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ソースの2度づけは5秒ルールよりも不衛生?
食い倒れの街、大阪の美味いものといえばたこ焼き、お好み焼きと並んであげられる、串揚げ。『英国一家、日本を食べる』の著者マイケル・ブースは、「いまだに世界で旋風を起こしていないのはなぜなのか、理解に苦しむ」と絶賛し、近年は関東にもチェーン店が出てきてジューシーな味を楽しめるようになりました。
そんな串揚げと聞いて連想するのは、「2度づけ禁止!」のルールではないでしょうか。串揚げに馴染みがない地域に住んでいる方でも、耳にしたことくらいはあると思います。実際、串揚げ屋さんの店舗には必ずと言っていいほど掲げられていて、注文を取りに来た店員さんからも念を押されます。アルミの容器に入ったソースは訪れるお客さん皆の共用のもの、1度口に入れたものを戻さないようお願いします、と。
実際に2度づけってどれくらい不衛生なのでしょうか? 検証した論文が発表されたのを御紹介します。
結果は教授たちの予想を覆すことになりました。実験前は、クラッカーをかじったところで口が触れる表面積はそう多くない、だからバクテリアの移動もさほどの量ではないという予想をしていたそうですが、実際には1ミリリットルあたりに1000個の口腔菌が移っていたとのことでした。風邪菌に置き換えて考えると、うつされてしまうのに充分な量だとか。どうやら串揚げ屋さんの注意書きは衛生的にも正しいようですね。
教授らは、この3秒から5秒の猶予は本当なのかを検証するにあたり、有害なバクテリアをタイル、木製の床板、カーペットの上に散布して、食べ物を落とし5秒後に拾い上げるという実験を試みました。
残念ながら(?)数秒のお目こぼしは無根拠な言い訳だったようです。落っこちた食べ物は床に触れた瞬間にバクテリアがつくと判明しました。
とはいえドーソン教授は、バクテリアのつく量は食べ物が落っこちた先にどれくらい潜んでいたかによる、そして、危険な病原菌が潜んでいるような床はほとんどない、とも語っています。あえて言うならば、どんなところにどんな食べ物を落っことしたかによって、口に入れても大丈夫かが左右されるようです。生ものを扱うような場所の床など、健康に害を及ぼす菌が繁殖している可能性のあるところに落としたものを食べるのは、当たり前かもしれませんが、安全ではありません。
厚生労働省の調査によれば1999年から2014年までに、日本のアレルギー患者数は増加傾向にあると報告されました。これだけ除菌グッズが一般化し、清潔を心がけている人も多いのに、何故なのでしょう?
さらなる研究報告が待たれている段階ですが、現在唱えられているのは、生活環境を無菌状態にしてしまった結果、免疫力が育たなかったのではないかという仮説です。乳幼児期に過度に清潔な環境下で育っていると、様々な雑菌に触れる機会がなく、細菌やウイルスへの免疫・抵抗力が育たなくなります。免疫力が育たないまま成長すると、いろんなものに過敏に反応してアレルギーが発症しやすくなるということです。
また、子供だけでなく、大人でも手を洗いすぎると、手のひらの潤いを保つために必要な成分や雑菌まで洗い流されてしまい、皮膚がボロボロになってしまうとも指摘されています。人間には、手のひらだけでも10種類以上の「皮膚常在菌」という細菌がいて、皮膚を守る役目を果たしています。一緒くたに全てを滅菌してしまうと、本来自然に治癒できる能力さえ低下させてしまいかねません。
ドーソン教授はインタビューの中で、食中毒予防について、常識的なことを守るのが一番の予防だと答えています。過ぎたるは及ばざるが如しにならないよう、雑菌ともうまく付き合っていきたいものですね。
そんな串揚げと聞いて連想するのは、「2度づけ禁止!」のルールではないでしょうか。串揚げに馴染みがない地域に住んでいる方でも、耳にしたことくらいはあると思います。実際、串揚げ屋さんの店舗には必ずと言っていいほど掲げられていて、注文を取りに来た店員さんからも念を押されます。アルミの容器に入ったソースは訪れるお客さん皆の共用のもの、1度口に入れたものを戻さないようお願いします、と。
実際に2度づけってどれくらい不衛生なのでしょうか? 検証した論文が発表されたのを御紹介します。
専門家の「予想していたよりも多い」2度づけによる口腔細菌の移動
日本でいう2度づけ、英語ではDouble-dippingの実験結果を発表したのは米国クレムゾン大学のポール・ドーソン教授とノースカロライナ大学のブライアン・シェルドン教授です。クラッカーを用いて、チョコレートディップ、チーズディップ、サルサに2度づけすることでバクテリアがどのように移動するかが計測されました。結果は教授たちの予想を覆すことになりました。実験前は、クラッカーをかじったところで口が触れる表面積はそう多くない、だからバクテリアの移動もさほどの量ではないという予想をしていたそうですが、実際には1ミリリットルあたりに1000個の口腔菌が移っていたとのことでした。風邪菌に置き換えて考えると、うつされてしまうのに充分な量だとか。どうやら串揚げ屋さんの注意書きは衛生的にも正しいようですね。
「3秒ルール」は場所次第?
また、両教授は床に落としてしまった食べ物へのバクテリア付着率も実験しています。日本では、1度落としてしまった食べ物も、3秒以内に拾って食べればセーフ!なんて「3秒ルール」がうそぶかれていますが、欧米ではもう少し長い「five-second theory」と5秒以内なら落とした食べ物に雑菌はうつらないという考え方があるようです。教授らは、この3秒から5秒の猶予は本当なのかを検証するにあたり、有害なバクテリアをタイル、木製の床板、カーペットの上に散布して、食べ物を落とし5秒後に拾い上げるという実験を試みました。
残念ながら(?)数秒のお目こぼしは無根拠な言い訳だったようです。落っこちた食べ物は床に触れた瞬間にバクテリアがつくと判明しました。
とはいえドーソン教授は、バクテリアのつく量は食べ物が落っこちた先にどれくらい潜んでいたかによる、そして、危険な病原菌が潜んでいるような床はほとんどない、とも語っています。あえて言うならば、どんなところにどんな食べ物を落っことしたかによって、口に入れても大丈夫かが左右されるようです。生ものを扱うような場所の床など、健康に害を及ぼす菌が繁殖している可能性のあるところに落としたものを食べるのは、当たり前かもしれませんが、安全ではありません。
過ぎた除菌はかえって危険?雑菌との共存が大事
1度落としたものを食べる・食べないは別として、日本人の「綺麗好き」は世界でも顕著であるのはよく知られるところ、巷には抗菌&除菌グッズが溢れています。ところが、このキレイ好きが災いしてアレルギーなどの弊害を起こしているのではと、一部の専門家が指摘しています。厚生労働省の調査によれば1999年から2014年までに、日本のアレルギー患者数は増加傾向にあると報告されました。これだけ除菌グッズが一般化し、清潔を心がけている人も多いのに、何故なのでしょう?
さらなる研究報告が待たれている段階ですが、現在唱えられているのは、生活環境を無菌状態にしてしまった結果、免疫力が育たなかったのではないかという仮説です。乳幼児期に過度に清潔な環境下で育っていると、様々な雑菌に触れる機会がなく、細菌やウイルスへの免疫・抵抗力が育たなくなります。免疫力が育たないまま成長すると、いろんなものに過敏に反応してアレルギーが発症しやすくなるということです。
また、子供だけでなく、大人でも手を洗いすぎると、手のひらの潤いを保つために必要な成分や雑菌まで洗い流されてしまい、皮膚がボロボロになってしまうとも指摘されています。人間には、手のひらだけでも10種類以上の「皮膚常在菌」という細菌がいて、皮膚を守る役目を果たしています。一緒くたに全てを滅菌してしまうと、本来自然に治癒できる能力さえ低下させてしまいかねません。
ドーソン教授はインタビューの中で、食中毒予防について、常識的なことを守るのが一番の予防だと答えています。過ぎたるは及ばざるが如しにならないよう、雑菌ともうまく付き合っていきたいものですね。
<参考サイト>
『Double-dipping more of a food safety risk than invoking the five-second rule, expert says』
https://www.abc.net.au/news/2019-01-10/double-dipping-more-risky-than-five-second-rule-expert-says/10695668
『アレルギー疾患の現状等』厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905100-Kenkoukyoku-Ganshippeitaisakuka/0000111693.pdf
『【きれい好き】清潔すぎる環境で育つと、アレルギーになりやすい?』EPARK REPORT!
https://epark.jp/epark-report/kusuri/cleanly-person/
『手を洗いすぎてはいけない』藤田紘一郎 光文社新書
『Double-dipping more of a food safety risk than invoking the five-second rule, expert says』
https://www.abc.net.au/news/2019-01-10/double-dipping-more-risky-than-five-second-rule-expert-says/10695668
『アレルギー疾患の現状等』厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905100-Kenkoukyoku-Ganshippeitaisakuka/0000111693.pdf
『【きれい好き】清潔すぎる環境で育つと、アレルギーになりやすい?』EPARK REPORT!
https://epark.jp/epark-report/kusuri/cleanly-person/
『手を洗いすぎてはいけない』藤田紘一郎 光文社新書
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