テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.07.25

【仕事と年収】プロの釣り師(34歳男性)の場合

 今回は34歳「プロの釣り師(プロアングラー)」の方に年収などのリアルなお金事情、そしてその仕事の内容を詳しく聞いてみました。

34歳「プロの釣り師」の年収は…

 今回お話をうかがったのはこちらの方。

【年齢】34歳(男性)
【住まい】大分県
【独身or既婚】既婚

・経歴を教えてください。
 大学時代に釣りブログを始める。大学生ならではの行動力と時間をフル活用し、全国の海や川を釣り歩く。それを見た雑誌の編集者からオファーをいただき、執筆活動を開始。間もなく釣り具メーカーと契約し、プロとしての活動をスタートさせる。

・年収/月収/賞与について教えてください。
 年収650万円/月収40~80万/賞与なし
釣具の売上に応じたインセンティブ、年間契約金あり。

・貯蓄額はおいくらですか?
 500万円+株式50万円

・年間休日は?
 約100日。天候が悪く釣りに行けない日は原稿書きやSNSで情報発信。休みは自由に取れる。

仕事の内容は?残業はどれぐらい?

・アイテムの監修
 新しい釣具の開発やテストを行う。監修したアイテムを使った釣行レポートをSNS等にアップし販売促進に繋げる。売上に応じたインセンティブが発生する。

・雑誌の原稿執筆
 毎回次号のネタを提案して執筆枠を確保。そのネタに沿った原稿や写真、イラストといった素材を提出する。ページ数に応じた原稿料が発生する。

・イベント
 釣りの店舗イベントや見本市に参加して、販売促進やメーカーのイメージアップ、マナーの啓発活動を行う。日当が発生する。

 残業は月に約30時間。釣果が出ず取材が成立しない場合など、時間を延長するケースが多い。

この仕事の良い点は?

・好きなことが仕事になる
 趣味である釣りを極め、第一線で活躍することが大事。釣りに行けば行くほど仕事になるため、プロとしての活動に慣れてしまえば、毎日遊んで暮らしているようなものと言える。

・自然をより身近に感じられる
 海や川、時には山や大気にまで注目するので、常に自然が相手となる。水や空気、景色が綺麗な場所は魚にとっても居心地が良く、そういった場所を探しながら釣りを通じ自然と対話することで心の豊かさが得られる。

この仕事の悪い点は?

・天候に左右される
 例えば、納期が2週間の仕事があったとすると、その間に悪天候が続くと撮影ができなくなる。僅か数分の晴れ間を狙って撮影するため、取材陣と時間をマメに合わせる必要がある。それが出来ない場合「納期自体を伸ばせないか?」というやり取りをすることがよくある。自然には勝てないが、そこは仕事として仕方ないでは済まされないのが難点。

・釣れないこともある
 天候が良く撮影日和であっても、魚が釣れなければ仕事にならない。いくら腕が良くても、魚の気分次第で全く食わない日というのがたまにある。そういった場合、釣れない原因を考えたり、それを記事にすることは出来るが、やはりメーカーの顔として活動する以上は結果を出したい。

・釣り禁止場所の増加
 漁港で釣り人と漁師がモメたり、落水事故があったりすると、そのポイントが釣り禁止になってしまうことがある。これらは再び釣りが出来るようにお願いしても99パーセント相手にしてもらえない。僕らにできることは、そうならないようゴミを拾ったり、挨拶といったマナーアップの啓発や、落水事故に備えたライフジャケット着用を励行すること。これらを徹底しないと活動する場所そのものがなくなってしまう。

――――――――――

 「好きなことで、生きていく」とは今をときめくユーチューバーを象徴するフレーズですが、今回お話を伺ったこの方こそ、好きなことを仕事にしてうまくいった人と言えるでしょう。その年収もスポーツ選手に近い給与体系でしょうか、30代では高い水準と言えます。好きなことを仕事にするのは、頑張ってもなかなかうまくはいかぬもの。いやはや、うらやましいものです。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的

トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的

第2次トランプ政権の危険性と本質(2)トランプ関税のおかしな発想

「トランプ関税」といわれる関税政策を積極的に行う第二次トランプ政権だが、この政策によるショックから株価が乱高下している。この政策は二国間の貿易収支を問題視し、それを「損得」で判断してのものだが、そもそもその考え...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/17
柿埜真吾
経済学者
2

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

デモクラシーの基盤とは何か(2)明治日本の惑溺と多元性

アメリカは民主主義の土壌が育まれていたが、日本はどうだったのだろうか。幕末の藩士たちはアメリカの建国の父たちに憧憬を抱いていた。そして、幕末から明治初期には雨後の筍のように、様々な政治結社も登場した。明治日本は...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/16
3

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税

会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。

第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城

相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城

世界を混乱させるトランプ関税攻勢の狙い(1)「相互関税」とは何か?

トランプ大統領は、2025年4月2日(アメリカ時間)に貿易相手国に「相互関税」を課すと発表し、「解放の日」だと唱えた。しかし、「相互関税」の考え方は、まったくよくわからないのが実状だ。はたして、トランプ大統領がめざす...
収録日:2025/04/04
追加日:2025/04/10
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授