して、江戸時代の転換期を振り返る今シリーズ。農産物・工産物の流通・発展、また貨幣経済の拡大など、田沼時代の特徴を振り返る。まずは、田沼意次の生涯である。田沼意次の父は一説には浪人だった...
収録日:2025/01/28
追加日:2025/05/30
あなたは縄文系?弥生系?…弥生時代の実態に迫る
編集部ラジオ2025(10)弥生人の遺伝子、生活、文化
「自分は縄文系だろうか? それとも弥生系だろうか?」。そんなことを、ふと考えたことはありませんか。
日本は、縄文系の遺伝子や文化がいまなお色濃く残りつつ、そこに弥生系の遺伝子・文化が絶妙に混交して、独...
日本は、縄文系の遺伝子や文化がいまなお色濃く残りつつ、そこに弥生系の遺伝子・文化が絶妙に混交して、独...
収録日:2024/04/03
追加日:2025/05/29
その後の余命が変わる!続けるべき良い生活習慣とは
健診結果から考える健康管理・新5カ条(7)良い生活習慣が健康寿命を延ばす
健康診断の結果に一喜一憂するだけではなく、そのデータを活用し、生活習慣を見直すことが大切である。今回は、内臓脂肪の管理が健康維持に直結する理由や、体重増加と糖尿病リスクの関係、さらには良い生活習慣が寿命に与える...
収録日:2025/01/10
追加日:2025/05/27
なぜ日本の医療はテロに対応できないのか?三つの理由
医療から考える国家安全保障上の脅威(5)日本の医療の問題点と提言
残念なことだが、現在の日本の医療はテロ攻撃には対応できない。その理由として、テロの悪意に対して無防備なこと、時代遅れの教科書的知識しか持っていないこと、テロで想定される健康被害に対応できる医療体制にないこと、が...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/29
人生100年時代の生き方と日本の3つの課題
長寿社会の課題と可能性(1)個人・社会・産業の課題
東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子特任教授が、人生100年時代を迎えた日本の課題について解説する。高齢化が急速に進み、健康で長生きできるようになった現在の日本では、それまでの人生50年時代の生き方やインフラ、産業...
収録日:2017/04/12
追加日:2017/05/01