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DATE/ 2018.07.27

【仕事と年収】書道家(38歳男性)の場合

 今回は38歳「書道家」の方に年収などのリアルなお金事情、そしてその仕事の内容を詳しく聞いてみました。

38歳「書道家」の年収は…

 今回お話をうかがったのはこちらの方。

【年齢】38歳(男性)
【住まい】神奈川県
【独身or既婚】既婚

・経歴を教えてください。
 4年制大学を卒業後、アルバイトにて1社、正社員にて2社を経験。20代半ば頃(アルバイト1社と正社員2社の間の期間)、自分の人生に行き詰まりを感じ、うつ状態になったが、逆にそのことが自分自身を深く見つめ直すきっかけになった。

 そのときに自分が本当に一番好きなことで生計を立てていきたいと思い、その「好きなこと」が何なのかを毎日内観し続け、その結果出てきた答えが「字を書くこと」だった。「字を書くこと」が生業となる職業として思い浮かんだのが書道家であったため、書道家を志した。書道教室に通い始めたのは29歳=正社員1社目のとき。書道家一本になってから(脱サラをしてから)は、今年で5年目。

・年収/月収/賞与について教えてください。
 年収350万/月収15~60万(月により変動)/賞与なし

・貯蓄額はおいくらですか?
 120万円

・年間休日は?
 スケジュールは自由自在だが、仕事のことを考えない日はない。

仕事の内容は?残業はどれぐらい?

・個展開催(会場選定/会場予約/会場費支払い/開催告知/作品制作/キャプション制作/芳名帳準備/会場設営/個展当日来客対応/作品売約時のお客様とのやり取り/売約済作品の発送もしくは直接のお届け/会場撤去 など)
・会社等の社屋内(社長室・会議室・エントランスなど)/店舗内/個人宅などに飾る作品の制作
・プレゼント用作品(ご結婚のお祝いなど)の制作
・命名書の制作
・お名刺用のお名前作品の制作
・印鑑用のお名前作品の制作
・オリジナルグラスの制作(自分が書いた字をグラスに彫っていただく)
・オリジナルボトルの制作(自分が書いた字をグラスに彫っていただく)
・法人ロゴ制作
・店舗ロゴ制作
・商品パッケージ用作品の制作
・出版物掲載用作品の制作
・広告用作品の制作
・書道パフォーマンス
・書道ワークショップ
・講演
・その他、種々のイレギュラーなご依頼に対する対応

 残業については、残業という概念自体がない。SNSやブログの更新など、仕事なのか遊びなのか線引きが難しい行為も多々存在する。

この仕事の良い点は?

・スケジュールが思い通りに組める
・ほぼストレスフリー
・(会社員時代と違い)自分の力で収入を得ているという実感や喜びがある
・渾身の作品が書き上がった時の喜びは何ものにも代え難いものがある
・仕事を遂行するたびに深く感謝される
・作品やパフォーマンスをご覧になり、感動のあまり涙を流される方がいらっしゃる
・口コミでご縁が繋がりお仕事をいただける場合がある
・ご縁の大切さを感じることが出来る(私は知り合いや知り合いからのご紹介でお仕事をさせていただく割合が高いので)
・個展を行なうとたくさんの方々にお越しいただけ、色々なお褒めの言葉をいただける
・利益率が高い
・(私は事務所に所属していないので)やりたくない仕事を断ることが出来る
・予想外の仕事が舞い込むことがある
・(会社員時代よりも)色々な業種の方々と知り合える
・街中などで自分が書いた看板などの字を見ると嬉しくなる

この仕事の悪い点は?

・スケジュールが思い通りに組める分、怠けようと思えばいくらでも怠けられる
・収入が不安定(特に私は書道教室を開いていないので。→書道教室を開いていると毎月の月謝が安定した収入となる。)
・もし仕事でミスをすることがあった場合、(私は事務所に所属していないこともあり)全責任を自分一人で負わなければならない
・世間の目に触れる機会が増えれば増えるほど、批判する人も増えてくる

――――――――――

 いかがでしたでしょうか?なかなか「書道家」のお仕事について知る機会はありませんが、今回お話を伺って仕事の悪い点よりも良い点の方が多いと感じました。やはり、自分の好きなこと、やりたいことを仕事にしている人は、普通のサラリーマンよりも充実した毎日を送れているのかもしれません。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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