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DATE/ 2019.02.07

非喫煙者が知らない紙巻きと加熱式タバコの違い

 オリンピックを控え、社会の禁煙化が推し進められていますが、一方で凌ぎを削っているのが、電子タバコや加熱式タバコと呼ばれる商品の世界です。非喫煙者にとってはどんな商品なのか、また、従来の紙巻きタバコとドコが違っているのかご存じでしょうか。

紙巻きと電子/加熱式タバコの違い

 紙巻きタバコは、喫煙という言葉が示すとおり、火をつけて、燃焼させその煙を吸うタイプです。タバコの葉に含まれるニコチンという成分の効果を愉しむ方法になるのですが、近年開発されたのは、乾燥葉や液体を電子制御された電熱線の発熱によりエアロゾル(霧状)化して、愉しむ商品形態となります。

 電子と加熱式はそれぞれ方法として重なる部分もありますが、日本呼吸器学会のサイトでは新型タバコと総称し、それぞれ分類定義しています。

・電子タバコ
a)液体(リキッド)を加熱してエアロゾルを発生させて吸引するタイプ
b)液体(リキッド)には、ニコチンを含むものと含まないもの

 日本ではニコチンを含有する電子タバコ用の液体は、薬事法で規制されているため、一般的に広く流通はしていません。

・非燃焼・加熱式タバコ
a)葉タバコを直接加熱し、ニコチンを含むエアロゾルを吸引するタイプ →商品名:IQOS/アイコス、glo/グロー
b)低温で霧化する有機溶剤からエアロゾルを発生させた後、タバコ粉末を通過させてタバコ成分を吸引するタイプ(電子タバコに類似した仕組み) →商品名:Ploom TECH/プルームテック

気になる健康被害

 これらの開発の背景にあるのは、非喫煙者への影響をともなう、副流煙があげられます。紙巻きタバコは燃焼により常に発煙しますが。加熱式タバコは吸っている間しか蒸気を発生させません。モノを燃やす時に発生するタールの量が減少し、人体への悪影響が低減できることを特徴としていますが、電子/加熱式タバコを巡ってはさまざまな議論が噴出しています。

 蒸気でも煙でもニコチンを含むことから無害というわけにはいきません。電子/加熱を問わずコンセプトとイメージから判断するには早計で、新型タバコの使用と受動喫煙による健康へのリスクなど、エビデンスが得られるまでにはかなりの時間を要することでしょう。日本呼吸器学会では、「新型タバコ」に対する見解として、「(使用者にも受動喫煙者にも)推奨できない」と公表しています。

<参考サイト>
・日本呼吸器学会:非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに関する日本呼吸器学会の見解
http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/citizen/hikanetsu_kenkaiR.pdf
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