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今ネットで爆発的人気のVTuberとは何か?
動画サイトに動画を投稿し、その再生に伴う広告収入で生活するプロの動画クリエイターをYouTuberと呼ぶことは、かなり世間に浸透してきました。そして近年、このYouTuberの発展形であるVTuberの人気が若者を中心に急上昇していることをご存じでしょうか。
多くのVTuberは、クールジャパンの象徴ともいえる「萌え系」のかわいらしい女の子にデザインされています。自称・世界初のVTuberであり現在のトップVTuberであるキズナアイも、大きな瞳とハートを模したリボンのカチューシャが印象的な萌え系美少女です。実はキズナアイが動画デビューを果たした2016年こそが、日本におけるVTuber元年。さすが世界初を自称するだけはありますね。
キズナアイのYouTubeチャンネル登録者数は2018年10月時点で300万人を突破、動画の総再生数は1億5千万回を突破という、驚異的な数値を示しています。さらに写真集やフィギュアにもなっており、メディアミックスも留まるところをしりません。この勢いに続こうとする新人VTuberも次々デビューしており、VTuber情報サイト・ブイナビの一覧では540人以上のVTuberが確認できます。この数はこれからもどんどん増えるでしょう。
すでにVTuber起用の動きは各所ではじまっており、今年3月にはキズナアイが日本政府観光局ニューヨーク事務所によるアメリカ市場向けキャンペーンの訪日促進アンバサダーに就任しました。今後は特設サイト「Come to JAPAN」で日本の文化や伝統を発信する動画を公開していきます。また今年8月には、茨城県のインターネットTV「いばキラTV」アナウンサーに茨城県公認VTuberの茨ひよりが就任。茨城県の魅力を伝える動画を配信しています。政府や自治体は、VTuberの親しみやすさでこれまでのお堅いイメージを一新したいのでしょう。
大手企業からもVTuberが次々デビューしています。酒造メーカーのサントリーは今年8月、公式VTuberの燦鳥ノムを起用。年齢119歳のおっとりした妖精のようなお嬢様で、顧客とのより身近なコミュニケーションのために製作したとのことです。さらに、キャラクター事業を手がけるサンリオは今年9月、自社の人気キャラクターであるハローキティをVTuberとして起用しました。トークのほか新商品紹介の動画なども配信しており、ブランドのさらなる人気拡大を狙っています。この流れを見ていると、将来的に団体や企業のVTuber起用は普通の選択肢のひとつになるかもしれませんね。
SNS運営などを手がけるネット事業会社グリーはVTuber市場に強い関心を示しており、今年8月にグループ会社であるWright Flyer Live EntertainmentからVTuber専用のライブ配信サービス「REALITY」を公開しました。今後はスマホのみでオリジナルキャラクターの作成から配信まで可能なアプリも公開予定で、アマチュアも簡単にVTuberを運営できる時代がすぐそこまできています。企業の公式VTuberとアマチュアのVTuberが共演するような、新しい楽しみ方も生まれることでしょう。
この一方で、萌え系美少女キャラクターに不快感を抱く人もいます。特に女性からは「女性蔑視」、「女性の性的消費」と受け止められる危険性があります。つい最近も、NHKが開設した若者にノーベル賞の説明をするための特設サイト「ノーベル賞まるわかり授業」ナビゲーターにキズナアイが起用されたところ、女性弁護士から「NHKノーベル賞解説サイトでこのように性的に強調されたイラストを使う必要があるのか」という内容の疑問が提示され、炎上する騒ぎがありました。キズナアイは性的な意図があるVTuberではありませんし、若者に人気があるため起用されたのでしょう。しかし炎上を避けるなら、ターゲット層以外への配慮も必要ということを改めて感じさせられます。
多くの人に訴求するVTuberだからこそ、広く細やかな気遣いで活躍の場を選ぶことが大切です。
YouTuberの進化系、VTuber
VTuberとは「Virtual YouTuber」の略です。「ヴァーチャル(仮想現実)」という点からわかるように、動画を配信するのは従来のYouTuberのような生身の人間ではなく、3Dモデリングでつくられたキャラクター。そうはいっても、もちろんキャラクターが意思を持って動画配信しているわけではありません。動きや声を担当するいわゆる「中の人」が存在し、モーションキャプチャで読み取った動きをVTuberのモデルに反映することで、本当に存在しているような表情やアクションが表現されるのです。多くのVTuberは、クールジャパンの象徴ともいえる「萌え系」のかわいらしい女の子にデザインされています。自称・世界初のVTuberであり現在のトップVTuberであるキズナアイも、大きな瞳とハートを模したリボンのカチューシャが印象的な萌え系美少女です。実はキズナアイが動画デビューを果たした2016年こそが、日本におけるVTuber元年。さすが世界初を自称するだけはありますね。
キズナアイのYouTubeチャンネル登録者数は2018年10月時点で300万人を突破、動画の総再生数は1億5千万回を突破という、驚異的な数値を示しています。さらに写真集やフィギュアにもなっており、メディアミックスも留まるところをしりません。この勢いに続こうとする新人VTuberも次々デビューしており、VTuber情報サイト・ブイナビの一覧では540人以上のVTuberが確認できます。この数はこれからもどんどん増えるでしょう。
政府や自治体、企業も熱視線を送っている
ただしYouTube全体で見ると、トップYouTuberのはじめしゃちょーはチャンネル登録者数が約700万人おり、VTuberはキズナアイでもまだ半分以下のファンしか獲得していません。しかし登録者数の伸び率で見るとキズナアイは0.13%、はじめしゃちょーは0.08%で、キズナアイのほうが将来有望といえます。市場が開けるのはまさにこれからであり、VTuberをうまく使うことが新時代のビジネス成功の鍵となりそうです。すでにVTuber起用の動きは各所ではじまっており、今年3月にはキズナアイが日本政府観光局ニューヨーク事務所によるアメリカ市場向けキャンペーンの訪日促進アンバサダーに就任しました。今後は特設サイト「Come to JAPAN」で日本の文化や伝統を発信する動画を公開していきます。また今年8月には、茨城県のインターネットTV「いばキラTV」アナウンサーに茨城県公認VTuberの茨ひよりが就任。茨城県の魅力を伝える動画を配信しています。政府や自治体は、VTuberの親しみやすさでこれまでのお堅いイメージを一新したいのでしょう。
大手企業からもVTuberが次々デビューしています。酒造メーカーのサントリーは今年8月、公式VTuberの燦鳥ノムを起用。年齢119歳のおっとりした妖精のようなお嬢様で、顧客とのより身近なコミュニケーションのために製作したとのことです。さらに、キャラクター事業を手がけるサンリオは今年9月、自社の人気キャラクターであるハローキティをVTuberとして起用しました。トークのほか新商品紹介の動画なども配信しており、ブランドのさらなる人気拡大を狙っています。この流れを見ていると、将来的に団体や企業のVTuber起用は普通の選択肢のひとつになるかもしれませんね。
VTuber起用は吉と出るか凶と出るか
日本のVTuber文化は誕生して2年ほどしか経っておらず、今年に入って団体や企業が続々と起用したことから社会にも認知されてきました。まだ草創期であり、参入のハードルが低いことから玉石混交の状況といえます。これから淘汰されて、「ウケるVTuber」のパターンが蓄積されるでしょう。参入しやすい今のうちか、ノウハウがわかってからか、起用のタイミングの見極めが重要な時期です。SNS運営などを手がけるネット事業会社グリーはVTuber市場に強い関心を示しており、今年8月にグループ会社であるWright Flyer Live EntertainmentからVTuber専用のライブ配信サービス「REALITY」を公開しました。今後はスマホのみでオリジナルキャラクターの作成から配信まで可能なアプリも公開予定で、アマチュアも簡単にVTuberを運営できる時代がすぐそこまできています。企業の公式VTuberとアマチュアのVTuberが共演するような、新しい楽しみ方も生まれることでしょう。
この一方で、萌え系美少女キャラクターに不快感を抱く人もいます。特に女性からは「女性蔑視」、「女性の性的消費」と受け止められる危険性があります。つい最近も、NHKが開設した若者にノーベル賞の説明をするための特設サイト「ノーベル賞まるわかり授業」ナビゲーターにキズナアイが起用されたところ、女性弁護士から「NHKノーベル賞解説サイトでこのように性的に強調されたイラストを使う必要があるのか」という内容の疑問が提示され、炎上する騒ぎがありました。キズナアイは性的な意図があるVTuberではありませんし、若者に人気があるため起用されたのでしょう。しかし炎上を避けるなら、ターゲット層以外への配慮も必要ということを改めて感じさせられます。
多くの人に訴求するVTuberだからこそ、広く細やかな気遣いで活躍の場を選ぶことが大切です。
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