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DATE/ 2020.05.25

格差ヤバすぎ…「年間休日数」業界別ランキング

 働き方改革で残業が減り、喜んでいる人も多いかもしれません。でも、それは日々の労働時間数。もっと長い目で見た「年間休日数」について、世間相場と比べて自分の会社は多いか少ないかを考えてみたことはあるでしょうか。

年間休日は、会社ごとに差があるって、知ってた?

 年間休日数は、会社が定める1年間の休日数。労働基準法の範囲内であれば、会社が自由に定めていいことになっています。大学までの学校休日は、「国民の祝・休日」をすべて休むもので、創立記念日ぐらいしか学校による差はありませんでしたが、社会人の年間休日は会社の規則によるもので、会社によっても業界によっても異なります。

 労働基準法が求めているのは、「法定休日は毎週少なくとも1日、または4週を通じて4日以上」「労働時間は週40時間」ということ。ここから簡単に、最低限の年間休日数ラインが割り出せます。

 365日÷7日×40(時間)=2085.7←年間に働く時間数の限度
 2085.7÷8=260.7 ←1日8時間換算にした働く日数
 365-260=105 ←最低限の年間休日数

 これは1日8時間計算ですから、1日7時間勤務の会社では(365 - 298)で67日となります。随分差があるようですが、所定労働時間が短い場合、年間休日が少なくなるのは基本です。

業界別の本当にヤバイ格差23.5日!

 実際の運用を厚生労働省の平成31年「就労条件総合調査」で見てみると、1日の所定労働時間は平均7時間46分、週所定労働時間が平均39時間26分、年間休日数は平均108.9日と発表されています。

 少しくわしく、業界別に見てみましょう。

 まず、平均年間休日総数の多い業界トップ5は、情報通信業、学術研究、専門・技術サービス業(118.8日)、金融業、保険業(118.4日)、電気・ガス・熱供給・水道業(116.8日)、教育、学習支援業(112.7日)という順に並びます。

 一方、平均年間休日数の少ない順に数えた業界トップ5は、宿泊業・飲食サービス業(97.1日)、運輸業・郵便業(100.3日)、鉱業・採石業・砂利採取業(103.8日)、建設業(104.0日)、生活関連サービス業,娯楽業(104.6日)です。

 最も年間休日の多い金融業、保険業と、少ない宿泊業・飲食サービス業との格差(118.8 - 97.1日)は21.7日となります。旅館・ホテルやレストランなどで働く人たちは、銀行や保険会社で働く人と比べると、週休2日で考えると1カ月分以上も余計に働いているという計算になってしまうのです。

「カレンダー通り」の週5日企業は年間120日休める

 これから転職サイトなどで検討する方は、年収と年間休日のバランスや休日記載に目を光らせる必要があるとマイナビ転職の「キャリペディア」は勧めています。年収のよさに引かれても、年間休日が少ない場合、日給・時間給換算にすると「意外な薄給」になることが考えられるからです。

 ところで、国民の祝日はいま年間に16日、憲法記念日とこどもの日に挟まれた5月4日のような「みどりの日」が発生することもあり、完全週休2日で祝日・休日を休める、いわゆる「カレンダー通り」の会社・役所は、120日程度の年間休日数と計算できます。

 よくよく考えてみると、カレンダー通り企業の会社員は、1年の3分の1は休めている勘定。なのに、なぜこんなに疲労が溜まるのでしょうか。学生までの夏休みなどがなくなり、「なんだ、カレンダー通りか」と嘆くのは広い世間から見ると、かなりの贅沢者ということになりそうですね。

<参考サイト>
・厚生労働省:平成31年就労条件総合調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/19/index.html
・マイナビ転職:【2020年版】年間休日とは? 平均日数や多い業種ランキングと転職前に確認すべき休日記載
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/caripedia/70
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