社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2024.05.27

昭和の「モテる車」は今どうなった?

 若者の車離れという声を聞きだして相当長くなりますが、昭和の終わり頃、バブルへまっしぐらの時代には車でのデートが定番でした。なかでも「この車さえ持っていればモテる」と言われた鉄板のデートカー、今はいったいどうなっているのでしょうか。そして、令和版のモテ車は?

これが最強の「デートカー」3選!

 「デートカー」という言葉を生んだのは、1982年発売の2代目「プレリュード」(ホンダ)。車高が低く横幅が広く、日本車離れしたデザインが男子受けしていましたが、女子に人気だったのは「リトラクタブルヘッドライト」。パカッと開いて点灯するのがカワイイ、と拍手されていたのです。

 標準装備されていた「電動サンルーフ」、さらになぜか運転席側から助手席を倒すことのできる「リクライニングノブ」も、デートを盛り上げるのに必須だったとか。この人気は3代目も続きますが、1991年のモデルチェンジで、カップルからはそっぽを向かれてしまいます。

 プレリュードを脅かすスタートして1988年に登場したのが、5代目「シルビア」(日産)。若者を中心に約30万台売れたといいます。「ART FORCE SILVIA」と呼ばれるなめらかシルエットが、女子人気の秘密。同年のグッドデザイン大賞や「1988-1989年日本カー・オブ・ザ・イヤー」も受賞しています。当時希少な存在となっていたFRのスポーティークーペなので、走りを重視する男性の支持を得…ということは、「カッコよく走る俺」を彼女の前で演出できる最高の道具だったということなのでしょうね。

 さて、3つ目の鉄板モテ車は、少しハイソな「ソアラ」(トヨタ)です。中でも1986年に登場した2代目ソアラは、バブル景気とも重なり大ヒット。当時「女子大生が乗りたい車」1位に輝き、ソアラ信仰は高まる一方でした。「アッシーくん」と呼ばれても何のその、女子大の門前に連なっていた白いソアラが記憶にある人も多いのではないでしょうか。トヨタの技術の粋を集めた高級車でありながら、2ドアクーペの身軽さが、女心をくすぐったものと思われます。

モテ車たちは、今どうなっているのか

 ホンダ・プレリュードは、4代目でスポーツクーペに成長、5代目ではサンルーフを復活させるのですが、2000年8月に生産終了。2001年6月、インテグラのフルモデルチェンジに伴い、インテグラに統合するかたちで販売を終了します。23年も売れ続けた人気車種、国内累計販売台数は13,924台と発表されています。

 日産シルビアには、デートカーとしてだけでなく、「走り屋」としての顔もありました。コンパクトな車体にパーツ改造を施し、峠やサーキットで走る5代目S13の姿は、多くの人が見かけているはずです。2002年8月、スポーツカーの販売不振や平成12年排ガス規制の影響を受け、R34スカイラインGT-Rとともに生産終了となります。スマートなデザインと高い走行性能で、今日も愛好家の多いクルマです。

 トヨタ・ソアラは、3代目(1991-2000)以降、輸出仕様の「レクサス・SC」を前面に立てての展開となっていました。4代目が2001年に発表されますが、2005年7月には日本国内でレクサス・SCを販売するため、絶版となっています。

 鉄板の3車種すべてが、もうとっくに生産終了しているのは残念ですね。ここ数年、モーターショーが近づくと「プレリュード復活か?」「シルビアついに復活!?」といった記事が書かれているのは、かつてのファンからのメーカーへの熱いおねだりなのかもしれません。

 3車種以外にもデートカーとしては、マツダ「ユーノス ロードスター」、「ファミリア」、三菱「パジェロ」、日産「レパード」などが人気でした。このうちレパードは1999年に、パジェロは2021年に生産終了していますが、他の車種は2024年まで健在です。

令和のモテ車は??

 さて、気になる令和の人気車種は…というと、「見栄を張って身の丈に合っていない車に乗るのはカッコ悪い」「あおり運転が増えているので高級車や目立つ車は避けたい。ターゲットにされそうで恐怖を感じる」など、堅実な意見が女子からは出ています。

 彼女たちの好みのボディタイプは、SUV、セダン、ミニバン。間違ってもスポーツカーやオープンカーはないようです。色は黒か白。国産車か外車かへのこだわりも、バブル期のような熱意はありません。免許さえ持っていれば、レンタカーデートも「レン愛ドライブ」としてアリなのが、今どきの車事情。行きたいシーンに合わせて、彼女の好みをリサーチしてみるのが一番なようです。

<参考サイト>
・三菱自動車「パジェロ製造」、生産活動終了 | 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC31B1W0R30C21A8000000/
・WEB CARTOP:クルマだけでモテた時代があった!昭和の鉄板モテクルマ3選
https://www.webcartop.jp/2018/04/226330/
・ベストカーWeb:クルマ好きを熱中させた全25台!最後の昭和ランキング【クーペ&オープン編】
https://bestcarweb.jp/feature/column/68456
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造

宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13
岡朋治
慶應義塾大学理工学部物理学科教授
2

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本

「歴史を探索していく」とは、どういうことなのだろうか。また、「歴史を活かしていく」とはどういうことなのだろうか。歴史作家の中村彰彦氏に、歴史を探り、活かしていく方法論を、具体的に教えてもらう本講義。第一話は、歴...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/14
3

脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは

脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質

「ワット・ビット連携」の概念がある。これは神経と血管の関係にも似ており、両者が密接に関係するところから、それをもとに人間の本質について考察していくことになる。また、中村天風の思想から着想を得て、人間の心には霊性...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/13
4

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?

「何回説明しても伝わらない」「こちらの意図とまったく違うように理解されてしまった」……。そんなことは、日常茶飯事です。しかしだからといって、相手を責めるのは大間違いでは? いやむしろ、わが身を振り返って考えないと...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/13
5

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授