社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
日本で激増中の「死後離婚」とは
皆さんは「死後離婚」というものをご存知でしょうか。配偶者が亡くなった後の離婚ってどういうこと?と思う人も少なくはないでしょう。
「死後離婚」はA4の用紙1枚に記入押印して役所に提出するだけで、姻族側や他の誰かに知られることなく、いわゆる「義理」の縁から解放される手続き。逆に言うと、書類を提出して意思表示しない限り、配偶者の死後も姻族関係は続くのです。
この手続きを利用する人はほぼ100%女性。男女の平均寿命に差があり、夫のほうが先に亡くなる割合が高いからだけとは考えられません。嫁・姑等の「不仲」を断ち切ることができ、義理の両親に対しての世話や「介護」の必要がなくなり、夫や義理の両親と同じ「お墓」に入る必要がなくなります。一方、夫の遺産や遺族年金は受け取れますし、祖父母から孫への遺産相続にも支障はありません。
姻戚関係に悩む人にとっては、「お守りとして書類を持っているだけでも冷静になれる」とする夫婦問題カウンセラーもいます。
過去のデータにはなりますが、第一生命経済研究所の調査(2014年)では、「夫婦は同じ墓に入るべき」と考えている60-70代の男性は約90%に達するのに対し、同年代の女性は80%未満しかそう思わないという結果が出ています。もっとシンプルに「配偶者と同じお墓に入りたいか」との問いでは、男性は「入りたい」64.7%、「まあ入りたい」28.2%の合計93%が希望。女性では「入りたい」43.7%、「まあ入りたい」36.1%で合計80%しか希望していません。
この中には「夫の一族(先祖代々)のお墓に入るのがイヤ」と考えている人もいれば、「死んでまで、夫と一緒はイヤ」という人も。半生を核家族で過ごしてきた第一世代の最期という意味でも、「死後離婚」の問題は注目されます。
死後離婚を決意する多くのケースが「義理の仲」の解消を願うものですが、なかには「亡くなった夫」との関係を忘れ去りたい場合もあります。たとえば女性関係の絶えなかった夫が急死した場合、極端に言えば別の女性と一緒にいて亡くなったようなケースでは、きれいさっぱり縁を切りたいと考えるのも無理はないでしょう。
急増する「死後離婚」の申立はほとんどが妻から
「死後離婚」と呼ばれているのは、夫が亡くなった後、“姻族関係終了届”という書類を提出し、夫の親族(夫の親やきょうだい、甥や姪など)との縁を法的に断つことです。届けを出しても本人と夫や子どもの関係は変わらず、子どもと祖父母等の関係は「血族」に当たるためそのままで、戸籍にも影響はありません。2005年には全国で1772通の届けだったのが、2017、2018年には5千通近くに達し、その後は下がる傾向を見せているものの毎年2000~4000件が確認されているといいます。「死後離婚」はA4の用紙1枚に記入押印して役所に提出するだけで、姻族側や他の誰かに知られることなく、いわゆる「義理」の縁から解放される手続き。逆に言うと、書類を提出して意思表示しない限り、配偶者の死後も姻族関係は続くのです。
この手続きを利用する人はほぼ100%女性。男女の平均寿命に差があり、夫のほうが先に亡くなる割合が高いからだけとは考えられません。嫁・姑等の「不仲」を断ち切ることができ、義理の両親に対しての世話や「介護」の必要がなくなり、夫や義理の両親と同じ「お墓」に入る必要がなくなります。一方、夫の遺産や遺族年金は受け取れますし、祖父母から孫への遺産相続にも支障はありません。
姻戚関係に悩む人にとっては、「お守りとして書類を持っているだけでも冷静になれる」とする夫婦問題カウンセラーもいます。
夫と同じ墓に「入りたくない」「入らせたくない」事情
「家」の意識が強かった時代には、夫が早く亡くなると妻は実家に帰れと言われることも珍しくありませんでした。まさに、現在の状況の裏返しで、孫は可愛くても、嫁は「家の墓に入れたくない」というのが姻族の本音でした。過去のデータにはなりますが、第一生命経済研究所の調査(2014年)では、「夫婦は同じ墓に入るべき」と考えている60-70代の男性は約90%に達するのに対し、同年代の女性は80%未満しかそう思わないという結果が出ています。もっとシンプルに「配偶者と同じお墓に入りたいか」との問いでは、男性は「入りたい」64.7%、「まあ入りたい」28.2%の合計93%が希望。女性では「入りたい」43.7%、「まあ入りたい」36.1%で合計80%しか希望していません。
この中には「夫の一族(先祖代々)のお墓に入るのがイヤ」と考えている人もいれば、「死んでまで、夫と一緒はイヤ」という人も。半生を核家族で過ごしてきた第一世代の最期という意味でも、「死後離婚」の問題は注目されます。
死後離婚を決意する多くのケースが「義理の仲」の解消を願うものですが、なかには「亡くなった夫」との関係を忘れ去りたい場合もあります。たとえば女性関係の絶えなかった夫が急死した場合、極端に言えば別の女性と一緒にいて亡くなったようなケースでは、きれいさっぱり縁を切りたいと考えるのも無理はないでしょう。
<参考サイト>
・あさイチ:死後離婚のリアル
https://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/181015/1.html
・第一生命経済研究所:偕老同穴、今は昔?
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/watching/wt1502b.pdf
・講談社 夫が死んだら離婚する…じつは日本で「死後離婚」が増えていた「納得の理由」 https://gendai.media/articles/-/110569
・あさイチ:死後離婚のリアル
https://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/181015/1.html
・第一生命経済研究所:偕老同穴、今は昔?
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/watching/wt1502b.pdf
・講談社 夫が死んだら離婚する…じつは日本で「死後離婚」が増えていた「納得の理由」 https://gendai.media/articles/-/110569
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
マネへの強烈なライバル意識…セザンヌ作品にみる現代性
作風と評論からみた印象派の画期性と発展(1)セザンヌの個性と現代性
印象派の最長老として多くの画家に影響を与えたピサロ。その影響を多分に受けてきた画家の中でも最大の1人がセザンヌだが、その才覚は第1回の印象派展から発揮されていた。画面構成や現代性による解釈から、セザンヌ作品の特徴...
収録日:2023/12/28
追加日:2025/07/10
AI時代の「真のリアル」は文芸評論の練達の手法にあり!
編集部ラジオ2025(14)なぜAI時代に文芸評論が甦るのか
どんどんと進む社会のAI化。この大激流のなかで、人間の仕事や暮らしの姿もどんどん変わっていっています。では、AI時代に「人間がやるべきこと」とはいったい、何なのでしょうか? さらにAIが、驚くほど便利に何でも教えてく...
収録日:2025/05/28
追加日:2025/07/10
なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る
今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期
なぜ思春期に注目するのか。この十年来、10歳だった子どもたちのその後を10年追跡する「コホート研究」を行っている長谷川氏。離乳後の子どもが性成熟しておとなになるための準備期間にあたるこの時期が、ヒトという生物のライ...
収録日:2024/11/27
追加日:2025/07/05
正岡子規と高浜虚子の論争、その軍配と江藤淳暦年のテーマ
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(3)正岡子規と高浜虚子の「リアリズム」
正岡子規の死後、高浜虚子が回想で述べた師・子規との論争。そこに「リアリズムとは何か」のヒントが隠されていると江藤淳氏は言う。子規と虚子、それぞれの「リアル」とは何か、そしてどちらが本当の「リアル」なのか。近代小...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/09
グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味
地政学入門 ヨーロッパ編(10)グリーンランドと北極海
北極圏に位置する世界最大の島グリーンランド。ここはデンマークの領土なのだが、アメリカの軍事拠点でもあり、アメリカ、カナダとヨーロッパ、ロシアの間という地政学的にも重要な位置にある。また、気候変動によってその軍事...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/07/07