テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.11.24

「おばさん」と「お姉さん」の境界は?

単純に「年を取ればおばさん」なのか?

 90年代からトップアーティストとして音楽界を牽引してきた「平成の歌姫」安室奈美恵さんが、2018年9月16日に芸能界を引退しました。このとき安室さんは40歳。それから4日後の20日に誕生日を迎え、41歳になっています。1996年には安室さんのファッションを真似する女性「アムラー」が流行語大賞トップテンに入賞しましたが、現在でも安室さんの美しさや抜群のスタイルは変わりがなく、女性たちの憧れであり続けています。

 マイナビニュースが男女各150人を対象に行った「女性は何歳から「おばさん」ですか?」というアンケートでは、男性の63%が40代、女性の55%が30代の特に35歳以降からと回答しました。しかし、40代だからといって安室さんを「おばさん」と感じる人は少ないのではないでしょうか。むしろ「お姉さん」と呼びたくなりますよね。

 そうだとすると、おばさんとお姉さんの境界は単純に年齢で線引きできるものではないようです。一体どんな女性がおばさんと呼ばれるのか探ってみましょう。

「おばさん」の条件とは

 おばさんとお姉さんの境界としてわかりやすい条件が、「結婚対象ではない」ということです。具体的には既婚者や子持ちの人があげられます。30代から40代はこの条件を満たしてくる時期なので、年齢的におばさんと考える人も多いのですね。

 さらに結婚対象ではないという理由の延長で、「女性的な魅力が感じられない」ということもおばさんとお姉さんの境界線です。具体的にはファッションやスタイルに気を遣わなくなることがあげられます。楽だからといって体型をカバーするチュニックやウェストがゴムのボトムばかり着ていると垢抜けない印象になるうえ、体形が崩れても気づきにくくなります。同窓会で久しぶりにかつてのマドンナに会ったら、ポヨポヨに太っていてショックを受けた……という男性は多いもの。いつもビシッとしている必要はありませんが、意識して自分をキレイに見せる努力を忘れない人がお姉さんでい続けられるといえるでしょう。

 見た目がゆるくなると同時に周囲への気遣いまでゆるくなることも、「おばさん化」の特徴です。場所を選ばず大声で話したり、お店の人に無理なサービスを要求したりする人はおばさん認定されてもやむなし。ここまでくるともはや女性として扱ってもらえなくなってしまいます。

女性が自信満々にふるまえないことも問題

 しかし日本の女性がおばさん化してしまう背景には、女性が歳を重ねるごとに堂々とふるまえなくなる社会の風潮も大きく影を落としています。結婚対象でなければ女性としての価値がないというのは、男性優位社会特有の男性目線による価値観です。これは家名をなにより重視する武士が長年に渡って支配してきた日本だからこその考え方といえるでしょう。

 武士にとっての女性は家名を存続させるために後継者を生むことが最も重要な使命なので、結婚対象でなければ意味がありませんし、たくさん子どもをつくるためには若いほうが好都合です。このため若くて結婚対象になる女性にこそ価値があるという考え方がいまだに根強く残っているのです。

 海外に目を向けてみると、結婚とはパートナーシップを築くものという考え方の国がヨーロッパを中心に多くあります。もちろん子どもも大切ですが、それよりも結婚したもの同士の信頼関係が大切なので、若さは重要ではありませんし、結婚という契約にもあまりこだわりがありません。

 日本では年齢を重ねた女性が目立ったことをするとすぐに、「年甲斐もない」とか「若い女の子に張り合っている」と言われてしまいます。このような世の中でお姉さんとして生き続けることは、安室さんのような「選ばれしもの」でなければ難しいでしょう。日本の女性がお姉さんからおばさんへの境界を越えてしまうのは、女性本人だけが原因ではないのです。

<参考サイト>
・マイナビニュース 女性は何歳から「おばさん」ですか?
https://news.mynavi.jp/article/20150630-a304/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの

正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの

徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直

『書経』を研究する中で発見した真理について理解を深めていく今回。徳は天をも感動させる力を持ち、真の和合は神を動かす。そして、宇宙は人間のように、また人間も宇宙のように構成されており、その根底には「正直」がある。...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/10/25
2

ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?

ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?

エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄

ソニー・ミュージックエンタテインメント(ジャパン)は、アメリカのコロムビアレコードと1968年に創業した、日本初の外資とのジョイントベンチャーである。ソニーはもともとエレクトロニクスの会社だったが、今のソニーグルー...
収録日:2025/05/08
追加日:2025/10/20
水野道訓
元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役CEO
3

台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性

台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性

クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か

サヘル地域をはじめとして、近年、世界各地で多発しているクーデター。その背景や、クーデターとはそもそもどのような政治行為なのかを掘り下げることで国際政治を捉え直す本シリーズ。まず、未来の“if”として台湾でのクーデタ...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/04
上杉勇司
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授 沖縄平和協力センター副理事長
4

見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン

見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン

大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か

「Unlearn(アンラーン)」とは決して学ばないことではない。むしろ逆である。柳川氏と為末氏による共著『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』で提唱されているその考え方は、過去に学んだこと、経験したことを...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/07/08
対談 | 為末大柳川範之
5

台湾クーデター・シミュレーション…「世直し」への条件

台湾クーデター・シミュレーション…「世直し」への条件

編集部ラジオ2025(25)クーデターで考える「政治の要点」

冷戦終結後に減少していた「クーデター」。しかし、2019年以降、再び増えだしているといいます。その背景には、中国やロシアなど「権威主義」の国々とアメリカとの対立、さらに「ワグネル」など民間軍事会社の暗躍などがありま...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/10/23