社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.09.10

クレジットカード4つの儲けの仕組みとは?

 現金を持たずに気軽にお買い物が楽しめるクレジットカード。みなさん、何枚くらいお持ちでしょうか?

 2016年、JCBの調査によると3.2枚、同年、一般社団法人日本クレジット協会の調査によると一人あたり平均2.5枚という調査結果が報告されています。

 一人あたり、2~3枚は持っているクレジットカード。近年では、電子決済にも対応し、Apple Payのように複数のクレジットカードをスマホに登録して使うことができるようになりました。

 今回は、そんなクレジットカードの運営会社の収益にフォーカスを当ててみたいと思います。

クレジット業界の市場規模

 『知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ』によると、2013年の市場規模が38兆9031億円。ブランドシェア構成比としては、VISA 60%、Master 28.5%、American Express 9.3%、JCB 1.9%であること図解されております。国内のクレジット会社の多くはこれらのブランドと連携したサービスになっています。

クレジット会社の4つの収益源

 クレジットカードは手数料によって信用取引を実現しているわけですが、より具体的な収益源は4つに分けることができます。

1)カード会員の入会金・年会費
 グレードによって高額な入会金・年会費が発生

2)加盟店からの手数料
 会員の購入額に対して3~7%の手数料

3)カード会員の分割払いの金利手数料
 会員が物品購入、キャッシングの分割もしくはリボ払いした場合の金利手数料

4)会員ビジネス
 ダイレクトメールによる広告収入、各種保険会社の契約手数料

 加盟店と会員それぞれから得られる手数料が最も大きな収益ということができそうです。特に会員からの分割払いやリボ払いの金利手数料はバカになりません。リボ払いを執拗に勧誘するのはココに秘密があったのです。くれぐれもリボ払いによる使い過ぎには注意しましょう。

 また、一括払いで済ませることが多く、こうした手数料を期待できない高額所得会員からは、年会費が1万円以上となるグレードアップしたサービスを提供するゴールドカードなどを勧めます。

信用とステイタスをビジネスに

 海外では現金払いより、カード支払いのお客さんが優遇されるケースがあります。それは、カード会社の審査による信用によって担保されているからです。この信用はカードのグレードによってステイタスを段階的に付与し、年会費無料の一般カードから、年会費1~3万円となるゴールドカード、プラチナカード、さらには、年会費20~30万円ともいわれるブラックカードまで、カード所持者の虚栄心や優越感をくすぐります。

 購入額に応じたポイント還元や、サービス還元のキャンペーン、各種保険といった付加価値サービスが提供できるのも、利用者が必要以上に支払っている手数料などが原資になっていることを忘れずに、賢く利用したいものです。

<参考文献・参考サイト>
・『知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ』(神樹兵輔・21世紀ビジョンの会著、高橋書店)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍

習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍

習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴

国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
小原雅博
東京大学名誉教授
2

大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた

大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた

内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題

ヒラリー・クリントン氏の全盛期は、当時夫のクリントン氏が大統領だった2000年代だったという島田氏。当時、ダボス会議での彼女の発言が全米の喝采を浴びたそうだが、およそ10年後、大統領選挙でトランプ氏と対峙した際、彼女...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/24
3

熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン

熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン

熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法

「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
4

密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」

密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観

岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
5

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授