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目から入った紫外線で日焼けするって本当?
近年は「紫外線による日焼けは健康被害である」といった認識も広まり、いわゆる「美白」の流行などもあって、日焼けの予防をする人が増えているように思います。同時に、さまざまな日焼けにまつわる言説が出回るようにもなりました。その中の一つに、「目から入った紫外線で“肌”も日焼けする」という説があります。
しかし本当に、「目から入った紫外線」で「肌の日焼け」も起きるのでしょうか。
さらに2006年にも井上氏たちは、論文「脳免疫統合系による生存の包括的管理機構」において、「皮膚をUVB(紫外線)で照射すると日焼けすることは常識であるが、“眼に紫外線を当てても皮膚が黒くなる”という驚くべき現象が見つかった。<中略>解析の結果、眼にUVBが当たると表層組織で炎症が起こり、刺激が三叉神経から脳の視床下部・下垂体系に伝わり、プロオピオメラノコルチン系が活性化されて血中にMSHが放出され、全身でメラニン形成が増強することがわかった」と述べています。
そして2017年、井上氏は4名の専門家とタッグを組んだ「SHADE SKIN PROJECT(シェイドスキン プロジェクト)」を発足し、目の紫外線対策の周知やサングラスの活用などを呼びかける啓発活動を行っています。
大手化粧品メーカーで商品開発・マーケティングを担当した後、ビューティサイエンティスト・美容コンサルタントとして活躍している岡部美代治氏は、著書『ムダ美容をやめればキレイになる』において、「人間の目に紫外線が入ったとしても、その影響で肌が日焼けしたりシミが増える心配はありません。<中略>信じている人も多いので、きっぱりいっておきます」としています。
ただしそのうえで岡部氏は、目と日焼けのかかわりについて、1)強い紫外線が大量に目に入ると網膜に損傷を与え視力障害を起こす可能性があるなど、“目そのもの”は紫外線の影響を受けるため、目の保護の必要はあると述べています。
また1)を発展させ、2)強い日差しに目を細めると、眉間にシワがよりそれがくせになると定着しやすくなるため、目の保護だけでなく美容のためにも、日差しが強いときには紫外線カット効果のあるレンズを用いたサングラスをかけるなどの対策を推奨しています。
さらに2)を受け、3)サングラスを選ぶときは実用性だけではなく、ファッション性もポイントに“おしゃれを楽しむこと”を提案し、「女性ホルモンの活性化につながり、美肌づくりに役立つのですから」と示唆しています。
代表的な「目から入った紫外線」による病気には、紫外線による目の急性障害である「紫外線角膜炎」や、紫外線による目の慢性障害である「翼状片」「白内障」などがあります。
「紫外線角膜炎(しがいせんかくまくえん)」
スキーや雪山で強い紫外線を眼に浴びると、「雪眼(ゆきめ)」と呼ばれる紫外線角膜炎・結膜炎を起こします。雪面に限らず、砂浜、水面、コンクリート面など紫外線の反射が強いところでも起こります。
「翼状片(よくじょうへん)」
眼球結膜(白目)の下にある組織が増殖して、角膜の上へ入り込んでしまう病気です。目頭側から半透明の膜が三角形状に伸びて、黒目の一部を覆うようになります。角膜の中央まで達すると視力が低下するため、手術での切除が必要となります。
「白内障(はくないしょう)」
“目のレンズ”の役目を果たす水晶体が混濁して、視力が低下する病気です。瞳孔が白く見えるため“白そこひ”などとも呼ばれます。糖尿病・外傷・先天性の場合もありますが老人性のものが多く、水晶体が長い年月をかけて紫外線のダメージを受け続けることが主因となります。手術により視力の回復を図ります。
『紫外線環境保健マニュアル2015』では日焼け予防の効果的な対策として、1)紫外線の強い時間帯を避ける、2)日陰を利用する、3)日傘を使う、帽子をかぶる、4)衣服で覆う、5)サングラスをかける、6)日焼け止めを上手に使う、といったことが挙げられています。
特に目は、日焼け止めを直接塗ることができないため、1)や2)が難しい場合、サングラス・日傘・帽子などを上手に活用して、物理的に紫外線を遮断することが大切になってきます。なお、サングラスを選ぶ際は、「紫外線カット率(UVカット率)」や「紫外線透過率」の高い物を選ぶことも重要です。
いかがでしたでしょうか。ぜひ日々の生活の中で、目を含めた健康や美容、そして美肌にもつながる紫外線対策を行ってみてください。
しかし本当に、「目から入った紫外線」で「肌の日焼け」も起きるのでしょうか。
「目×紫外線」=「肌の日焼け」も起こる!?
「目から入った紫外線で“肌”も日焼けする」という説の論拠は、2003年に当時大阪市立大学教授であった井上正康氏の研究チームによって発表された論文、「Ultraviolet B Irradiation of the Eye Activates a Nitric Oxide-dependent Hypothalamopituitary Proopiomelanocortin Pathway and Modulates Functions of α-Melanocyte-stimulating Hormone-responsive Cells」とされています。論文で発表されているマウスでの実験結果からは、目から入った紫外線によって皮膚のメラニン細胞が刺激を受け、活性化していることがわかります。さらに2006年にも井上氏たちは、論文「脳免疫統合系による生存の包括的管理機構」において、「皮膚をUVB(紫外線)で照射すると日焼けすることは常識であるが、“眼に紫外線を当てても皮膚が黒くなる”という驚くべき現象が見つかった。<中略>解析の結果、眼にUVBが当たると表層組織で炎症が起こり、刺激が三叉神経から脳の視床下部・下垂体系に伝わり、プロオピオメラノコルチン系が活性化されて血中にMSHが放出され、全身でメラニン形成が増強することがわかった」と述べています。
そして2017年、井上氏は4名の専門家とタッグを組んだ「SHADE SKIN PROJECT(シェイドスキン プロジェクト)」を発足し、目の紫外線対策の周知やサングラスの活用などを呼びかける啓発活動を行っています。
「目×紫外線」=「肌の日焼け」は起こらない!?
しかし、論拠となる井上氏たちの実験はマウスで行われているため、人間に対してはあくまで仮説であるとも考えられています。大手化粧品メーカーで商品開発・マーケティングを担当した後、ビューティサイエンティスト・美容コンサルタントとして活躍している岡部美代治氏は、著書『ムダ美容をやめればキレイになる』において、「人間の目に紫外線が入ったとしても、その影響で肌が日焼けしたりシミが増える心配はありません。<中略>信じている人も多いので、きっぱりいっておきます」としています。
ただしそのうえで岡部氏は、目と日焼けのかかわりについて、1)強い紫外線が大量に目に入ると網膜に損傷を与え視力障害を起こす可能性があるなど、“目そのもの”は紫外線の影響を受けるため、目の保護の必要はあると述べています。
また1)を発展させ、2)強い日差しに目を細めると、眉間にシワがよりそれがくせになると定着しやすくなるため、目の保護だけでなく美容のためにも、日差しが強いときには紫外線カット効果のあるレンズを用いたサングラスをかけるなどの対策を推奨しています。
さらに2)を受け、3)サングラスを選ぶときは実用性だけではなく、ファッション性もポイントに“おしゃれを楽しむこと”を提案し、「女性ホルモンの活性化につながり、美肌づくりに役立つのですから」と示唆しています。
「目×紫外線」=「目の日焼け」は起こる!
以上のように、「目から入った紫外線」による「肌の日焼け」については見解が分かれるようですが、「目から入った紫外線」による「目の日焼け」と、「目の日焼け」によって引き起こされる障害や病気があることについては、さまざまな見解から証明されているようです。代表的な「目から入った紫外線」による病気には、紫外線による目の急性障害である「紫外線角膜炎」や、紫外線による目の慢性障害である「翼状片」「白内障」などがあります。
「紫外線角膜炎(しがいせんかくまくえん)」
スキーや雪山で強い紫外線を眼に浴びると、「雪眼(ゆきめ)」と呼ばれる紫外線角膜炎・結膜炎を起こします。雪面に限らず、砂浜、水面、コンクリート面など紫外線の反射が強いところでも起こります。
「翼状片(よくじょうへん)」
眼球結膜(白目)の下にある組織が増殖して、角膜の上へ入り込んでしまう病気です。目頭側から半透明の膜が三角形状に伸びて、黒目の一部を覆うようになります。角膜の中央まで達すると視力が低下するため、手術での切除が必要となります。
「白内障(はくないしょう)」
“目のレンズ”の役目を果たす水晶体が混濁して、視力が低下する病気です。瞳孔が白く見えるため“白そこひ”などとも呼ばれます。糖尿病・外傷・先天性の場合もありますが老人性のものが多く、水晶体が長い年月をかけて紫外線のダメージを受け続けることが主因となります。手術により視力の回復を図ります。
『紫外線環境保健マニュアル2015』では日焼け予防の効果的な対策として、1)紫外線の強い時間帯を避ける、2)日陰を利用する、3)日傘を使う、帽子をかぶる、4)衣服で覆う、5)サングラスをかける、6)日焼け止めを上手に使う、といったことが挙げられています。
特に目は、日焼け止めを直接塗ることができないため、1)や2)が難しい場合、サングラス・日傘・帽子などを上手に活用して、物理的に紫外線を遮断することが大切になってきます。なお、サングラスを選ぶ際は、「紫外線カット率(UVカット率)」や「紫外線透過率」の高い物を選ぶことも重要です。
いかがでしたでしょうか。ぜひ日々の生活の中で、目を含めた健康や美容、そして美肌にもつながる紫外線対策を行ってみてください。
<参考文献・参考サイト>
・紫外線環境保健マニュアル - 環境省
https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf
・「Ultraviolet B Irradiation of the Eye Activates a Nitric Oxide-dependent Hypothalamopituitary Proopiomelanocortin Pathway and Modulates Functions of α-Melanocyte-stimulating Hormone-responsive Cells」,『Journal of Investigative Dermatology』120(1)(Keiichi Hiramoto, Nobuyo Yanagihara, Eisuke F.Sato, and Masayasu Inoue, W.B.SAUNDERS COMPANY)
https://www.jidonline.org/article/S0022-202X(15)30116-0/fulltext
・「脳免疫統合系による生存の包括的管理機構」、『日本未病システム学会雑誌』12(1)(井上正康・平本恵一・佐藤英介・西川学著、日本未病システム学会)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mibyou1998/12/1/12_1_25/_pdf/-char/en
・SHADE SKIN PROJECTとは - 目肌焼け
https://mehadayake.jp/
・『ムダ美容をやめればキレイになる』(岡部美代治著、講談社)
・『知って防ごう有害紫外線』(佐々木政子・上出良一著、少年写真新聞社)
・「翼状片」、『デジタル大辞泉』(小学館)
・「白内障」、『デジタル大辞泉』(小学館)
・紫外線環境保健マニュアル - 環境省
https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf
・「Ultraviolet B Irradiation of the Eye Activates a Nitric Oxide-dependent Hypothalamopituitary Proopiomelanocortin Pathway and Modulates Functions of α-Melanocyte-stimulating Hormone-responsive Cells」,『Journal of Investigative Dermatology』120(1)(Keiichi Hiramoto, Nobuyo Yanagihara, Eisuke F.Sato, and Masayasu Inoue, W.B.SAUNDERS COMPANY)
https://www.jidonline.org/article/S0022-202X(15)30116-0/fulltext
・「脳免疫統合系による生存の包括的管理機構」、『日本未病システム学会雑誌』12(1)(井上正康・平本恵一・佐藤英介・西川学著、日本未病システム学会)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mibyou1998/12/1/12_1_25/_pdf/-char/en
・SHADE SKIN PROJECTとは - 目肌焼け
https://mehadayake.jp/
・『ムダ美容をやめればキレイになる』(岡部美代治著、講談社)
・『知って防ごう有害紫外線』(佐々木政子・上出良一著、少年写真新聞社)
・「翼状片」、『デジタル大辞泉』(小学館)
・「白内障」、『デジタル大辞泉』(小学館)
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