テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.06.30

年収別にみる貯蓄額の平均は?

 不透明な世界の動向、ますます感じる将来の不安。いざとなった時に頼りになるのはやはり貯金です。あればあるだけ安心できますが、隣の人はどれだけ、また、どのように貯めているのでしょう。

 たくさん稼いでいればさぞや貯金も、という感覚があります。資産家など出自によって貯蓄のバラツキがあるでしょうが、年収と貯金はどのような関係にあるのでしょう。

 仕事や勤め先である程度の年収は予測できますが、貯蓄まではなかなか知ることはできません。そこで頼りにしたいのが、総務省統計局のデータです。

 総務省統計局では、貯蓄・負債編を含めた家計調査を行っています。今回は2017年の調査データをもとに、年収別の貯蓄額について調べてみました。

平均すると年間収入691万円で貯蓄1233万円

 総務省統計局には様々な統計データがあり、「年間収入階級別貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高」を参照すると、年間収入691万で貯蓄1233万という平均値になっています。ご自身の世帯収入と比較して、いかがでしょうか?

<年収:貯蓄額/持ち家率/平均世帯主年齢>
200万円未満:397万円/56.5%/45.2歳
200万円以上-250万円未満:843万円/47.3%/46.6歳
250万円以上-300万円未満:587万円/43.6%/45.9歳
300万円以上-350万円未満:839万円/55.5%/46.2歳
350万円以上-400万円未満:786万円/57.6%/46.4歳
400万円以上-450万円未満:878万円/62.3%/46.2歳
450万円以上-500万円未満:901万円/67.1%/46.3歳
500万円以上-550万円未満:908万円/68.0%/45.6歳
550万円以上-600万円未満:1171万円/71.7%/45.6歳
600万円以上-650万円未満:1120万円/74.2%/46.3歳
650万円以上-700万円未満:1055万円/78.6%/47.9歳
700万円以上-750万円未満:1172万円/73.6%/47.0歳
750万円以上-800万円未満:1489万円/82.9%/47.9歳
800万円以上-900万円未満:1548万円/85.8%/49.2歳
900万円以上-1,000万円未満:1820万円/88.0%/49.5歳
1,000万円以上-1,250万円未満:1976万円/84.4%/50.6歳
1,250万円以上-1,500万円未満:2316万円/87.2%/52.8歳
1,500万円以上:3048万円/92.7%/53.5歳

 このデータは、平均世帯主年齢から見ても分かる通り、二人以上の勤労世帯からの抽出になります。高齢化した全世帯モデルを平均するとさらに、貯蓄額と世帯主年齢はアップし、平均値貯蓄額1658万
(平均年齢57.3歳)となります。当然のことながら、年収に応じて持ち家率もアップしていくのが興味深いところです。

普通預金で見てみると

 平均値貯蓄額1233万円、そして、400万円以上~450万円未満の世帯でも878万円の貯蓄額になっています。ここでの貯蓄額は、普通預金といった流動性の高い普通預金と、将来のための定期預金、さらには生命保険、有価証券の合算数値になります。

 困ったときにすぐに使える通貨性の高い普通預金の額面を抽出するとこのような結果になります。

<年収:普通預金>
200万円未満:111万円
200万円以上-250万円未満:143万円
250万円以上-300万円未満:141万円
300万円以上-350万円未満:168万円
350万円以上-400万円未満:156万円
400万円以上-450万円未満:215万円
450万円以上-500万円未満:186万円
500万円以上-550万円未満:215万円
550万円以上-600万円未満:259万円
600万円以上-650万円未満:280万円
650万円以上-700万円未満:258万円
700万円以上-750万円未満:302万円
750万円以上-800万円未満:292万円
800万円以上-900万円未満:292万円
900万円以上-1,000万円未満:323万円
1,000万円以上-1,250万円未満:417万円
1,250万円以上-1,500万円未満:491万円
1,500万円以上:810万円

 より現実感の高い額面になったのではないでしょうか。

働くお金として投資も視野に

 限りなくゼロに近い低金利時代を生きる私たちにとっては、銀行に貯金することの意味を問いたくなります。今回のデータ「年間収入階級別貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高」からは、年収の高さに応じて、有価証券の割合も増えてくることも当然のように読み取れます。投資にはリスクも伴いますが、人生に必要なお金のポートフォリオ、貯蓄の配分を見直してみるのはいかがでしょうか。

<参考サイト>
・総務省統計局:家計調査┃貯蓄・負債編
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20170&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ

海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の...
収録日:2020/10/22
追加日:2021/05/02
沖野郷子
東京大学大気海洋研究所教授 理学博士
2

「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味

「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味

未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査

現在の宇宙開発は「国際月探査」を合言葉に掲げている。だが月は人類の移住先にも適さず、探査にさほどメリットがない。にもかかわらずなぜ「月探査」が目標として掲げられているのか。それは冷戦後、宇宙開発の目標を失った各...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/16
川口淳一郎
宇宙工学者 工学博士
3

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本

組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
4

トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ

トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ

トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン

アメリカのトランプ大統領は、2025年5月に訪れたサウジアラビアでの演説で「トランプ・ドクトリン」を表明した。それは外交政策の指針を民主主義の牽引からビジネスファーストへと転換することを意味していた。中東歴訪において...
収録日:2025/08/04
追加日:2025/09/13
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
5

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率

日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家