社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.07.03

世界で売上トップを誇るエンタメコンテンツは?

 アメリカの金融会社「TITLEMAX」が、全世界で人気のメディアミックス(さまざまな媒体を組み合わせて展開するコンテンツ手法)ランキング・ベスト25を発表しています。「ハリー・ポッター」は10位、「スター・ウォーズ」は5位、では1位に輝いたキャラクターは?

なんと国家予算の10%を稼ぐ、あのキャラクター!

 1位は誰もが納得の「ポケモン」。921億ドル(約10兆円)という破格の稼ぎ頭になっています。以下、10位までは次の順位です。

2位:ハローキティ 800億ドル
3位:くまのプーさん 750億ドル
4位:ミッキー&フレンズ 705億ドル
5位:スター・ウォーズ 656億ドル
6位:アンパンマン 603億ドル
7位:ディズニープリンセス 452億ドル
8位:マリオ 361億ドル
9位:少年ジャンプ 341億ドル
10位:ハリー・ポッター 309億ドル

 日本製のキャラクターや雑誌(!)をあわせて5作品が、世界のベスト10にランクインしました。収入を合計すると、3,000億ドル(約32兆円)。日本の令和2年度国家予算(約100兆円)のほぼ3分の1にあたります。莫大な収入ですね。11位以下も確認しておきましょう。

11位:マーベルシネマティックユニバース 291億ドル
12位:スパイダーマン 271億ドル
13位:ガンダム  265億ドル
14位:バットマン 264億ドル
15位:ドラゴンボール 240億ドル
16位:バービー 240億ドル
17位:北斗の拳 218億ドル
18位:カーズ 218億ドル
19位:トイ・ストーリー 207億ドル
20位:ワンピース 205億ドル
21位:ロード・オブ・ザ・リング 199億ドル
22位:ジェームズ・ボンド 199億ドル
23位:遊☆戯☆王 198億ドル
24位:ピーナッツ 174億ドル
25位:トランスフォーマー 172億ドル

「友情・努力・勝利」は世界を席巻

 全25作品中、日本生まれのエンターテインメントコンテンツは11タイトル。総収入は4,324億ドル(約46兆円)と、日本製キャラの強さを見せつける結果となっていますが、そのうち5分の1以上をポケモンが占めているモンスターぶりには二度びっくりです。

 ポケモンはゲームボーイ用ソフトから始まったキャラですが、トレーディングカードゲーム、アニメ、漫画を経て、さまざまなキャラクター商品を展開。ポケモンジェットやピカチュウジャンボも就航しました。

 ポケモン同様にコンピュータゲームから生まれたキャラは、意外にもマリオだけ。残りは絵本(アンパンマン)、漫画(ドラゴンボール、北斗の拳、ワンピース、遊☆戯☆王)、アニメ(ガンダム)、文具や玩具(ハローキティ、トランスフォーマー)と多彩です。

 注目したいのは、「ドラゴンボール」も「北斗の拳」も「ワンピース」も「遊☆戯☆王」も「少年ジャンプ」で生まれ育ったキャラクター。ジャンプのキーワード「友情・努力・勝利」は世界に通じるコンセプトということでしょうか。

 ここには登場していないものの、2020年5月に人気絶頂のうちに連載終了した「鬼滅の刃」もアニメ版やノベライズ、アニメ主題歌などのメディアミックスで、「令和初」と呼ばれるブームを起こしました。

 日本におけるメディアミックスの特徴は、映画出身ではなく、漫画やゲームから生まれたものが多いこと。つまり、平面で展開されたキャラクターを立体化していくのが、日本のお家芸のようです。

 その元祖は、何と言っても手塚治虫の「鉄腕アトム」。ディズニーアニメへの憧れから始まった手塚アニメの魂が、日本製キャラクターの背中を応援しているのかもしれません。

<参考サイト>
・TITLE MAX:The 25 Highest-Grossing Media Franchises of All Time
https://www.titlemax.com/discovery-center/money-finance/the-25-highest-grossing-media-franchises-of-all-time/
・TABI LABO:「エンタメ世界ランキング」が発表――1位は日本生まれのあのコンテンツ!
https://tabi-labo.com/295304/wt-media-franchises
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?

「何回説明しても伝わらない」「こちらの意図とまったく違うように理解されてしまった」……。そんなことは、日常茶飯事です。しかしだからといって、相手を責めるのは大間違いでは? いやむしろ、わが身を振り返って考えないと...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/13
2

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
3

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム

初めて会った人なのになぜか好意を抱いてしまうことがある。だが、なぜそうした衝動が生じるのかは疑問である。デカルトが友人シャニュに宛てた「愛についての書簡」から話を起こし、愛をめぐる精神と身体の関係について論じる...
収録日:2018/09/27
追加日:2019/03/31
津崎良典
筑波大学人文社会系 教授
4

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制

「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動

偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動

内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解

アメリカの大転換はトランプ政権以前に起こっていた。1980~1990年代、情報機器と金融手法の発達、それに伴う法問題の煩雑化により、アメリカは「ラストベルト化」に向かう変貌を果たしていた。そこにトランプの誤解の背景があ...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/11