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若者が違和感を感じる「ビジネスマナー」とは?
ビジネスマナーに関するあれこれは昨今よく話題になります。背景にはビジネスシーンでのスピード感の変化やグローバル化・ボーダレス化に伴う生活様式の変化など、複雑な要因が絡んでいるようです。そもそもマナーとはどんなものなのでしょうか。大きくは「他者を不快にさせない振る舞い」といった感じもしますが、では、どういった行いがマナー違反なのでしょう。ここでもう少し具体的に、アンケートを基に現代でのマナーをめぐる状況を見てみます。
この結果、回答者の9割(89%)が「無駄なビジネスマナーがある」と感じていることが明らかになりました。9割が無駄だと言っているのに変わらないのはなぜか。もしかしたら、相手に不快感を与えてしまってはいけないということから、とりあえず誰も不快にならないだろうというレベルでのマナーで、という意識が働いているのかもしれません。つまり、最大公約数的にマナーが決まってしまうという部分があるのではないでしょうか。
2位は「メールマナー」。具体的には「定型文の挨拶」が26%、「メール後の報告」が24%、「宛先を全員分書く」が22%となっています。「メール後の報告」に関してはさまざまな方面で無駄だと言われる意見をよく耳にします。たしかにサーバートラブルなどでメールが届いていないこともあり得ますが、都度電話で確認するのは相手の時間と手間を取ってしまいます。
以降、3位は「飲み会マナー」、4位は「上司マナー」の順となっています。飲み会マナーは、かなり細かく、皆さん戸惑っているようです。たとえば、「グラスを空にしない」「ビールのラベルは上に」などなど。適度に飲みつつ、絶えず周囲を見て緊張感を保つことが求められます。「上司マナー」は、エレベーターや車に乗る順番、上座下座、などなど。このあたりも、その場の状況を察知して素早い身のこなしで立ち位置を調整し、その間に周囲にいる一般の人へも失礼にならないよう配慮しなければなりません。状況によってはかなり頭を酷使する作業です。
一方、現代では多くのベンチャー企業が生まれるなど、企業文化が変化しています。また、さまざまな文化的背景を持つ人とのやりとりも増えています。ここでもう一度「マナーとは何か」といったことを考える時かも知れません。
これまでのマナーは「あえて相手に時間や手間をかける」ことによって、相手への敬意を示すというものだったと思われます。しかし、これは仕事上のやりとりなどに時間をかけるのが当然だった時代のやり方だったとも言えます。例えば、メールがなかった時代は電話しなければなりませんでした。こうなると、相手の時間と動きを必然的に奪うので、必要以上であったとしても丁寧さが完全に省かれることはありません。しかし、現代ではインターネットやメールなど、情報のやりとりの際に相手と時間を共有する必要は最小化され、ビジネスのスピードは飛躍的に速くなっています。
こう考えると、今後は「いかに相手の時間や手間を奪わないか」ということが相手への最大の配慮となっていくのではないでしょうか。現代では得た情報を元に効率的な順番で仕事をすることが大事なのだと思われます。またこのためにも、相手に伝えるときには「いかにシンプルかつ明確に要点だけを伝えるか」がビジネスパーソンの大きな命題となっている点も忘れてはならないでしょう。
「無駄なビジネスマナーがある」との回答が9割
2018年7月にBusiness Insider Japanはマナーに関するアンケートを行っています(内訳は以下。有効回答数648人、男性57%、女性39%。20代25%、30代33%、40代24%、50代12%。全体の40%が一般社員、主任・係長クラス12%、管理職12%、役員・経営者10%、フリーランス・業務委託契約8%、アルバイト・契約社員8%。その他4%。)この結果、回答者の9割(89%)が「無駄なビジネスマナーがある」と感じていることが明らかになりました。9割が無駄だと言っているのに変わらないのはなぜか。もしかしたら、相手に不快感を与えてしまってはいけないということから、とりあえず誰も不快にならないだろうというレベルでのマナーで、という意識が働いているのかもしれません。つまり、最大公約数的にマナーが決まってしまうという部分があるのではないでしょうか。
夏でも上下スーツ着用はビジネスマナー?
アンケートの自由記述で回答が多かったカテゴリ1位は「取引先マナー」です。具体的には汗だくでもスーツ着用が24%と最多。ついで「見えなくなるまでお辞儀」が12%、その他にも「進められるまで○○しない」が9%などとなっています。スーツ着用に関しては、昨今だいぶ緩やかにはなってきたようにも思います。しかし、「取引先」が絡むとなれば相手がどう思うかは分かりません。そうなればスーツであればまず問題は起きない、という配慮が働くのかもしれません。2位は「メールマナー」。具体的には「定型文の挨拶」が26%、「メール後の報告」が24%、「宛先を全員分書く」が22%となっています。「メール後の報告」に関してはさまざまな方面で無駄だと言われる意見をよく耳にします。たしかにサーバートラブルなどでメールが届いていないこともあり得ますが、都度電話で確認するのは相手の時間と手間を取ってしまいます。
以降、3位は「飲み会マナー」、4位は「上司マナー」の順となっています。飲み会マナーは、かなり細かく、皆さん戸惑っているようです。たとえば、「グラスを空にしない」「ビールのラベルは上に」などなど。適度に飲みつつ、絶えず周囲を見て緊張感を保つことが求められます。「上司マナー」は、エレベーターや車に乗る順番、上座下座、などなど。このあたりも、その場の状況を察知して素早い身のこなしで立ち位置を調整し、その間に周囲にいる一般の人へも失礼にならないよう配慮しなければなりません。状況によってはかなり頭を酷使する作業です。
現代のマナーは「いかに相手の時間や手間を省くか」
相手が「どういう振る舞いを不快に思うか」は時代によって大きく変わると言えるでしょう。上下関係は時代のなかで少しずつフラットになりつつあるようです。しかし、企業の中で受け継がれる文化や振る舞い方といったものはまだまだ残っています。むしろ日本で大勢を担っているのはこういった旧来型の企業文化かも知れません。一方、現代では多くのベンチャー企業が生まれるなど、企業文化が変化しています。また、さまざまな文化的背景を持つ人とのやりとりも増えています。ここでもう一度「マナーとは何か」といったことを考える時かも知れません。
これまでのマナーは「あえて相手に時間や手間をかける」ことによって、相手への敬意を示すというものだったと思われます。しかし、これは仕事上のやりとりなどに時間をかけるのが当然だった時代のやり方だったとも言えます。例えば、メールがなかった時代は電話しなければなりませんでした。こうなると、相手の時間と動きを必然的に奪うので、必要以上であったとしても丁寧さが完全に省かれることはありません。しかし、現代ではインターネットやメールなど、情報のやりとりの際に相手と時間を共有する必要は最小化され、ビジネスのスピードは飛躍的に速くなっています。
こう考えると、今後は「いかに相手の時間や手間を奪わないか」ということが相手への最大の配慮となっていくのではないでしょうか。現代では得た情報を元に効率的な順番で仕事をすることが大事なのだと思われます。またこのためにも、相手に伝えるときには「いかにシンプルかつ明確に要点だけを伝えるか」がビジネスパーソンの大きな命題となっている点も忘れてはならないでしょう。
<参考サイト>
・【礼儀2.0】648人が回答した「謎ビジネスマナー」は日本社会の縮図だった|BUSSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-171572
・【礼儀2.0】648人が回答した「謎ビジネスマナー」は日本社会の縮図だった|BUSSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-171572
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