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DATE/ 2024.05.15

「終活」は何歳から始めればいいのか?

 いまや「終活」はほとんど日常語になりましたが、この言葉が生まれたのは意外と最近のことです。人々の心をとらえ、大きな影響力をもった理由は、「超高齢化社会」、「人生100年時代」といわれる時代を強く反映しているからでしょう。

 言葉の急速な浸透の反面、終活の意味や、実際にどんなふうに取り入れればいいのかといった実践な方法を詳しく知る人は多くはありません。

 そこで今回は、終活とは何か、具体的にいつからどんなことをすればいいのか、今すぐ始められることなど、具体的な内容について解説していきます。

そもそも「終活」とは?

 「終活」という言葉は、非常に新しく2009年から雑誌「週刊朝日」に掲載された記事「現代終活事情」で生まれた造語であるという説が有力です。「終活」は多くの人々の心をとらえ、2012年には流行語大賞にノミネートされました。

 意味としては、その文字の通り、人生の「終」わりに向けて、自身の葬儀やお墓、遺言の準備「活」動をしていくことです。「終活」に関する本、いわゆる「終活本」の数もものすごく、これまで出版された冊数は雑誌も含めると数百冊にのぼるとおもわれます。

何歳から始めればいいのか

 「終活」というと、始めるのは人生の最期の最期、ずっと先のことに思えるかもしれませんが、早く準備を始めるに越したことはありません。終活カウンセラーの柴田和枝さんの『50歳からはじめる人生整理術 終活のススメ』(柴田和枝著、日経BP)という書籍があります。

 本書を読んでみると、終活は思った以上に体力も気力も必要なことがわかります。「写真の整理」、それからパソコン内のデータや利用しているさまざまなインターネットサービスなど、いわゆる「デジタル遺品の整理」、「エンディングノートの作成」が主な内容です。

 年をとればとるほど、いろんなことが億劫になってくるものです。また、すべての人がかならず寿命を全うできるわけではなく、突然の不幸が襲ってこないという保証はどこにもありません。それらを考えてみると、「50歳」から始めても決して早すぎることはないでしょう。

遺産のチェックリスト

 終活の目的は、「自分のため」であるとともに、なによりも「遺される家族のため」です。家族が安心かつ平和に「遺産」「遺品」を受け取れるように整理しておくのです。

 俗に言う「争族」対策のために、絶対にチェックしておくべき遺産は、「土地」「建物」「預貯金」「現金」「投資信託」「会員権」「電話加入権」「貸付金」「生命保険」「借入金」です。これらにも含まれていますが、とりわけやっかいなのが先述した「デジタル」の遺産・遺品です。

 たとえば、「ネットバンクの口座」や「FXの口座」はダイレクトにお金に直結します。デジタル遺産は見えにくいため、家族が見落としやすい資産といわれています。

「デジタル遺品」に要注意

 デジタル遺品には、「ネットバンクの口座」といったダイレクトにお金に直結するものだけでなく、写真やSNSアカウントなど、さまざまなものが含まれます。他にもレンタルサーバー、ドメイン、クラウド上のデータなども該当します。

 これらも時間のあるときにきちんと整理し、家族がアクセスできるように「見える化」しておくようにしておくとよいでしょう。一度整理しておけば、新たにデジタル遺品が増えた場合でも、その都度、追記するだけで済みます。

 他方、「見られたくないもの」という視点ももっておくといいかもしれません。誰にでも「見られたくないもの」はあるものです。ふだんはパソコンやスマホに閉まっておけば「見られない」と思っているものも、死後にはデジタル遺産の整理の際に発掘されてしまう可能性があります。

まずはできることから

 もし、「見られたくない秘密」をお持ちの方は日頃から注意しておきましょう。冗談はさておき、終活を始めてみると、日頃から終活を踏まえて行動することがちょっとした習慣になります。そうした積み重ねによって、老後の大掛かりな用意が回避されるのです。遺産の見落としも少なくなります。これも早めの終活の利点です。

 やることは少なくありませんが、あれこれとあまり考えすぎず、まずはできることから始めてみましょう。

<参考文献>
・『50歳からはじめる人生整理術 終活のススメ』(柴田和枝著、日経BP)
・『デジタル終活-もしもに備えるデータ管理術』(エイ出版社)
・『お金の終活』(山田和美著、すばる舎)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授