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DATE/ 2019.02.23

農業・畜産業・漁業・林業…その求人と待遇は?

日本では長らく第一次産業の危機が言われてきましたが、昨今、こういった流れと反対の動きも見えてきました。従事者人口が減った結果、人材不足がおきて待遇が向上しているようです。ということで今回は、農業・漁業・畜産業・林業でそれぞれの手取りなどの条件を見ながら、第一次産業の魅力まで考えてみましょう。

農業は増加傾向、漁業はヤフーが支援

 日本農業新聞が都道府県を対象に行った調査(2017年)によると、全国の約6割を占める26府県の移住受け入れ数が、過去最高を更新したことが分かります。特に30代の若い世代が多いようです。記事では「都市から農村へ移住する田園回帰傾向が浮き彫りになった」としています。ただ、地域による格差はまだまだある様子。例えば、栃木県では2016年度に比べて1000人超増加したのに対し、滋賀県や島根県などは移住者が減少しています。

 漁業に関しても、ヤフー株式会社は三陸地域の漁業問題を解決するために設立された「フィッシャーマン・ジャパン」の活動を支援するなど、漁業活性化に向けた取り組みが行われています。畜産業や林業では外国人技能実習生を受け入れて人材不足をしのごうとしていますが、まだまだ人材不足解消には至っていないようです。

農業・畜産業・漁業・林業それぞれの待遇

 こういった動きや状況があることを踏まえつつ、では実際にそれぞれ手取りでどのくらいの違いがあるのか見てみましょう。農業などの第一次産業の求人をまとめている「第一次産業ネット」でそれぞれ比較してみます。

 「農業(稲作・畑作・露地野菜・施設野菜・果樹・花き・観光農業)」での月給(条件は「正社員」「新卒求人」「長期求人」)は大卒でおおよそ17万円から20万円程度といったところのようです。大学院卒では、21万円から24万円程度といった条件を出しているところもあります。昇級・賞与ありと明記されているところも多いです。「畜産関連(酪農・肉牛・養豚・養鶏・競走馬)」での月給(条件は「正社員」「新卒求人」「長期求人」)を見ると、大卒で16万円くらいの求人から21万円といったところでしょうか。大学院卒はこれより少しだけ高いです。

 「漁業・水産業」では新卒求人ではほとんどヒットしません。未経験OKと記載されている求人の情報を見ると、16万円から33万円~40万円までとかなり幅があります。16万円という求人の詳細は牡蠣・ワカメの養殖が主、33万円~40万円という求人は、北海道でタラ・カレイ等の網揚げ・選別作業とのこと。「林業」でも新卒求人ではほとんどヒットしません。新卒といった全ての条件を外してヒットする求人を見ると17万円~、というもののほかは日給8000円から12,000円といった記載です。

必須は自動車免許・体力・根性・コミュニケーション能力

 どの仕事も多くは「未経験OK」かつ若い世代を歓迎する旨の記載は多いですが、同時に経験者もかなり優遇されるようです。また、自動車運転免許はほぼ全ての仕事で必須条件に入っています(中には要マニュアル免許という条件も)。また、単純に比較はできませんが、「手取り」という点でいくと、漁業がなかなか高いようです。とある漁業求人の詳細には「体力や根性はもちろん、一番大事なのは仲間とコミュニケーションを取って一日一日を乗り越えていくこと」とあります。

第一次産業は生の感覚を得られる場所

 第一次産業の魅力は、何よりも生(なま)の感覚ではないでしょうか。都会に住んで働きに出る場所はオフィスビルです。一日コンピュータの前に座る人もいれば、スーツを着て数字を見ながら販売を行う人もいるでしょう。人同士でのやりとりはもちろん生のやりとりです。しかし、そこでやりとりされるのは高度に抽象化された数字の場合がほとんどです。頭脳は主に数字に対して使われます。

 一方、第一次産業でももちろん数字は大事ですが、それ以上に自然や生き物といった生の感触があります。自分たちの肉体が、自分たちの感触で食べ物を作り出したり、捕らえたりするという経験はコンピュータや数字では再現できない経験です。もちろん、快適な暮らしがどういうものかということはよく考える必要はあります。地方に住めば、都会のような快適さや便利さは望めません。それでも、身体を動かすことが何かを生み出すことに繋がる経験は、とてもシンプルで魅力的な労働と言えるのではないでしょうか。

<参考サイト>
・第一次産業ネット
https://www.sangyo.net/
・農の暮らし“平成の次”開く 本紙独自調査 26府県 移住最多 若者、子育て世代 目立つ
https://www.agrinews.co.jp/p46306.html
・Yahoo! JAPANが挑戦する社会課題解決の取り組み「日本の漁業・水産業の課題を解決」
https://about.yahoo.co.jp/csr/effort/071.html
・人手集まらぬ 畜産・酪農現場が悲鳴 北海道
https://www.agrinews.co.jp/p44101.html
(10MTV編集部)

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