社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.06.12

UNO公式から発表された驚きの公式ルールとは?

 誰しもが遊んだことがあるカードゲーム「ウノ」。1971年にアメリカのオハイオ州で生まれその面白さから人気は世界中に広がり、毎年5億枚以上も印刷されるほどの人気を持つカードゲームです。そんなウノで、あるツイートがバズったのをご存知でしょうか?

実はあの行為が禁じ手ではなかった!?

 ウノの海外公式アカウントが噂のツイートを発信したのは2019年5月あたまのこと。その内容は「ドロー系のカードにドロー系のカードを重ねることはできない」という公式ルールの見解を記したものでした。ドロー系のカードが出たら、次の人は指定された枚数を引かなければならず、しかもそのターンにカードを出すことはできないのです。

 Aさんがドロー4を出して、Bさんがドロー2を出して、Cさんもドロー2を出した結果、Dさんが8枚引く、というルールが当たり前だった我々にとっては衝撃的な発表で、このツイートは6万回以上もリツイートされるまでになり、反響が大きくなっているのです。

 また、その数日後には「アクションカード(記号カード)での上がりも問題ない」というルールも発表。最後の1枚が記号カードになった場合には無条件に2枚カードを引くというルールが当たり前だった人もいて、またまた公式の見解に驚かされる人も少なくありませんでした。

なぜ違うルールで広まったのか?

 海外公式ではNGの行為が、なぜルールとして浸透していたのでしょうか。調べてみましたがその真相は分かりませんでした。しかし、どうやらウノのローカルルールはさまざまで、公式ルールが必ず即している、というわけではないことが分かってきました。

 例えばドロー系カードを重ねることはできない、という海外公式の見解に対して、日本ウノ協会が認定した競技ルールでは「ドロー系カードは重ねることができる」と明記されています。その方が競技が盛り上がるという意図があったのかもしれませんが、私たちはそのルールを一般的なものとして思い込んでいるのかもしれません。

ルールがあまりにも柔軟なウノ

 さらにウノのルールを調べてみると、手札からカードを出せないときに「山札から引いたカードを出せれば出して良いがそれ以外の手札のカードは出せない」という公式ルールに対して「場にカードが出せるまで引き続ける」というルールがあったり、「カードは1枚ずつ出す」という公式ルールに対して「カードは数字か色が一致すれば2枚出しができる」というルールがあったり、アレンジはさまざま。そのため、公式ルールはあるものの、ローカルルールによってかなり異なる部分があるということが分かりました。

 ウノがこんなにも自由なのは、そもそも公式がルールのアレンジを認めているからです。2016年には「白いワイルドカード」という、なんと自分でカードの役割を決めることができるカードが入ったウノも発売しているほどなので、自分たちが楽しめるルールで楽しんでほしいというウノの意図をうかがうことができます。型にはまらず、柔軟な楽しみ方ができること。それこそがウノが世界中の老若男女に愛され続ける理由なのかもしれません。

<参考サイト>
・マテル ー ウノ
http://mattel.co.jp/toys/uno/
・ウノカードゲーム公式サイト
http://unogame.jp/about/
・『UNO』に新事実、ドローカードのスタック不可が公式より明示―ドロー2&4を出されたら必ず引くことに
https://www.gamespark.jp/article/2019/05/07/89459.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命

雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界

全ては光だと説く空海が、なぜその著書『秘蔵宝鑰』で、「死に死に死に死んで死の終りに冥(くら)し」と書いたのか。『秘蔵宝鑰』については、以前のテンミニッツ・アカデミー講義でも解説したが、そこから半年かけてこの書を...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/26
2

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール

内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた主な要因として、二つのオウンゴールを挙げる島田氏。その一つとして台湾のモリス・チャン氏によるTSMC立ち上げの話を取り上げるが、日本はその動きに興味を示さず、かつて世界を席巻して...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/25
3

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本

「歴史を探索していく」とは、どういうことなのだろうか。また、「歴史を活かしていく」とはどういうことなのだろうか。歴史作家の中村彰彦氏に、歴史を探り、活かしていく方法論を、具体的に教えてもらう本講義。第一話は、歴...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/14
4

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン

熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン

熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法

「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授